Verdi   歌劇「椿姫」(トスカニーニ)


Verdi

歌劇「椿姫」

トスカニーニ/NBC交響楽団/合唱団/リチア・アルバネーゼ(s)/ジャン・ピアース(t)/ロバート・メリル(b)

AURA LRC 11097-2  1946年12月1日〜8日録音   10枚組1,990円で購入したウチの2枚

 イタリア・オペラは、ワタシがもっとも苦手とするジャンルのひとつ。でも苦節ん十年、少しずつCDも貯まり、聴く機会も増えてくるもので、更にAURAで10枚組激安セットを発見してしまいましたよ。「椿姫」は筋も、旋律も良く知っているし、有名なトスカニーニの演奏だし、ということで試しに聴いてみました。リブレットも解説もなし、あるのはトラック表示時間のみ。(中のプラケースが安物で、引っかかりが割れている)

 で、まず手持ち在庫確認から。

ピタミック/ニュルンベルグ交響楽団(抜粋)〜これはPILZ盤。珍しさだけが取り柄?

マゼール/ベルリン・ドイツ・オペラ/ローレンガー(抜粋)〜定評ある録音だけれど、ワタシの手持ちはGR-560という海賊盤。

ボベスク/ルーマニア歌劇場管弦楽団/合唱団〜World Of Opera 2420.2002.1〜2  これは一応全曲

 一応全曲というのは、トスカニーニにはカットもあるし(放送録音だから)楽譜上の改変もあるらしい〜ワタシはなんのことやらワカランが。RCAから出ていたものと同じだと思います。音の状態はきわめて良好。奥行きとか、深く自然な残響、というわけにはいかんが、例の如しの乾ききったカタい音質ではなくて、わりと聴きやすいんです。

 有名な、ごく短い前奏曲って誰でも知っているでしょ。「ああ、あれね」くらいであっという間に終わってしまいそうな曲。これがもの凄く入魂で、あっと驚き、泣かせる音楽に変身していていて、冒頭からただならぬ気配を感じました。

 じつはワタシ、「オマエはフルトヴェングラー派か、トスカニーニ派か」と問われれば、「そりゃ、フルトヴェングラーでっしゃろ」と答えるが、ここ最近、トスカニーニを聴く度に「うわぁ、すげ」と感じることも多いんです。(宇野鴻一郎風文体か)

 オケがアメリカの機能的な技術団体でしょ。「中低音が豊かで、自然体で、自ずとオケの個性が表出され・・・」というパターンではないが、トスカーニーニの強烈な「個性」=「歌」をどれだけ忠実に表現できるか、ということで頑張ってくれております。それに不満はありません。完璧なアンサンブル。

 ワタシは往年の名歌手かどうかは知らぬが、ピアースとかメリルなんかは名前くらい知っていて、厳格な親父さん、若い坊ちゃんの激情なんかが熱唱されて、ド・シロウトのワタシにもわかりやすい。手に汗握るくらいのノリと情熱。輝かしい高音の伸び。(とくに終幕)

 アルバネーゼってどんなお姉さんでしょうか?1913年生まれ、1940年以降メトロポリタンで、イタリア・オペラの主役を〜ミミとか蝶々夫人とか〜そしてヴィオレッタを数多く演じて、聴衆の紅涙を絞った、とのこと。強靱で、良く通るソプラノだけれど、柔らかさと優しさを失わない自然で明るいヴィヴラートが魅力です。労咳を病んで、咳をするところの演技のみごとさ。(オケがまた泣かせる。繊細で)

 CD2枚分、あっという間に終わります。オペラは歌い手が主役に決まっていて、ここでも立派で著名な歌手が活躍しているが、真の主役はトスカニーニなんです。全体を貫く緊張感、テンションの高さが並じゃなくて、歴史的録音であることを忘れさせます。はっきり言って、「いままでホンマの椿姫を聴いていたのだろうか」という疑問が沸くほど新鮮です。

 もしかして、30年前にこの演奏を聴いていたら、ワタシはオペラ専門の音楽ファンになっていたかも。ずばり「椿姫開眼」の素晴らしき名演奏。2枚で400円!もってけドロボー。聴かんと一生後悔しまっせ。知らんと後悔もないか?(2002年4月19日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi