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SOS!Beethoven


 Beethoven は苦手です。いろいろ考えてみると苦手音楽は数多いが、Beethoven は別格にその比率も期間も長い。この認識は20年間くらい続いていて、「崇高なる名曲集」と評される弦楽四重奏曲はまともに聴き通したことさえない。(ズスケ弦楽四重奏団〜LP時代はバリリ弦楽四重奏団)ピアノ・ソナタ全集も似たような状況です。(これは購入したCDがマズかったかな?バーナード・ロバーツ盤〜でもLP時代はバックハウス盤)

 ピアノ協奏曲がダメで、数組所有している全集を取り出す意欲が起きない。ヴァイオリン協奏曲と三重協奏曲は、これは飽きずに聴いているのは何故か理由がわからない。ヴァイオリン・ソナタとチェロ・ソナタは、時に胸打たれる演奏に出会わぬこともなし。ピアノ・トリオは良くできた曲、といった感想を持ったが、どうも決まりすぎで反発がある。荘厳ミサ曲〜これは出会いが良かったのかな(ベーム/ベルリン・フィルのモノ盤)、心が安らぎます。歌劇「フィデリオ」も同様。(フリッチャイ盤で出会い)

 序曲集もほとんどダメ。さて、問題の交響曲。なんや腐るほどCDは買っているし、ブツクサ言いつつ結局聴いていてこのサイトにも掲載は少なくない。苦手です。でも、やっぱり勇気を出して聴いちゃうと感動する(ことも多い)。演奏会で取り上げられる機会が多いこともあるでしょう。ナマで聴けば、その強靱な音楽に驚くばかり。

 こうしてみると、ワタシにとってMozart とは大違いの作曲家(ほとんどなんでもOKよ!)なんだなぁ。Schubert だって、各ジャンルで数曲「お気に入り」(いつもいつも聴いている)が存在します。Haydnは好き嫌いを云々できるほど聴いてまへん。でも、この辺りの年代の作曲家はたいていお気に入り。


 少年時代はもちろん、金のなかった青年時代、「Beethoven交響曲全集」(豪華布張り金ぴか帯付きBOX)は憧れでした。一万円以上はしたでしょ、たいてい。贅沢品でした。だから5枚組1,390円で店頭に並んでいると、もう、もったいなくて、有り難くて買わざるを得ない。〜これがブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンの全集(BRILLIANT 99793)でした。

 1,390円!〜これ、まだ世の中の多くの人々が「一枚でも廉価盤」と感じる価格ですよ。それが5枚全集で!買わいでかっ、ってリキんでどうする。買ったのは2002年3月でっせ。4ヶ月間放置したのは(1)買っただけで満足感有 (2)いざ聴く段になると、苦手意識が頭をもたげてCDを取り出す気にならない〜からか?

 前年(前々年?)に購入したコンヴィチュニーの全集(他。11枚組3,290円 EDEL 000217CCC)が、やや期待はずれ(あくまでワタシにとって)だったことも有。(だったら新しいのを買うな、って?ほんまにぃ)


 〜で、ウチのBBSでブロムシュテット論争があったのを機会に、ようやく重い腰を上げまして埃にまみれつつあったCDを取り出しました。苦手とはいえ、こども時分からのお付き合い、隅々まで旋律は知っておりまする。もっとも(相対的に)気に入っている第2番ニ長調から、次の第4番変ロ長調もわりとお付き合いしやすい。

 Beethoven は録音水準をあまり問題にしないが、これはアナログ最末期の良質な、ある意味スタンダードな水準で問題ないと思います。(目の覚めるような音ではない)演奏は、まったく期待通り。フレージングが明快で、ムリがない。ドレスデンの瑞々しい響きを生かして、エキセントリックさとは無縁の余裕を感じさせます。リキみがどこにも見られない。でも、弱くもないし、薄くもない。リズムの刻みが落ち着いていて、安定感有。

 名演評価は時代により、コロコロ変遷します。クラシック音楽みたいな、いまだに「フル・ワル・トス・メン・クナ」が亡くなって40〜50年経って(とっくに生誕100年以上?)も「現役大スター」の世界でも流行廃れがあるんです。若い世代には、耳目を驚かすような超個性的な演奏を賛美する風潮もあるようだけれど、時代はあきらかに「薄味繊細系」または「癒し系」(出ました!)なんです。

 ま、音楽なんて人それぞれで好きなのを聴いたらよろしい。ワタシだってシェルヘン(Beethoven )の激辛演奏は大好き。件のブロムシュテットは、意外なほどCDでも聴いていないし、「サンフランシスコ響時代からは、ずいぶんと違ってしまった」とのご意見も存在していて、ワタシには嬉しい宿題がまた増えました。

 閑話休題、「SOS!Beethoven 」〜この重苦しい気分はいつになったら克服できるのでしょう。Beeやんの作品がが、すべてすべて「エリーゼのために」のような可憐な味わいであれば近づきやすいのですが。(2002年7月21日)


おまけ(または棚卸し)<手持ちブロムシュテットの宿題>

Bruckner 交響曲第7番ホ長調(ハース版)  シュターツカペレ・ドレスデン  DENON GES-9217  1980年録音 350円
* 一度サイトにも掲載しているが、世評ほどに共感しておらず、我ながら明らかに聴き込みが浅い。

Bruckner 交響曲第5番 変ロ長調  サンフランシスコ交響楽団  1990年8月21日 ザルツブルク・ライヴ
*エア・チェック。残念ながら音質イマイチ。オーケストラの響きにやや違和感(明るい)はあるが立派な演奏と思います。

Mahler 交響曲第9番ニ長調 NHK交響楽団  1992年11月11日ライヴ・エア・チェック
*しばらく聴いておりません。どんなもんでしょうか。

Beethoven 交響曲第9番ニ短調「合唱」  シュターツカペレ・ドレスデン  LASERLIGHT 15 826 1985年3月30,31日、ゼンパー・オーパー・ライヴ  300円で購入
*空襲で全壊したゼンパー・オーパー再建コンサート・ライヴ。ちゃんと聴いておりません。ありがたいCD(のはず)。

Weber「オイリュアンテ」序曲、Mozart 交響曲第38番ニ長調「プラハ」 シュターツカペレ・ドレスデン PILZ 44 2058-2 400円で購入
*これもちゃんと聴いておりません。


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written by wabisuke hayashi