Verdi レクイエム(トゥリオ・セラフィン/
ローマ歌劇場管弦楽団/合唱団1959年)


TESTAMENT UCCN-1024 Verdi

レクイエム

トゥリオ・セラフィン/ローマ歌劇場管弦楽団/合唱団/シェイキー・ヴァーテニシアン(s)/フィオレンツァ・コッソット(ms)/エウジェニオ・フェルナンディ(t)/ボリス・クリストフ(b)(1959年)

歌劇「シチリア島の夕べの祈り」 序曲(1961年)/歌劇「ジャンヌ・ダルク」 序曲(1959年)〜フィルハーモニア管弦楽団
歌劇「ナブッコ」〜行け、わが思いよ金色の翼に乗って/歌劇「十字軍のロンバルディア人」〜エルサレム、エルサレム/歌劇「十字軍のロンバルディア人」〜おお主よ、ふるさとの家々を/歌劇「エルナーニ」〜いま一度目覚めるのだ、カスティーリャの獅子よ/歌劇「トロヴァトーレ」〜アンヴィル・コーラス/兵士の合唱/歌劇「オテロ」〜喜びの火、楽しげな炎たち〜ミラノ・スカラ座管弦楽団/合唱団(1955年)

TESTAMENT UCCN-1024

 まず先人の残した美しい旋律をちゃんと味わうこと、誰それの演奏とか云々するのはその次なのでしょう。この作品はかつて、あまり知名度のない演奏家でもしっかり愉しんでおりました。似非金満中年に至り、更にはネットから自在に音源入手できるようになって、謙虚に音楽に対する姿勢を忘れました。だいたいVerdiをほとんどまともに聴いたことがない(ような気がする)10歳頃から音楽を愛して、見聞の幅を広げようと日々努力したつもりでも、知らずノーミソが硬くなっているのですね。この音源も前回拝聴から6年経過、入手以来十数年経ってCDとして入手困難になっているみたい。

 この作品はBachとかMozartを念頭に置くと時代が違い過ぎて、もの凄く雄弁甘美劇的ドラマティック、もうほとんどオペラ。わかりやすいド迫力と劇性はコマーシャルに広く、ありがちに使用されております(Dies Ira/怒りの日)。敬虔さが足りん!と嫌うご意見も見掛けました。ワタシは逆に、こんなに素敵なわかりやすい旋律だったら、もっと真面目にオペラを聴くべきだったと反省しきり。(「椿姫」くらいかなぁ、まともに聴いたのは)昔、オペラって(LPでもCDでも)枚数が多くて高かったんですよ、だから買えなかった。CD時代に至って、安い(音質芳しからぬ)歴史的音源(しか、買えなかった)選定が失敗であった・・・ド・シロウト理解には、まずちゃんとした録音第一、わかりやすいことが必須条件だったと後悔しても遅い。

 1959年録音は充分現役。合唱団の説得力は予想していたけど、ローマの歌劇場オケの厚み、迫力、自信に溢れた語り口、スケールに驚かされます。セラフィンの統率力かな?宗教作品の歌詞は型通り、筋書きを追わなくても良いので、人生日本語一筋な聴き手(=ワシ)にも純粋に旋律サウンドのみ堪能できるのが有り難いもの。

 Requiem et Kyrie(レクイエムとキリエ)。冒頭から囁くようなオケに甘美静謐な哀しみ〜合唱圧巻!ここでもう打ちのめされる魅惑の旋律でしょう。テノール(フェルナンディ)の明朗なる独唱〜4重唱、合唱へと続いて雄弁なこと!アツく競い合う声楽ソロ、これがBachMozartとは異なるオペラティックな世界であります。激しい金管の連続音が一番有名なDies Ira(怒りの日)。怒りのエネルギーに充ちた合唱の絶叫+荒れ狂うオケの迫力は筆舌に尽くしがたいもの。ローマの歌劇場オケも文句なしの厚みであります。金管の実力も充分(トランペットの連続攻撃!)でっせ。ボリス・クリストフはボリス・ゴドゥノフの嘆きを髣髴とさせるドラマティックなもの(Mors stupebit/審判者に答えるために)。Rex tremenda(御稜威の大王)は声楽四重唱+オケのの盛り上がりにほとんどオペラのクライマックスを連想するほど。Ingemisco(我は嘆く)のテノールはほとんど愛の告白アリア風(美声)。

 Lacrymosa(涙の日)といえば、息も絶え絶えなMozartの絶品を思い出す・・・出足、リズムがちょっと似てますね。もともと歌劇「ドン・カルロ」用の一場面だったそう。声楽ソロの掛け合いが美しく、ドラマティックであります。ワタシ如きが今更気恥ずかしいけど、Verdiって声楽扱いの天才!あたりまえか。

 Offertorium(奉献唱)はソリストによる4重唱がゆったり、気持ち良く朗々と歌い交わして絶品。Sanctus(聖なるかな)はトランペットの高らかなファンファーレに乗って、合唱が溌剌、華やかに歌って、溢れ出る歓喜!この迫力盛り上がりもたいしたもの。オケも上手いですね。Agnus Dei(神の子羊)ソプラノ、メゾソプラノと合唱によるユニゾン開始。やがて木管が繊細な色付けに呼応して、神々しい合唱が暖かく広がりました。(ここでCD一枚目終了)

 Lux Aterna(絶えざる光を)メゾソプラノによる開始(フィオレンツァ・コッソットは貫禄)バスとテノールが唱和して(ここも)劇的です。出足、無伴奏ですよね。ここでもボリス(クリストフ)はボリス(ゴドゥノフ)の嘆き風。ドラマを感じさせるもの。Libera Me(我を救い給え)ソプラノ独唱が決然と無伴奏で開始されるところ、もの凄い悲劇のラストを予感させて恐ろしい。合唱が静謐に囁いて参入、シェイキー・ヴァーテニシアン→この人がようわからない(ネット情報が探せない)けど、表情豊かにかなり太い声に存在感たっぷり、ほとんど歌劇の世界でっせ。そこにDies Ira(怒りの日)劇的に回帰!大爆発。これが「死者への鎮魂」かい!エイリアンとの最終決戦に臨むエレン・リプリー!かよ。

 やがて冒頭のRequiem aternam(レクイエム)も懐かしく静かに回帰、この部分冒頭のLibera me(我を救い給え)決然としたソプラノ・ソロが戻って、力強い合唱の全力フーガがカッコ良い結末を迎えるところ。金管のアクセントも効果抜群。なんて劇的甘美な音楽なんだ・・・ラストのソプラノ、低音のつぶやきは捨て台詞に聴こえる・・・(無信心なド・シロウト)

 フィルハーモニア管弦楽団との序曲2曲。フィルハーモニア管弦楽団の洗練はやはりローマ歌劇場とは桁が違うもの。スカラ座との合唱作品はモノラルで、少々音質が落ちます。いずれ配慮あるフィル・アップでしょう。

(2016年5月2日)

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written by wabisuke hayashi