「コンサートへ行こう」へ

倉敷管弦楽団 第28回定期演奏会


2002年5月26日(日)PM 2:30〜倉敷市民会館にて   招待券いただいちゃいました

ベルリオーズ 「ローマの謝肉祭」序曲
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
交響曲第6番ロ短調「悲愴」

指揮 牧村 邦彦/ チェボタリョーワ(v)

 倉敷は岡山のすぐ隣だけど、ふだん行く機会がありません。倉敷芸文館は数度訪問したが、倉敷市民会館はインターネットで調査の上、クルマで行ってみました。な〜んだ、アイヴィ・スクエアのお隣じゃないの。道も空いていて、ウチから30分くらいで到着。岡山シンフォニー・ホールに比べるとかなり年季が入った建造物。2,000人収容とのこと。

 岡響に比べるとやや知名度ありますよね。倉敷管は。まだ石丸寛さんが元気だった頃、「ネス・カフェ・ゴールドブレンド・コンサート」(懐かしい)もやったみたいだし、超有名人との競演が驚くばかり。(つまり財政的に豊か、ということでしょう。お客の入りは8割くらい〜たいしたものです)

 ウワサに聞いていたけれど、この会場、音質がよろしい。壁は一見陶器の煉瓦風だけれど、じつは樹脂(または、木材加工品?)っぽくて、金属的な反響を防いでいるみたい。客席床はコンクリート。残響が適度で、音の分離が良いんです。岡山シンフォニー・ホールは響きすぎて、やや音の芯が明確にならない感じがないでもない。

 じつはこの招待券、いただきものでして、選曲が保守的だし、しかもあまり好きでない曲ばかりだったんですよ。(スマン)「悲愴」は2000年にサンクトペテルブルグ交響楽団で聴いているのも、やや先行きを心配させたものです。期待は唯一美人ヴァイオリニスト・アナスタシア・チェボリョーワさんのみか?(失礼)一階前列右方向に陣取りました。

 「ローマの謝肉祭」開始。牧村さんの指揮ぶりが、肩のチカラが抜けて、要所を押さえた的確なもので、見ていて気持ちがよろしい。オーケストラの響きは・・・・・・「!」〜鳴りがとても良くて、迫力あるじゃないですか。(4人の打楽器のリズム感の素晴らしさ!とくにタンバリン)正直、いつも全面支援(但し精神的に限る)している岡響より実力は上かも知れない。全体にややヴェテランが多いようで、「若さと勢いの岡響」vs「ワザと迫力の倉敷管」か。

 ヴァイオリン協奏曲は、愛しのアナスタシア登場。CDも出てるでしょ?長身・ブロンド美人だけれど、ワタシは日本人の方が好き・・・って、真面目に音楽を聴きましょうね。この曲、ロシア風にねっとり、骨太に表現して欲しいが、そんな演奏だとややクサ過ぎてワタシにはつらい。ここではヴィヴラート肌理細かく、繊細な味付けのヴァイオリンでした。

 見ていてドキドキするような超絶技巧だけれど、細部の旋律の歌の節回しや、ほとんど気付かないような微細なポルタメントがあちこちでまったくもの凄い。音色に豊かな脂肪はなくて、むしろ神経質な筋肉質を感じました。(第1楽章終了時に、感極まった観客拍手!〜まったく正しい)絡み合うオーケストラは、フルートとオーボエ(ほのかな甘いヴィヴラート秀逸)の美しさがとくに絶妙です。


 休憩中は女性トイレが長蛇の列で(いつもながら)たいへんそう。ロビーの作りがあまりに古すぎて、これはやはり岡山シンフォニー・ホール並に美しく、明るく改装して欲しいし、ビールやコーヒーなども喫して欲しいもの。(なんとなくトイレ臭いのもビンボー臭い)・・・・・さて、休憩後はオーケストラの全貌を見たかったので、2階席右に移動しました。

 ロビーはともかく、ホールは良いですね。弦に厚みがあって、中低音が豊かに響くのはこのオーケストラの特長でしょうか。4本ずつある木管(場面によって音の重ね方を変えている)の明快な響き、良く鳴り響く金管、地鳴りする打楽器、どれもじつに明快に分離して聴きやすい。初めて聴くような内声部の旋律が、たくさん聞こえてきて驚くばかり。

 「悲愴」冒頭のバス〜引き続くヴィオラのくぐもった音色もちゃんと聞こえます。炸裂する金管の爽快なこと。第2楽章の甘い響き。ティンパニ(やや茶髪、ノースリーヴ)の女性がカッコ良いんですよ。第3楽章のノリは興奮もので、かなりノリノリのティンパニに、大太鼓が入ると席が振動するんです。頂点でシンバル炸裂。(ここで再び、感極まった観客拍手!〜まったく正しい反応)

 終楽章の弦楽器群は極上でしたね。これほど「泣き」が表現できるヴァイオリンは滅多にないでしょう。詠嘆の旋律を受けるフルートの音色が、またなんとも言えない厚みがある。そして金管の大爆発がやってきました。ここの迫力は筆舌に尽くしがたい〜そしてドラ(これ、地獄の入り口を連想させる)でしょ。〜「悲愴」嫌いのワタシも思わず身を乗り出してしまうほど。

 お客さんがね、たいしたもんだと思います。楽章に関係ない拍手もまったく違和感がないし、休憩時間中は皆ニコニコ。花束の量も並ではない。「悲愴」が静かに終わったあと、無粋な「いきなり拍手」(おれはこの曲の終了知ってるぞ、とばかり)も、オキマリの「ブラヴォ」(心がこもっていないぞ)もなくて、やや余韻を確認しながら静かな拍手が開始されました。

 となりのおじさんが、奥さんに「良い演奏だったね」と笑顔を語っていたのが印象的でした。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi