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松本和将と倉敷アカデミーアンサンブル
「トワイライトコンサート」


2006年10月21日(土) 16:30開演〜倉敷芸文館ホールにて  2,500円


Mozart

ロンド ニ長調K.382
ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488

Chopin

ピアノ協奏曲第2番ヘ短調

松本和将(p)/倉敷アカデミーアンサンブル/守屋剛志(ゲスト・コンサートマスター)

   地元が生んだ若き名手・松本和将さんのコンサートです。どういうワケか女房が行ってみたいとのことで、計5,000円支払ってきました・・・充分ペイしたと思いますよ。小さめのホールだけれど、熱心なファンで満員でした。Mozart は馴染みのお気に入り作品だけれど、ナマでの体験は初めてだと思います。Chopin のほうは数度聴いているはずだけれど、罰当たりなことに好みとは言い難い。

 ロンド ニ長調K.382始まりました。ワタシはこの牧歌的テイストの変奏曲が大好きです。地元若手演奏家で構成される「倉敷アカデミーアンサンブル」とは初めての出会いだけれど、女性が7割以上、目にも鮮やかなドレスがよく似合って皆艶(あで)やかに美しい。コントラバス左奥、第2ヴァイオリン右側の対向配置、繊細なる弦を始めとして、フルート、オーボエも美しいこと鮮やかであります。

 お次の名曲中の名曲K.488でも同様だけれど、松本さんのピアノは若々しく、溌剌として精気に充ちたものだけれど、時に弱音を生かして繊細なる表情を見せてデリカシー。いかにもMozart に相応しい、清廉なるテイストに溢れて幸せなピアノだけれど、ワタシは同時に素晴らしきヴォルフガングのオーケストレーションに痺れました。”馴染みの作品〜”てなこと言いつつ、オーボエが含まれないことに初めて気付きました。もちろん(先ほどのロンドにて活躍した)ティンパニは登場せず。クラリネットとファゴットがエエ仕事してます。うっとりするような、まろやかなアンサンブルです。

 瞑想的なる「アダージョ」は存分に配慮の行き届いた表現だけれど、それさえ清潔感で濃厚に粘らない。嗚呼、Mozart って素晴らしい。

 休憩後、Chopin であります。ワタシはこのヘ短調協奏曲を初めて”理解”したように思えました。珠玉のような甘美な旋律が延々と続くんです。聴き手はそれを素直に楽しめばよろしいのでしょう。松本さんはChopin に相応しい集中力と、躍動があって甘みが過ぎない。重くならない。

 倉敷アカデミーアンサンブルは美しいですよ。でも、オーケストレーションはあくまでピアノ・ソロを引き立てるために存在します。ピアノ・ソロが浪漫に溢れた旋律を歌い出すと、ほとんど弦のみの単純伴奏になってしまって、こりゃまるでPaganiniでっせ。我らがヴォルガングとは大違い。金管の出番も少ないですねぇ。時に出てきても、通り一遍の・・・は、さておき、ワタシはこの作品の”甘美”をすっかり気に入りました。

 アンコールは「トロイメライ」、若干22歳の守屋剛志君による「チャールダッシュ」(Vittorio Monning、低音の妖しい魅力+圧倒的技巧爆発し、ラスト、Andre Gagnonの「めぐりあい」・・・最高のヒーリング・ミュージックでした。  


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi