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岡山交響楽団 第34回定期演奏会


2001年10月28日(日)PM2:30〜岡山シンフォニー・ホール 1,500円

Rachmaninov

ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18

Tchaikovsky 

交響曲第5番ホ短調 作品64

杉本 賢志/岡山交響楽団/小野文子(p)

 日曜日の昼頃、という演奏会日程は良いですね。音楽を趣味としない女房に会場まで送ってもらって、当日券を買いました。1,000人くらいかな、お客さんは。雨模様だったし。トロリとメランコリーなこの協奏曲は、ワタシにとってはなんとナマ3回目。好きなんですよ。このサイトにも数回登場していました。

 今回は「序曲」みたいのがなくて、いきなり本ちゃんの協奏曲で小野さん登場。いつもながらの超絶技巧が必要とされる曲で、CDで聴くのと違って眼前にピアニストは迫力が違います。「情念を感じさせるリヒテルか」「ショパンのように繊細なヴァーシャリか」なんて求めたいが、それは贅沢なよそごとです。

 このメランコリー=哀愁はヴィオラがキモなんですね。くすんだ音色がたまらない。ホルン・ソロ、フルート〜クラリネットに受け継がれる甘やかな旋律。華やかなピアノに、ピリリとアクセントを加える3人の打楽器奏者。金管の迫力は岡響の売り物だから文句ありません。


 交響曲のほうは、この曲少々苦手・・・というか、チャイコそのものが旋律が気恥ずかしくて、普段は聴く機会が少ないんです。でも、さすがにこの有名曲、よく知っておりました。正直、この演奏会で好きになりそうな予感もあります。

 冒頭のクラリネットの(これまたメランコリックな)動機が全曲を支配します。低音が美しく、なんともいえない陰鬱な雰囲気をかもし出します。この曲もヴィオラ・チェロなんだなぁ。ロシアの憂鬱は。金管が活躍するのは前曲以上でしょう。

 第2楽章開始前に、杉本さんが「9月11日の悲劇的な事件で亡くなった人々に」と前置きして指揮を開始。正直、この楽章がこれほど悲しみと慰安に満ちていたとは知りませんでした。

 ホルン・ソロがポイントです。できうればヴィヴラート掛け過ぎのロシアン・ホルンであってほしいが、ま、そうもいかんでしょうが、相当に立派で説得力のある演奏で、心に染みましたよ。

 第3楽章ワルツのなんと甘い世界。これが第6交響曲になると「5拍子」という中途半端なリズムとなります。「チャイコのワルツなんて」と、正直バカにしてました。先日のコウワ・バレエで聴いた「白鳥の湖」のワルツだって、ナマで聴けばジ〜ンと来るもんなんです。

 終楽章は冒頭の旋律が回帰して、絶望から喜びとなって終了します。ここは金管大活躍(トランペットの高らかな歌も、トロンボーンの深み、ホルンの厚み、チューバの重量感)で、この圧倒的パワーは筆舌に尽くしがたい。

 ワタシ、1999年5月23日の第29回定期演奏会を思い出しておりました。初めて岡響と出会ってから2年以上経ったが、岡響は変わったと思うのです。それは単に技術的問題だけでなく、曲に対する共感とか、ずばりアツい感動を強く感じるのです。

 そんなことを考えつつ、アンコールの「ヴォカリーズ」に癒されながら帰宅しました。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi