VIEUTEMPS ヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調(メニューイン(v)1951年)/
第5番イ短調(ハイフェッツ(v)1947年)


MEISTERKONZERTE100枚組より77枚目 VIEUTEMPS

ヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調 作品31

ユーディ・メニューイン(v)/ウォルター・ススキンド/フィルハーモニア管弦楽団(1951年)

ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調 作品37「ル・グレトリ(Le Gretry)」

ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/マルコム・サージェント/ロンドン交響楽団(1947年)

MEISTERKONZERTE100枚組より77枚目

 協奏曲100枚組というのは超大物ボックスだけれど、ほとんど良心的な音質を保証して下さって、ありきたりなパブリック・ドメイン音源復刻と一線を画しておりますね。VIEUTEMPS(アンリ・ヴュータン 1820年 - 1881年)は浪漫派の作曲家であって、こうして20世紀の名手達現役のレパートリーとして生き残って、腕が鳴るような技巧披瀝には効果的な、美しい旋律で聴き手を酔わせます。この2作品は代表作。

 第4番ニ短調協奏曲は、メニューイン35歳の録音であって、この時点技巧の衰えや妙なクセは目立ちません。ステレオ前夜のEMI録音は良好であって、フィルハーモニア管弦楽団は清涼な響きでソロを引き立てております。ススキンドは合わせものが上手いですね。ちょっぴり哀愁+劇的な旋律で開始され、たっぷりの”泣き”旋律は決まっております。第2楽章「アダージョ」もそうテイストは変わらず、ほっとした安寧の表情に変化しておりました。第3楽章の「スケルツォ」はヴァイオリンの腕の見せどころであって、急速なパッセージが連続して緊張感を高めます。終楽章は堂々浪々とした晴れやかな旋律であって、ラストに向かって壮絶な技巧を求めるべく細かい音型が連続して大団円を迎えました。

 先ほど、”技巧の衰えや妙なクセは目立ちません”と書いたばかりだけれど、ヤッシャ・ハイフェッツが登場すると、すべてそんなコメントがすべて無意味になっちまうような完成度に唖然。以前に1961年のステレオ録音(この音質は素晴らしい)を拝聴したが、それと演奏時間がほとんど変わりない。音質は先のメニューインよりいっそう鮮明であって、すっかり作品的にも見直しました(少々好みから外れます、と以前書いたが)。最高。

 冒頭「アレグロ」より、蠱惑的な音色と節回しが絶品であって、単に指が回るとかそんな意味じゃなくて、旋律に絶妙な味付けがあるんです。さらさらと、なんの痛痒もなく弾き進めて流れがよろしい。ほとんど唖然とするほどの快さ。洗練。この楽章ラストには3分を越える壮絶なる”カデンツァ”が配置されるが、それはちゃんとトラック分けされている配慮有。アタッカで全曲通されるが、「アダージョ」に至って哀愁の旋律が、粛々と、時に劇的に聴き手の胸を打つ憧憬と荘厳さ有。

 ラストわずか1分程の「アレグロ・コン・フォーコ」の緊張感、一気呵成のフィナーレに打ちのめされました。

(2010年8月13日)

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written by wabisuke hayashi