Tartini ヴァイオリン協奏曲集第2集
(ニコリッチ(v)/ベーク/オーヴェルニュ管弦楽団)
Tartini
ヴァイオリン協奏曲集
変ロ長調 D.117/ニ短調 D.45/ハ長調 D.12/ホ長調 D.51
ニコリッチ(v)/ベーク/オーヴェルニュ管弦楽団
OLYMPIA OCD 476 1996年録音 中古250円
BOOK・OFFの値付けは時に理解できない〜内部基準では「1996年」というのは「もの凄く古い録音」となるのか、それともワタシが購入時点「2年目の在庫」になっていたのか?閑話休題(それはさておき)これは演奏録音作品三拍子揃った素晴らしい一枚でした。しかも@250〜もってけ泥棒!そういえば、この団体今年2004年来日してましたね。
ニ短調 D.45が有名で、シゲティ辺りの十八番だったはず〜ワタシは若きFMエア・チェック時代(嗚呼、貧しき者は幸い也)に馴染んだ作品です。(ワタシのサイトでもツヴィッカーの録音が出現〜現在読むに耐えんコメントだが。演奏も月とスッポンほど!)ところがこの演奏には驚愕!って、繊細で、そっとつぶやくような、ゆらゆらとかそけき演奏なんです。古楽器か?いえいえオーヴェルニュ管って現代楽器ですよね。ニコリッチの演奏写真が出ていて、弓はちゃんと逆に反っているし・・・でも、黙って聴かせたら「古楽器?」との判断はほぼ間違いはない。
結論的には、古楽器にありがちの濁った響きは一切ないし、逆に現代ヴァイオリンの大見得を切った大音量も出現しない。ていねいに、そっと慈しむような、透明で洗練されたソロ/アンサンブルを実現している、ということですね。ほとんど苦もなく、さらさらと演奏されていくが、あまりに自然体なので「テクニック」を気付かせない。おそらくは驚愕の技巧なのでしょう。ヴィヴラートもほとんど存在しないが、なんと美しい(素朴ですっきりした)音色か。
どの曲をとっても(良く知ったニ短調協奏曲でも)静謐で、そっとそっと演奏しているように聞こえます。壊れ物のように儚い響き。表現としては濃厚な浪漫とは一切縁はないが、聴き手を浪漫的な官能の世界に連れ去ります。いやはや、どれも名曲ですね。ハ長調D.12協奏曲の陰影に富んだ、切ない旋律(とくにアンダンテ)は夢見るよう。変ロ長調 D.117協奏曲は、敬虔な祈り/安らぎを感じさせました。
ホ長調 D.51協奏曲の晴れやかな表情!作品によって通奏低音はチェンバロとオルガンを使い分けているが、どれも控えめな引き立て役に徹して暖かい。(ここではオルガン)涙が出るような清廉な世界が広がって、豊かな残響がいつまでも耳に残りました。なぜニ短調 D.45ばかり有名になっちゃったのか理解に苦しみます。(2004年12月16日)
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