Weber クラリネット協奏曲集(エンマ・ジョンソン)


BRILLIANT  99494-1 Weber(1868-1826)

クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73

ヤン・パスカル・トルトゥリエ/イギリス室内管弦楽団(1987年録音)

クラリネット協奏曲第2番 変ホ長調 作品74

ジェラルド・シュウォーツ/イギリス室内管弦楽団(1989年録音)

エンマ・ジョンソン(cl)

Mozart (1756-1791)

クラリネット協奏曲イ長調 作品622
ハーメン・デ・ボア(cl)/レフ・マルキス/ニュー・シンフォニエッタ・アムステルダム *

BRILLIANT 99494-1(ASVからのライセンス/*を除く)  3枚組830円で購入

 イギリス生まれのクラリネット・アイドル〜エンマ・ジョンソンもいつのまにか中堅の世代へ。(1966年生まれ)こうして廉価盤の音源として使われるようになれば、一人前です。この価格だと文句も言えないが、音源の選択には少々不満はないわけでもなくて、有名なMozart にはボア盤(既にMozart 40枚組に収録済み。つまりダブリ〜立派な演奏だけれど)が使われていること。どうせなら、ジョンソン17歳デビュー録音を収録して欲しかったし、Weberなら小協奏曲ハ短調も外すべきではない。(1985年の録音が存在する)

 シロウト考え+曖昧な記憶なんだけど、レジナルド・ケルという往年の名手がいたでしょ?エンマ・ジョンソンを聴いていると彼(か)のセクシーなヴィヴラートを思い出します。独墺系じゃないかも。いずれも18世紀中後半のクラリネット名曲が目白押しの3枚組(他CRUSELL、SPOOHR、Krommerなどが収録される)中の一枚、この時期にクラリネットが実用化され、名曲連続!人気が高かったことが伺えます。この辺り(マンハイム楽派?)には目がないワタシ。

 Weberは、Beethoven の時代とほとんど変わらないんですねぇ。Beeやんのほうは、ぐっと劇的というか、革新的な作品横溢だけれど、Weberのいかにもドイツ・ローカル、素朴な味わいの旋律は魅力的です。もっと聴かれて欲しいもの。(技法的にはなかなかのものがある・・・とのこと。ホルンの活用など/この協奏曲でも大活躍)クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34も名曲で、Mozart 、Brahms に負けない名曲と思います。

 第1番ヘ短調協奏曲は深刻・劇的なオケから始まります。ここは美しくも深い響きで、抑え気味に演奏して欲しいもの。イギリス室内管には不満はあるはずもない。そっと静謐ていねいにクラリネット・ソロ登場。愁いを含んだセクシーな音色であります。やがて旋律表情は微妙に揺れて明るい方向へ〜エンマ・ジョンソンの音色は艶やかであり、技巧はあくまでスムースでムリがない。

 白眉は第2楽章「アダージョ」でしょう。優しくも夢見る旋律は、ヴィヴラートに微笑んだクラリネットでそっと歌われ、奥深いホルンが絡むんです。終楽章には快活素朴なリズムが戻るけれど、エンマ・ジョンソンは弱音を大切に、ニュアンス豊かな抑制が光ります。途中、終わったかな?(実演だと恥ずかしい、慌て者拍手があるかも)と思わせて、哀しい泣きの旋律が登場〜やがて軽快で快活晴れやかな表情が戻って大団円へ。

 第2番 変ホ長調協奏曲は一変!馴染みの素朴なリズムと、喜びに溢れた旋律であります。超高音も駆使し、上下動激しいソロ旋律は、いかにも超絶テクニックを要求されそう。まるで鼻歌でも歌うかのように流れよく、洗練された表情で進めていくエンマ・ジョンソン。

 第2楽章「アンダンテ」は(先の)第1番ヘ短調とは逆で、抑鬱とした表情が暗く、劇的でした。ここで爽やかなフルートが絡んで対比します。中間部には穏やかな表情も散見されるが、すぐに悲劇でうち消される・・・寂しげ弱音で、後ろ姿が消えていく表現付けは絶品!

 終楽章には、いつもの素朴で確固たるリズムが戻る(アラ・ポラッカ=ポロネーズのこと)けれど、ジョンソンの表現は四角四面じゃない。柔和であり、セクシーであり、軽快であります。細かくもめまぐるしい旋律を易々と流れよく演奏してお見事。

 ハーメン・デ・ボア(cl)は立派なMozart だけれど、エンマ・ジョンソンの録音は(この時点)存在しなかったんだっけ?全3枚中、これのみ別演奏家になっていて、コンピレーション方針が安易なんです。速めのテンポ、クール、”いかにも切れ味!”的モダーンな音色であり、演奏でした。売れ筋作品を配置したのだろうが、ここではやはり(エンマ・ジョンソンの)Weber 小協奏曲ハ短調を収録すべきだったでしょう。

(2009年5月1日)

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