Wagner 楽劇「ニーベルングの指環」より管弦楽作品集
(ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団)


Gala/SONY 500693 2 @250/ツマらんデザインだなWagner

管弦楽作品集 楽劇「ニーベルングの指環」より
楽劇「ラインの黄金」より「ワルハラ城への神々の入場」
楽劇「ヴァルキューレ」より「ヴァルキューレの騎行」「魔の炎の音楽」
楽劇「ジークフリート」より「森の囁き」
楽劇「神々黄昏」より「夜明けとジークフリートのライへの旅立ち」「葬送行進曲と終曲」(以上1968年)

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」〜「前奏曲と愛の死」(以上1962年)

ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団

Gala/SONY 500693 2 中古@250

 

 前半6曲がオリジナル収録で、LP時代発売されて即購入、ワタシのWagner体験の原点となったもの。(蛇足だけれど、CD時代に入り駅売海賊盤にて購入/今年(入手当時)2007年1月にBOOK・OFF@250にて正規盤入手/ほぼ40年に至るお付き合い)・・・これが刷り込みであって、後、著名なショルティとかクナッパーツブッシュを聴いても”違和感”に悩まされたものです。

 これがLP時代のオリジナル・デザイン/サイボーグ009みたいで素敵ところが、(久々の聴取)印象には逆に違和感有。均整の取れた肉体には贅肉一切なし、アンサンブルの集中力にはクールな知性を感じさせ、非情であります。こども時代より細部まで馴染んだ演奏であり、感動するに吝かではないが、Wagnerって美食飽食の挙げ句メタボリックな響き、みたいな期待もあるんです。これはやはり偉大なるクナパーツブッシュの、巨魁なる怪しい演奏の影響が大きいのか。セルの解釈は整いすぎて、痩せすぎであり、真冬の寒風には少々寒すぎる・・・そんな感想がありました。「マイスタージンガー」/「トリスタンとイゾルデ」の研ぎ澄まされた洗練には、深い感動ちゃんとありましたよ。音質はいずれも”並”。

 これは2007年12月「音楽日誌」での感想。右の画像はLP時代懐かしいオリジナル・デザインであります。出会いは中学生、ノーミソも柔軟だったし、集中力も記憶力もあったのでしょう。「リング」の主たる旋律はこれでほとんど馴染みとなりました。やがて、ちゃんと歌の入った全曲を聴くに至って、やはり歌あってのオペラ、管弦楽だけではどーも物足りない、隔靴掻痒状態と感じるように・・・5年前の印象では既にジョージ・セルの引き締まった筋肉質のサウンドに全面共感しなくなっておりますね。さて、数年ぶりの拝聴印象や如何。

 「ワルハラ城への神々の入場」始まりました。これがまさに”一糸乱れぬ”といった空前絶後の縦線ぴたり合って、各パートのバランスお見事。このコンビは何度聴いても同じことを感じるんだけれど、各パートが固有の色とか個性を発揮しない、ひたすらアンサンブル・トータル融合したサウンドして響き渡ります。厚みは充分、しかしあくまで過不足なく鳴り渡る・・・「ヴァルキューレの騎行」だって、テンション高い弦に乗って、例の金管の豪放が突出しません。迫力に不足はないけれど、大爆発!に非ず。逆にそこが(ショルティ辺りを後年聴いたら)少々物足りない?そんな感想に至るのかも知れません。

 それと(同じ繰り返し恐縮)やはり声楽(Hajotoho!と)が入らぬと・・・うどんに七味が抜けているみたいな感じ。

 「魔の炎の音楽」だと、いっそうその手応えの不足を痛感します。金管が軽量過ぎ、リズムが軽快過ぎ、スムース流麗過ぎ。ヴォータンの歌が入らぬと、ね。オーケストラは上手くて、美しいのだけれど、充分。「森の囁き」に於ける静謐なる弦の歌、木管による小鳥の啼き交わしには心より感動いたしました。しかし、これも欧州オペラハウスの”音”、”色”が欲しいところ。これは、長じてそんな音を知ってしまったからこその感想であります。

 「夜明けとジークフリートのライへの旅立ち」「葬送行進曲と終曲」は最高。精密緻密繊細な演奏を聴いてしまったら、”これが刷り込みであって、後、著名なショルティとかクナッパーツブッシュを聴いても”違和感”に悩まされた”というのは、この部分なんです。夜明けの一条の光はクラリネット〜弦に引き継がれるでしょ?このニュアンスを経験してしまうと、迂闊に他のは聴けまへんで。やがて金管の爆発がやってくるけれど、これも抑制的(なのが少々不満に思えたのは後年のこと)であり、バランスを以て響きは濁らない。青年の決然とした眦(まなじり)が眼前に浮かびました。

 全体にリズムの刻みがやや軽量だけれど、ホルンなどほんまに上手い。ここ一番の感動のしどころであります。徐々に熱を帯び、爽快なる空気充ちて「葬送行進曲」へ。キレ味も荘厳なる風情にも不足はないが、もっと重々しいことを期待したいところ。それにしてもアンサンブルの緻密なこと、驚くばかり。「終曲」はジョージ・セルの解釈云々ではなく、やはり歌が入らぬと・・・というのは聴き手の勝手な妄想であります。

 残り2曲は別録音(1962年)であって、このCDにて初めて拝聴したもの。音質に不足はありません(ややデッドながら鮮明)。祝典的な雰囲気に溢れる「マイスター」前奏曲は、たいていの演奏に満足できるんです。本来オペラ指揮者であるセルの面目躍如、端正で引き締まったサウンド。「トリスタン」も禁欲的、かつ流麗な演奏であり、細部迄味付け指示が行き渡った驚くべき水準であります。鳴り切ったオーケストラの技量が凄い。

(2012年11月4日)


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written by wabisuke hayashi