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かぶとやま交響楽団第41回 定期演奏会


2010年7月3日(土) 14:00開演〜伊丹アイフォニックホール

Schumann

交響曲第1番変ロ長調 作品38 「春」
交響曲第2番ハ長調 作品61

高谷篤義/かぶとやま交響楽団

 自分が”苦手系”と呼ぶのは、いつか和解したいという意味の作品であります。大阪文化圏に戻ってきて3年半、さすが都会は演奏会探しに苦労することはありません。アマオケの演目はおおよそBEETHOVENBRAHMSTCHAIKOVSKYであって、Schumann交響曲2曲なんて!なんと意欲的なんでしょう。これは駆けつけなくてはっ!ご近所だし。最近手抜きのコメントのみ、少々。

 指揮の高谷さん(団内指揮者)が出てきて一年前の思い出が蘇りました。彼(か)の几帳面なる細部詳細生真面目なる指揮ぶり。アイフォニック・ホールは小さくて、演奏者の息遣いがモロに伝わるんです。左に第1ヴァイオリン、チェロ+奥にコントラバス、右にヴィオラ、そして第2ヴァイオリン、旋律の受け渡しが明快に分かれて聞こえます。これがナマの凄いところ。

 でもね、あの(録音で聴けば)混沌とした響きが期待通りにクリアに解決されない。それは、緊張と緩和、大爆発と弱音の対比、妙が表現されていない。常に響きは濁って、リズムが柔軟ではない・・・ような気がします。「春」の魅力を新たに発見できない。技量云々のことを言ってるんじゃないですよ。

 ”苦手Schumannの交響曲”といっても、第2番ハ長調はけっこう気に入っているんです。1990年ごろ、ウィーン・フィルの定期に登場したエーリヒ・ラインスドルフ、FMでしっかり聴いた記憶がある。冒頭の弱音トランペットは難しいでしょうね。几帳面なるリズムの刻みもこちらの作品だったら効果的。やはり、強弱、緊張と緩和という点では悩ましいが、第2楽章「スケルツォ」の弦の緊張感溢れる刻みも上々、ラスト、ティンパニの圧倒的な迫力も決まって感銘深い。

 小編成のオーケストラ、洗練されたアンサンブルとは言いがたいが、意欲は買いますよ。金管がちょっと弱いかな。貴重なる演目に感謝。

written by wabisuke hayashi