Vivaldi 協奏曲集(ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団)


edelclassics 0002332CCC/6 ツマらんデザインだ Vivaldi

オーボエ協奏曲 ニ短調 作品8-9/RV 454
フリッツ・シュナイダー(ob)

歌劇「ダリウスの戴冠」 RV 719 〜シンフォニア ハ長調

ファゴット協奏曲イ短調 RV 497
エルヴィン・クレツマー(fg)

協奏曲イ長調 RV 585
ワルター・ハインツ・ベルンシュタイン(cem)

フルート協奏曲 ニ長調 「ごしきひわ」 作品10-3/RV 428
ハインツ・フグナー(fl)

弦楽のためのシンフォニア ロ短調 「聖なる墓にて」 RV 169
ワルター・ハインツ・ベルンシュタイン(cem)

ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団

edelclassics 0002332CCC/6   1970年録音

 ま、ぎょっとするような(作品/演奏者)組み合わせではあるし、Vivaldiの作品中、あまり著名でないものを集めたというのもマニアック。Vivaldiは明るく軽快、軽妙な響きが基本だから、こりゃいったいどーなるのか?かつてはずいぶんと話題になったものです。15枚組ボックスは再発売され、現在でも入手可能らしい。ところが一枚物からボックスに収録し直したら、作品名詳細、演奏者クレジットがずいぶん簡略化されてしまいました(しかもパンシェルル番号=Pになっているし)。上記は旧CDから情報探しだしたもの。

 著名なる「四季」が作品8/1-4。「和声と創意への試み」は全12曲あって、作品8/6以降が真打ちなんですよ(と、個人的に思う)、聴かれる機会は少ないけれどとても愉しい。オーボエ協奏曲 ニ短調 「作品8-9」となっているけれど、それはヴァイオリン協奏曲であってRV236、そのオーボエ協奏曲版がRV454である由。手許にはトレヴァー・ピノック盤(1978年旧録音)があって、マイルド、もの哀しいテイストに溢れてなかなかよろしい。これがケーゲルの手に掛かると少々悲劇度増して、弦は泣き、オーボエは上手いがジミで神妙。弦の編成は刈り込んでいるようで大編成の違和感はないけれど、両端楽章の雄弁なる切迫感は何とも言えぬ味わいです。

 「ダリウスの戴冠」 は親しげな開始(ハ長調ですから)なのに、ちょっぴり暗転するところに緊張感有、というか、どんどん悲劇的なテイストになっていくから不思議。豊かで厚みのある弦楽合奏ですよ。急緩急のイタリア風序曲であって「アンダンテ」には纏綿と深刻なテイスト有。ラスト「プレスト」はわずか33秒。ファゴット協奏曲はイ短調であって、(再び)弦が悲痛な叫びを上げます。ファゴットってユーモラスな持ち味だと思うが、ここでの旋律もやたらと陰影に沈んで、軽快なるテイストに非ず。クレツマーの技巧は文句なし、ここでも緩徐楽章の嘆きが白眉であって、なんて哀しい音楽なんだ!(Vivaldiなのに)そう思わせる音楽の力有。チェロのオブリガートがエエ味出しております。終楽章の弦(のラッシュ)はバロック音楽として違和感のあるものではないでしょう。

 協奏曲イ長調 RV 585にはソロ楽器はありません。朗々とした押し出しの良い第1楽章「アレグロ」、ところが第2楽章「アダージョ」に至ると再び嘆きの音楽となります。(ほんの一分ほどだけれど)最終楽章のヴァイオリン・ソロの絡み合いは哀しみに充ち、弦楽合奏がそれを否定して明るく振る舞う、といった不思議な風情。 「ごしきひわ」 はこのCD中唯一の著名作品であって、フグナーの豊かで厚みのある太い音色はいかにも独逸!第2楽章「カンタービレ」には悲劇はなくて、悠々と安らぎの風情であります。終楽章はフルートとヴァイオリンのユニゾンが晴れやかな世界〜この作品が全曲中一番明るい。しっとりとして、華やかではないが。

 「聖なる墓にて」は思いっきり深刻静謐な世界から始まって、題名の由来は知らぬが、いかにも”それ”らしい神々しい、神妙な囁きであります。「ラメント」と呼びたいくらい、集中力と纏綿とした嘆きに溢れます。延々と続く感じ。アダージョ〜アレグロからなっていて、各々4分強。どちらも似たようなテイスト。ほとんどMahler か。音質はそれなりに良好。

(2011年9月18日)

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written by wabisuke hayashi