Wagner 管弦楽作品集
(ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック)


Wagner 管弦楽作品集(ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック) Wagner

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
歌劇「タンホイザー」序曲
ファウスト序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と「愛の死」

ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック

CBS/SONY FDCA335 1971年録音 250円(中古)にて購入

 ピエール・ブーレーズのニューヨーク時代(1971〜77)のみならず、CBS/SONY時代の録音はいくつか復活しておりません。どこにでもある、と信じてきた「幻想交響曲」(ロンドン交響楽団)だって、メールをいただいて”じつは入手困難”であることを発見した次第です。たしか別な録音で「ジークフリート牧歌」もあったはずだけど、このCDは(例の)BOOK・OFF(2006年出張先仙台駅西口店)処分250円で簡単に手に入れたもの。サイトを検索しても録音時期さえ特定できず、状態。どこにも売っていないのか。最近、転居都合でCDいろいろ大量オークション処分したけど、一律300円もってけ!出品したはずなのに中には異様に高値取り引きされたのも、長い”マニア生活”の賜(たまもの)でしょうか。

 ワタシにWagnerを語る資格などないけれど、この録音はなんかヘンでした。

クールで怜悧、緻密なアンサンブルを想像したが、なんかちゃいますね。まず、録音がよろしくない。定位も奥行きも滅茶苦茶でして、更にアンサンブルが粗い。つまり、バーンスタイン時代(不調時の)ニューヨーク・フィルの状態に近くて、ブーレーズがオケを叱咤激励して、結果、妙にアツい演奏に仕上がっております。そう、妙な演奏、という印象が拭えなくて、もちろん彼のことだから、煽ったり走ったりの表現はないけれど、ブーレーズも若かったな、といったところか。作品、解釈、オケの個性がバラバラの方向ですな。(2006年8月「音楽日誌」より)
 「マイスタージンガー」前奏曲は、かつて「遅い!」ということで話題になった記憶もあるが、現在の耳では「それがどうした」的感慨であって、明るい響き、やや集中力を欠くアンサンブルは妙にノリが足りない。曖昧模糊としたWagnerから脱却しようとした、明快サウンドを目指したのか。中間部の木管のスタッカートはかつてない、音符を確かめるような刻みとなります。賑々しいが、「遅さ」は雄大なるスケールを意味しない。

 「タンホイザー」は前曲よりも違和感が少ないが、ピッチが少々悪いような?ワタシはふだん、そんなことを気にする音楽愛好家ではないが、愛するブーレーズなら文句も言いたくなる・・・乾いて残響少な目の録音印象もあるのでしょうが、この時期のニューヨーク・フィルハーモニックは絶好調とは言えぬと思います。それに、途中からけっこう”燃えて”くるのも期待通りではない。

 ファウスト序曲は演奏機会の少ない作品だけれど、ブーレーズらしいマニアックな録音だと思います。これは比較対照が少ないせいか、峻厳でカッコ良い。「トリスタン」は耳が慣れたせいか?爽快明快なるサウンドが官能的な旋律に似合って、充分楽しめました。彼なりに、けっこう煽って(テンポも少々アップする)盛り上がりはちゃんとあります。清涼感だってちゃんと有。が、いずれ、ほとんどなにも味付けしていないようで、結果的に絶妙なる色気が出現する〜的後年の精緻なる熟練した域に達していないと思います。

 Wagner作品との相性問題か、当時のニューヨーク・フィルとの相性か。聴衆からの評判は(当時)イマイチだったそうです。バーンスタインの人気が圧倒的でしたからね。

(2007年4月27日)

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written by wabisuke hayashi