Tchaikovsky 交響曲第4番ヘ短調 作品36
(ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団)


Disky Communications  BX704042 Tchaikovsky

交響曲第4番ヘ短調 作品36(1957年)
幻想序曲「ロメオとジュリエット」(1969年)

ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団

Disky Communications  BX704042 3枚で2,090円にて購入したウチの一枚

 Tchaikovskyは苦手方面であること、数年前に書いた自らの一文があまりに粗雑で読むに耐えなかった(キリはないが)こともあって、再聴再執筆です。小澤/パリ管によるこの曲の録音に感心したこともひとつのキッカケでした。Disky CommunicationsによるCD復刻(旧PYEレーベル原盤)は、編集、リマスタリングともに、ときに粗雑であって、この録音も劣化が目立つ粗い音質。

 この曲には、小澤の明快、軽快、さっぱり、スッキリ、メリハリのある演奏である意味目覚めましたね。天才は名曲の本質をわかりやすく提示します。バルビローリ盤は(録音の問題もしれないが)ハレ管の技量にかなり問題があります。アンサンブルの細部が整わない、全奏で響きが濁る(これはおそらく録音の責任ではない、はず)、全体に軽量で厚みに不足する・・・・。

 でもね、この粘着質の節回しはやっぱり魅力的。重かったり、暗かったりしないが、あちこちでコブシをきかせて、テンポも揺れるし、なんやら入魂のアツい歌を感じますね。但し、奥行きのない録音なので、それが表面的に聞こえるかも。第2楽章「アンダンティーノ」こそ、彼の特質が存分に生かされていて、入念なる細部の「こだわり」を楽しめます。

 ピツィカートの「スケルツォ」は、オーケストラの超絶的なテクニックを無条件で期待したいところ。(それはムリな要求か?ややタドタドしい)考えてみれば、これほど新機軸のアイディアに満ちた楽章も珍しい、と個人的には新鮮なる発見でした。誰もが情熱的な爆発を期待したい終楽章へ、音に熱気が加わります。

 ティンパニとシンバルが激打連打!期待通りの大地震が大地を揺るがしました。途中に挟まる木管の清楚さ(但し、音色に魅力は少ない)との対比も、いかにも、的演奏。弦のポルタメントを伴った詠嘆は、コレ楽譜はどうなっていますか?バルビローリって、けっして「音楽を安易に流さない」決意ですかね。

 そして第1楽章「運命の動機」(この金管もさほどに特筆すべき音ではない)が回帰してラストへ。持てるチカラをすべて吐き出しきった入魂のパーフォーマンス。音質の不十分さ、粘着質の節回し、オーケストラの技量問題を乗り越えられれば、そこに感動が見えてくる、はず。


 「ロメ・ジュリ」は12年後のEMI録音で、既に晩年に近い時期ですね。これが、どんよりしたEMI特有の最悪録音で、奥行き・雰囲気はないでもないが、鮮度はむしろ交響曲より落ちるのはマスタリング問題だけでしょうか。

 同じハレ管とは思えない、アンサンブルの水準や、響きの艶・厚みが感じられます。文字通り、幻想的で自由自在、魅力的な旋律が連続する名曲ですが、交響曲に比べると勢いに不足します。これはどんより冴えない録音の責任かも知れません。(2003年1月28日) 


以前に書いた一文は自省のために削除はしませんが、奥にしまい込みます。一応ココに残しておきますが・・・、EMIの目次からは削除。恥ずかしすぎる。


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written by wabisuke hayashi