Tchaikovsky お気に入りワルツ集(ハンス・フォンク)
Tchaikovsky
歌劇「エフゲニ・オネーギン」〜ワルツ
バレエ音楽「くるみ割り人形」〜花のワルツ
ハンス・フォンク/シュターツカペレ・ドレスデン
バレエ音楽「白鳥の湖」〜ワルツ
ハンス・フォンク/バイエルン放送交響楽団
バレエ音楽「くるみ割り人形」〜情景とお爺さんの踊り
ハンス・フォンク/シュターツカペレ・ドレスデン
バレエ音楽「眠れる森の美女」〜ワルツ
ハンス・フォンク/バイエルン放送交響楽団
バレエ音楽「くるみ割り人形」〜雪片のワルツ
ハンス・フォンク/シュターツカペレ・ドレスデン
弦楽セレナード ハ長調〜ワルツ
ヴォラート/ベルリン室内管弦楽団
交響曲第5番〜ワルツ
ウルバネク/プラハ・フェスティヴァル管弦楽団
バレエ音楽「白鳥の湖」〜第二幕白鳥の女王の踊り
ハンス・フォンク/バイエルン放送交響楽団
バレエ音楽「くるみ割り人形」〜フィナーレのワルツと昇天
ハンス・フォンク/シュターツカペレ・ドレスデン
LASERLIGHT 15 610 録音年不明(発売は1989年) 250円(中古)で購入
最近消息不明のハンス・フォンク(1941年〜オランダ)。1991年〜ケルン放響の音楽監督に、たしか1996年にはセントルイス響の指揮者に就任したはずだけれど、2002年には重い病に罹って辞任、という記事を読んだことがあります。(「全日本フォンク愛好家倶楽部」〜試しにGoogleで検索掛けてみてください。出てくるでしょ?ワタシのジョーダンが)このCDは1989年のMade in USA。早くから廉価盤に熱心だったLASERLIGHT〜一見通俗名曲寄せ集め風CDながら、じつは内容は非常に濃いんです。
フォンクはTchaikovskyの三大バレエの抜粋録音があるはずで、基本そこからの「ワルツ」集成+α、といった感じでしょうか。この人はオーソドックスで、やや牧歌的な音楽を作る人ですが、オーケストラがシュターツカペレ・ドレスデン+バイエルン放響でしょ?ワタシの好みモロ的オーケストラ+やや無名風指揮者二人参加、このCDは買わんと罰当たりまっせ。(もう滅多に売っていないが)
演奏云々はコメントするほどのことはなくて、ちゃんとした、というか腰の据わったシンフォニックな味わいです。この人、アクを強調する人じゃありませんから。どの曲も平均6分ほど。ウィンナ・ワルツとは一風異なった、ちょっと哀愁ウェット方面で変化に富んでいる世界が楽しいこと限りなし。ドレスデンとバイエルンの違いを楽しみましょ。
いかにも「お金持ちお屋敷の豪華舞踏会!」雰囲気の「オネーギン」、最高の知名度を誇る「花のワルツ」〜ティンパニの重量感をベースに、ドレスデン特有の透明ブルー系の涼やかなサウンド(これは弦の印象かな?)が光ります。例の如しで、ややヴィヴラート有のホルンは個性的、木管・金管の柔らかい味わい・・・以下、このオーケストラ担当分は同文。
「白鳥の湖」「眠れる森の美女」担当はバイエルン放響となります。両団体ともアンサンブルになんら優劣はないけれど、こちらはもっと元気が良くて、まったりとした暖かい印象があるのは、録音会場問題もあると思います。ドレスデン(聖ルカ教会?)のほうが、細部まで明快。いえ、バイエルンのほうの録音が劣る、ということではなく、性格付けの問題。もっと、各パートの響きが融けあっている感じ。ドレスデンは各パートの個性が際だって聞こえます。それに少々重量感が勝るかな?
どの作品も昔馴染みで素敵だけれど、「白鳥の湖」〜第二幕白鳥の女王の踊り・・・これはバレエの情景が眼前に浮かびます。優雅なハープに乗ってソロ・ヴァイオリン(誰ですか?この上品な表情。この時、ケッケルトはもう在籍していませんか?)が、そして途中からチェロが切なく歌うじゃないですか。ここ、白眉(と、自分の好み勝手で)。
問題はヴォラート/ベルリン室内管+ウルバネク/プラハ・フェスティヴァル管。ヴォラートはベルリン響(旧西と想像される)とBeethoven の録音がありました。ここではわずか4分弱の可憐なるワルツだけれど、細かい味付け、微妙にテンポも揺れて上出来。プラハ・フェスティヴァル管(録音用臨時編成?)もこの楽章を聴く限り、危惧したようなヘロ演奏水準ではありませんでした。(パヴェル・ウルバネクは検索しても、この交響曲第5番のみしかネット上に登場しません)
選曲、演奏家、演奏・録音水準とも、よく配慮されたコンピレーション・アルバムだと思います。(2004年3月19日)