Stravinsky 三大バレエ音楽全曲(ラトル/ドラティ/マッケラス)


BRILLIANT 6243
Stravinsky

バレエ音楽「春の祭典」

サイモン・ラトル/イギリス・ナショナル・ユース管弦楽団(1977年録音)

バレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)

アンタール・ドラティ/ロイヤル・フィルハーモニー(1976年録音)

バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)

チャールズ・マッケラス/ロンドン交響楽団(1976年録音)

バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」(1928年)

ジョン・ラボック/セント・ジョンズ・スミス・スクエア管弦楽団

BRILLIANT 6243 ASV原盤(「ペトルーシュカ」はVanguard原盤)  2枚組580円

若き(22歳)ラトルの演奏は、元気があってちょっと荒々しくて、いかにも「間」が急いていますね。迫力が充分だが、まだ未整理だし、オケの響きが濁るのは録音故か。オケの力量か。ドラティはそう古いものではないと思うが、やや録音がオフ・マイクというか様子が分かりにくいか。フィナーレの盛り上げ方はたいしたものだが。

ラトル22歳の「春の祭典」(イギリス・ナショナル・ユース管1977年録音)も、技術的表現的になんら不満はないが、居並ぶ古今東西名演奏 中で個性を発揮するにはやや若過ぎたか、といったところでしょうか。〜音楽日誌より

 いろいろ勝手なことを書いてはいるが、数回聴いているウチに評価はどんどん変わりました。オーディオ装置との相性もあるんだろうな。CD収録のヴォリューム・レベルの問題か、思いっきり音量を上げたほうが様子が分かります。反省します。

 これは現代一番人気のラトル初期の録音が含まれるし、曲目・演奏・価格・録音と四拍子揃ったセットでしょう。たくさんプレスされたのかな?あちこちのお店で見掛けました。(1,000円以内なら良心的)Stravinsky 三大バレエを全曲版で(「ペトルーシュカ」だって4管編成版)二枚安価で揃えてくださって感謝。たいていは「火の鳥」は組曲版を収録するでしょ?激安廉価盤ながら「火の鳥」全曲で詳細22トラックに分けられております。(他の作品も同様)レギュラー・プライスでも「火の鳥で1トラック」「春の祭典で2トラックス」というのがけっこうあるから、これは編集者の良心の問題なんです。

 ドラティの「火の鳥」(全曲)は十八番(おはこ)です。ロンドン響(1959年)、デトロイト響(1982年)との録音は、ネット上でも話題に(オーディオ的にも)なっているようだが、ロイヤル・フィル盤は録音年代を調べるだけでも一苦労〜ほとんど話題となりませんよね。上記拙コメントで「録音がオフ・マイクというか様子が分かりにくい」というのは、ワタシの安物真空管アンプの非力問題であって、別オーディオ機器で確認した結果、肌理細かい極上鮮明録音であることが判明しました。

 結論的にクールで余計な飾りをほとんど付けず、細部までしっかり描き込んで緻密、必要にして充分な表現、ということです。メルヘンな旋律は感情思い入れ過多とならず、淡々と歌われます。それはそれで美しさに不足はない。ロイヤル・フィルには重厚感はない(低音の厚みも少々不足気味か)けれど、爽やかな明るさがあります。ま、指揮者によって驚くべきほど印象が変わるオケではあるけれど、ここでのアンサンブルは想像を超える高い水準であって、透明で洗練されておりました。

 ドラティの交響曲演奏ってあまり芳しい評価は聞かぬ(人様の評価など、どーでもよいけど)が、こういったそれなりの容量作品のメリハリとか、チカラの入れ具合とか全体バランスとか、それはとても上手ですね。ラスト、とても盛り上がって満足させていただきました。


 ラトル22歳の「春の祭典」〜オケは予想外に技術的にしっかりしていました。固有の色合いというか、味には不足するけれど、これ以下のプロ演奏はゴロゴロしていると思います。稀にアンサンブルが前のめりに、ややずれる(走る)のは若さ故。それさえ、熱気に感じられないことはない。1988年のバーミンガム・シティ響との録音が有名(らしい)だし、1993年にベルリン・フィルとの演奏会にも取り上げているから、きっと彼得意の作品なんでしょう。エネルギッシュで、推進力充分大爆発の立派な演奏だと思います。

 若気の至りなどという未熟は、ほとんど見られない完成度の高さ。あとは「この作品になにを求めるのか」ということのみでしょう。「このCDを聴く限り、あまりおもしろくない。スリリングでも安定感があるものでもない」という厳しいサイト評も見掛けました。ワタシの標準は「知的分解」のブーレーズ。もともとが原始的暴力的作品だから、やや粗野なアンサンブル混沌の泥臭い馬力表現もおもしろい。そういう範疇どちらにも入らない、都会的元気演奏かな。ワタシは充分に楽しめましたが。

 オケにも指揮にも(きっと)余裕が足りないせいか、聴き進むに連れ「やかましい」?〜少々そんなことも感じました。


 「ペトルーシュカ」は大好き!しかし「こんな演奏であって欲しい!」的個人的要望はないんです。(但し、4管編成版に限る)手持ち、なんでも、どれを聴いても楽しい。遊園地のジンタが見え隠れするでしょ?お人形たちの踊りが眼前に浮かぶようで、ほんまに楽しい!マッケラスの演奏も文句なく楽しい!ではネタ切れなので、同年録音のデュトワ/ロンドン響(1976年)と聴き比べて〜いやぁ、華やかでメリハリがあって、もの凄く上手いですね、このオケ・・・って、マッケラス盤と同じオケですけど。

 これも収録のヴォリューム・レベルが低いんです。録音自体は鮮明だと思います。細部まで緻密な表現(細かい打楽器も良く聞こえるんです)は先のドラティの「火の鳥」にも一脈通じるが、デュトワ盤に比べると実直というか、色気は少々不足気味ですか?それでも第4場「謝肉祭の日、ペトルーシュカの死」へ至る、構成の上手さ、ラストの充実した盛り上がりに不満など吹き飛びました。


 フツウ、Stravinskyの二枚組と言ったら上記三曲+αなんだが、「ミューズの神を率いるアポロ」迄収録されるのがサービス万点。アルカイックな表情を持つ弦楽合奏の作品でして、ワタシはもしかしたらテレビでバレエを見た記憶があるのかも知れません。少々知名度は下がるし、楽器編成的に色彩には不足する作品の印象はジミでしょうか。全30分ほど、集中したアンサンブルを堪能できました。(2004年10月13日) 

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi