Handel 「水上の音楽」組曲ヘ長調/ニ長調/ト長調
(ブーレーズ/ハーグ・レジデンティ管弦楽団)


Handel  「水上の音楽」組曲ヘ長調/ニ長調/ト長調(ブーレーズ/ハーグ・レジデンティ管弦楽団) Handel

「水上の音楽」
組曲ヘ長調(9曲)/ニ長調(5曲)/ト長調(4曲)

ブーレーズ/ハーグ・レジデンティ管弦楽団(1964年)  

オルガン協奏曲ニ短調 作品15

ロッグ(or)/デュナン/コレギウム・アカデミクム・ジュネーヴ

PLANETA-AGOSTINI GEP-41-2 $1.99で個人輸入

 コンサート・ホール・レーベルのLP時代からお気に入りでした。本コロンビアの国内盤で手に入るかも知れません。そのワリに演奏内容コメントされたり、話題になることは少なくて、それは後年のニューヨーク・フィルとの録音(1974年)でも同様。(SACDスーパー・オーディオCDで再発済)Handel そのものがあまり人気高いとは言い難いし、アーノンクール以来「現代楽器による水上の音楽」〜は少々日陰者っぽくて、「いえ、じつはワタシ、サージェントの豪華なのが昔から好きなんです」とは公言しにくい風潮もないではない。いいじゃないの。クーベリック盤(1963年)もセル(1961年)も大好きですよ。ワタシは。

 現代楽器や大きな編成による演奏云々の前に、「ブーレーズがHandel ?」みたいな先入観があるのかな?それにこのレーベル最大の問題である「音質の劣悪なこと」もたしかでして、ほかにいくらでも「安くて」「昨今の古楽器系で」「新しく優秀な音質で」CDは売っているから、どうしても疎遠になっちゃいますか。オーケストラもハーグ・フィルじゃ少々知名度低いですし。

 でもね、(ごくごく最近の録音は知らんが)ブーレーズって変わっていないと思います。やれ、過激さが影を潜めた、すっかりマルくなってツマらない、とかクソミソ論評も見掛けるが(Mahler の一連の録音は、ワザと浪漫性を完全に排除しているんでしょ?全然気に喰わないが)、大昔のこの録音を聴くと、ちゃんとブーレーズしている、と思います。

 アンサンブルの集中力が高いこと〜しかし、オーケストラの技量問題か(録音問題と相まって)洗練された透明な響きとは言い切れない。(でも、同時期のシューリヒトと同じオーケストラとは思えぬ!)リズム感は都会的で、やや編成的には大きいが、スリムで引き締まった世界が続きます。やや速めのテンポ、ノンビリした浪漫の欠片も引きずらない、モダーンなすっきりとした旋律の歌い回し。表現としての旧さは感じさせなくて、颯爽とカッコよい「水上の音楽」。

 有名な「エア」なんか、さっぱりとしたもんですよ。「ホーンパイプ」の金管群の輝かしいこと〜これはブーレーズの薫陶ですか?先日クーベリック/ベルリン・フィルの立派な演奏(1963年)を聴いていたら、金管の威圧感に少々驚きました。それには少々適わないが、バランス感覚というか、オーケストラを透明に鳴らすことにかけてはブーレーズの手腕に間違いはない。それは、少々厳しい録音条件でもちゃんと理解できました。


 オルガン協奏曲のほうは音質がかなりマシです。コンサート・ホール・レーベル・ファンなら馴染みのロベール・デュナン/コレギウム・アカデミクム・ジュネーヴは、想像以上に厚みのある、立派なアンサンブルでした。ライオネル・ロッグも懐かしい。1曲だけだけれど、気分転換にピタリ!のかなり悲劇的な旋律の作品でした。(2004年12月24日)


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written by wabisuke hayashi