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【岡山大学交響楽団第52回定期演奏会】(2005年12月10日)


2005年12月10日(土)PM 6:30〜岡山シンフォニー・ホール

Borodin 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
秋山 隆 指揮

Tchaikovsky 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
Sibelius 交響曲第2番ニ長調

保科 洋/岡山大学交響楽団  当日券 800円

 ああ、楽しかった。でも今回は同行はおらず、顔見知りの聴衆もいなかったのが少々寂しいような演奏会でしたね。第2ヴァイオリン二人(OB)+ハープ(賛助)以外はすべて自前団員という立派なもので、技術的な不備はほとんど発見できず、しかもオーケストラは朗々と良く鳴りました。”歴史は継承された”〜ことは間違いない。演目にも興味ある作品が並んで下さいました。ワタシはこのオーケストラ6年目、その間に学生はすっかり入れ替わっております。

 「だったん人の踊り」は子供の頃から大好きな作品だけれど、さすがにここ最近聴く機会は減りました。「誰のCDがお勧めですか?」と訊かれても、「はぁ、誰のでも、そこそこ」と答えるしかない。でも、ハープとチェロのピツィカートに乗って、オーボエが、そして様々な木管がゆったり呼応するとエキゾチックな甘美な感傷が胸に迫ります。懐かしいオーボエ、ホルン、フルート、皆文句なく上手いが、打楽器5人でしたか?この効果がまったく凄い。タンバリンは台に付けていたけど、なかなか効果的。大太鼓もエエ迫力ですね。

 フツウはややノリの悪い一曲目だけれど、かなりの好調で発進いたしました。一度、合唱付きでナマ体験したいもの。

 「ロメ・ジュリ」もロシアの甘美な旋律だけれど、さすがTchaikovsky、より洗練され(リズム・構成は)複雑な作品であります。木管の技量はさきほど確認していたけれど、金管の輝くようなラッシュに圧倒されました。そして文句ない打楽器群の華やかな刻印・・・細部をていねいに仕上げるためか、時に流れが(やや、ほんの少々)渋滞気味になることもないではないが、ワタシは(馴染みの作品だけれど)初めて”この作品がわかった”ような手応えがありましたよ。

 SIBELIUSは岡大響二度目の経験となります。今まで触れなかったが、コンマス君大奮闘で全体を牽引しておりましたね。中低音が良く響いて安定感があること。フルートの豊かな響き、トランペットの壮絶なソロ、深々としたホルン、そしてなにより全編に渡って活躍するティンパニが素晴らしい・・・これ以上のコメントができないほど感銘を受けました。

 いや、正直、ワタシは心底感動しました。北国の荒涼たる風景が眼前に浮かびました。吹雪の中を息も絶え絶え進んでいく〜そして終楽章ラストで清涼なる空が晴れ上がり、太陽が顔を出す・・・こんなナマ体験したら、CDなんてちょっと安易に聴けないな、と。自業自得だし、人並みのお給料いただくのも楽じゃないのはわかり切ったことだけど、苦しい一年だった。でもさ、もういいじゃない。こんな素敵な音楽を聴けたんだから。

 アンコールは「カレリア組曲」〜「行進曲」・・・この晴れやかでゆったりとした楽しさは、交響曲とはまた別の喜びを与えて下さいました。この作品も賑々しく打楽器大活躍するんですね。弦楽器は余裕の表情だし、木管は楽しげだし、金管はメ一杯華やか。この演奏会を最後に卒団する4年生が紹介されたけど、万感胸に迫るものがありました。良い学生生活を送りましたね。

 演奏会素敵なナマ体験に、細かい屁理屈コメントは必要ありません。

  


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi