Bruch ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調/
スコットランド幻想曲/Vieuxtemps ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調
(ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/サージェント/ロンドン新交響楽団)


EMI 0946 351825 2 1 2枚組470円入手 Bruch

ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調
スコットランド幻想曲 変ホ長調 作品46

Vieuxtemps

ヴァイオリン協奏曲第5番イ短調 作品37「ル・グレトリ(Le Gretry)」

ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/マルコム・サージェント/ロンドン新交響楽団

RCA BVCC-5063 1962/61年録音 2,000円にて入手

 1990年3月31日発売となっているから、その一年後くらいには入手したと思います。なんと贅沢!2,000円也。20年保てばそれは安い買い物であった、ということなのでしょう。先日、「ピーターと狼」「動物の謝肉祭」(岡崎友紀/エフレム・クルツ/フィルハーモニア管弦楽団)をオークションに出したら、1,100円で売れました。既に社会人である息子が小さいときに入手し、おもちゃ箱に眠っていたものをやがてワタシが引き継いだもの。評価欄では「商品も20年前に発売された物と思えないほど綺麗で、きちんと保管されていたものと察しております」との暖かいお言葉をいただきました。ワタシにとってCDは贅沢品であって、丁重に扱うのは当たり前の行為なんです。これだって、ガワは少々くすんだけれど無煙の自宅にて保存状態は上々。英DECCA、ケネス・ウィルキンソンが率いる録音チームの成果は極上であります。目が覚めるような音質、鮮度抜群。

 【♪ KechiKechi Classics ♪】 は”ド・シロウトの戯れ言”といった矜持を崩しちゃいけないのに、最近、こんな月並みな更新記事(著名作品/演奏/録音)では・・・みたいな不遜な態度になっていたかも(反省)。通俗名曲という言葉は失礼だし、だいたい死語と化しました。Bruch のヴァイオリン協奏曲なんて!と、少々安易に見ていたけれど、先日、ルッジェーロ・リッチの(少々クサい)演奏にすっかり痺れました。スコットランド幻想曲は、ベンジャミン・シュミットの細部入念なる演奏(2003年)にちょっぴり感心し・・・おお、そういえばこの作品、CDは持っていたっけ?(歴史的録音は聴いたばかり)と、棚中在庫を漁って出てきたのがこのCD。決定盤じゃないの?すっかり棚中存在を忘れていたけれど。

 演奏スタイルはまったくいつものハイフェッツ節〜さらさらと快速、クール素っ気ないほどの技巧を誇って、あっという間に時間は過ぎ去ります。ルッジェーロ・リッチにスタイルは似るが、こちらもっと突き抜けた洗練があって、作品を月並みなテイストから救っております。(Bruch ヴァイオリン協奏曲ト短調)力みとか、粘着質なる節回しではなくて、ひたすらヴァイオリンという楽器が純化されたサウンドで響き渡る〜そんな感じ。Bruch なんて!という不遜なる考えを一掃させる、一気呵成の勢いであります。もちろん額に汗!労苦の跡とは無縁。こんな浪漫の旋律床しい名曲だったのか。

 蠱惑的な美音、ってワケじゃないんだな。色付けを拒否したところから始まる世界、といったところか。「スコットランド幻想曲」だったら、作品旋律はもっと自由に変幻自在であります。たしか、名手サラサーテのための作品でしたっけ?Mendelssohnでお馴染み、暗鬱なる曇天をイメージさせる第1楽章旋律〜懐かしい民謡風旋律が頻出して素敵な作品であります。媚びた音色ではないんだけれど、細部味付け入念なる節回し、しかし粘着質に粘らない。むしろ線は少々細いとさえ・・・音楽が弱いわけじゃないんだけれど。第2楽章は舞曲風の躍動があって、スペイン交響曲を連想させますね。軽妙絶妙なるヴァイオリンの跳躍とテンションの高さ。

 第3楽章「アンダンテ」は、「I'm a Doun for Lack O'Johnnie(ジョニーがいなくてがっかり)」といった寂しげな民謡であって、ハイフェッツは速めのテンポ、颯爽とカッコ良く、気持ちよく演奏しております。終楽章はハープが絡んで華やか!躍動する山場が待っておりました。

 Vieuxtemps(ヴュータン)は第5番となっているから他にも協奏曲はあるんでしょう(全部で7曲あるらしい/他は未聴)。Schumannにテイストが似てませんか?Bruch より、いっそうヴァイオリンの妙技性が前面に表出された作品。ハイフェッツはスムースさらりと難曲をこなして、鼻歌まじりに作品を進めます。作品的にはBruch の旋律のほうが素敵で、こちら少々好みから外れます。

 往年の英国名指揮者、マルコム・サージェントは盤石のバックアップでしょう。ロンドン新交響楽団(New Symphony Orchestra of London)の情報は以前いただいております。意外とまともな、ちゃんとしたアンサンブルでした。

(2010年4月30日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi