Bruckner 交響曲第0番(ティントナー)Bruckner 交響曲第0番ニ短調(1869年) ティントナー/アイルランド国立管弦楽団 NAXOS 8.55215-16 1996年録音 2枚組1,690円で購入 交響曲第8番にフィル・アップされていたもの。(1998年10月発売)既に当時の感想はHPに掲載済みながら、第0番はコメント付けられず、約2年経過。その間にティントナーは亡くなっちまうし、それでもなんとか全集は完成させてくれて、ほっとひと安心でした。久々に聴いてド〜ンと来ました。胸に。もっと真面目に聴かんとあかん。 マリナー/シュトゥットガルト放響(レーザーライトCOCO78034 1,000円)のCDは持っていたんですが、この度、ロジェストヴェンスキー(Le Chant Du Monne LDC278 851/52 2枚組500円)のを手に入れましてね、「嗚呼、普段エラそうにBrucknerがどうとやら、なんてHPに書いているけど、全部ちゃんと聴いていないよな」と反省しました。この曲、簡単に言うと、いかにもそれらしいBrucknerの音がします。じゅうぶん楽しい。47:35。 アイルランド国立響のアンサンブルが素晴らしい。これ、何故でしょう。透明な弦、スッキリと洗練された木管、落ち着きのある金管、繊細な味わい。厚みのある重低音やら、怒濤の迫力、というわけにはいかないでしょうが、こりゃ少々驚きの隠れ名団体。(でも申し訳ないが、NAXOSのほかの録音で聴くと、こんなに豊かには響かない)もしかして、ティントナーのマジックなのでしょうか。 Bruckner攻略のコツは「スケルツォ」。全集すべて「スケルツォ」だけ聴いても、かなり全貌は類推できます。この曲もわかりやすくてリズム感に満ちた哀愁の旋律に、中間部はやすらぎのひとときが挟まる例のパターン。力みも焦燥感もなくて、余裕と奥行きのある演奏ぶり。 終楽章の悲劇的な旋律は、後年の味わいとはやはり違います。工夫の跡が伺えるような変化もいろいろ出てくる。彼の後半の作品って、もっと開き直って、延々と息の長い和音がシンプルに連続するじゃないですか。(ウワサによると演奏する側は、たまらなくツマラナイ場合もあるとのこと)それにハマると、どうしようもない感動の波が押し寄せますが、ここではまだ「いろいろやってみよう」みたいな、やや煮込みがあまい印象。 かずかずの「!」の部分を持ちながら、ワタシみたいな素人でも「あ、ここの金管は止めずに、遠慮せず堂々と鳴らしきって欲しいなぁ」なんていう感想も出ます。部分部分のつながりが不自然だったりね。でも、もっと演奏されてもおかしくない、立派な作品です。 ティントナーは明快です。ややまとまりを欠く曲ですが、ここまで気持ちよくオーケストラを鳴らしてくれると申し分なし。この人、最晩年になるまで、名前さえ知りませんでした。NAXOSが発掘してくれて、すばらしい全集を残してくれたことに感謝。これを機会に、ほかの第0番のCDも聴き返しましょう。(2000年8月25日更新)
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