北欧名曲集〜Grieg「ホルベアの時代から」(ペシェク)
Sibelius ヴァイオリン協奏曲ニ短調(ツヴィッカー)


Grieg
組曲「ホルベアの時代より」
ペシェク/スロヴァキア・フィルハーモニー

「ノルウェイの結婚式の踊り」(6曲)
ノルウェイの民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 作品24
イェシュコ(p)

Sibelius
ヴァイオリン協奏曲ニ短調
パンテルリ/フィルハーモニア・スラヴォニカ/ツヴィッカー(v)

悲しきワルツ
*曲名、演奏者クレジットなし。

Grieg
交響的舞曲 作品64〜第4曲
ショルツ/ニュルンベルク交響楽団

叙情小曲集より6曲

アリエッタ 作品21-1
ワルツ 作品12-2
祖国の歌 作品12-8
春に寄す 作品43-1
愛の歌 作品43-5
蝶々 作品43-1
ピヴカ(p)

PILZ 449268-2(2枚組) 録音年不明(DDDというのはウソでしょう) 購入金額失念(500円〜1,000円か)

 2004年再聴しても、これはなかなかの演奏だと思います。そのことはあとで触れることにして、問題は「ノルウェイの結婚式の踊り」(6曲)〜シュテファン・イェシュコ(p)による(この人も実在性を確認できないのか、それとも読み名が異なるのか?)〜はいかなる作品か?ということなんです。(以下、スリーヴの表記通り)

花嫁の行進曲
ニルス テルマク ハリンク
テレマクの花嫁の行進曲
ハリンクの踊り
フォッセファンゲンの魔物の結婚式
キフテの乙女

 これが「作品集」を探しても見つからない。少々いい加減な訳でも「花嫁」「行進曲」「魔物の結婚式」なんつうキー・ワードはあるし、「テレマク」「フォッセファンゲン」とかいう固有名詞もあるし・・・なんて思うがわからない。ヒントは「ハリンク」かな?「叙情小曲集」で追っかけていくと「ハリング」は作品38-4、作品47-4、作品71-5〜いずれも軽快なるリズムに溢れた作品だけれど、上記二曲とは別な曲でした。他の作品も一覧表に似た題名は存在しません。

 演奏はしっとり、ゆったりしていて、いつもの甘い旋律がたっぷり生きてます。どなたか(演奏家情報共々)詳細情報いただけませんか?

***

 あとは「音楽日誌」より。

「ホルベアの時代から」〜ペシェク/スロヴァキア・フィルにて。これはやや音質がボンヤリしているが、擬バロック的な楽しい作品であり、しっかりとした語り口の立派な演奏です。Griegは「ペール・ギュント」より、こちらのほうがずっと聴き応えがある。ピアノ作品(イエシュコ?)との組み合わせも爽やか。

二枚目のSibelius ヴァイオリン協奏曲(ツヴィッカー?名義)は、スケールには少々欠けるが、ちょっとコクとクセのある個性的な演奏でした。かなりの高水準。

「悲しきワルツ」〜(これは収録クレジットもなく、演奏家もわからない)これはしっとりとして繊細な演奏でしたね。

 マリアン・ピヴカは実在ですか?この「叙情小曲集」はしっとり、濃密でした。(2004年5月4日)


(追加情報)上記このようなちょろり更新したらちゃんと詳細情報下さいました。いやぁ、ネットのチカラってすばらしい。

 「ノルウェイの結婚式の踊り」(6曲)は ノルウェー農民の舞曲「スロッテル」作品72〜

第8曲.婚礼の行進(粉ひきの少年による)
第9曲.ニルス・レクヴェのハリング
第3曲.テレマークの結婚行進曲
第14曲.悪鬼の婚礼の行進
第16曲.ヒブレの乙女(飛び跳ね舞曲)

が出典だそうです。(それにしても訳がビミョーに違う)

 PILZは安さのみ売り物にして、相当いい加減な情報クレジットは多いが、マニアックな収録してくださるものですね。演奏もGood!(2004年5月9日)


 20世紀も押し詰まった今日この頃、PILZの話題もすっかり聴かなくなりました。ワタシは歴史的録音の激安セットものにハマり、かつてあれほどお世話になったPILZを忘れてしまう不義理ぶり。許されよ。それにしても、さすがに最近見かけなくなりつつあります。それでも場末の怪しい(?)店には売れ残り有。

 「クラシック・コレクション」(POINT原盤〜かつてPILZで使われていた音源流用)はまだ続いているようだけれど、同じ@980なら「ウィーン・フィル」(アスキー出版)をフツウ買うでしょ?日本人の基本的気質を特徴とするワタシは「判官贔屓」で、やはり無名演奏家を応援したい。(ウィーン・フィルは酸っぱいブドウか)

 まず、PILZの基本的な演奏家情報のコメント。パンテルリ、フィルハーモニア・スラヴォニカ、ショルツ、ピヴカは、実在ではなく、誰かの演奏の変名らしいこと。ツヴィッカーがどうなのかは情報なし。イェシュコも初耳。ペシェク/スロヴァキア・フィルはもちろん実在。

 PILZを心から愛する、数少ない同好の志の間では、「このシベリウスは名演か、否か」を巡って激しい論争が繰り広げられた、とのウワサです。(真偽はっきりせず)この曲、ワタシの手持ちでは、切れ味抜群のハイフェッツ盤、神経質で線の細いソロと、ゴージャスなカラヤンのバック(叶姉妹ばり)の対比がおもしろいフェラス盤がお気に入りです。

 ツヴィッカーのヴァイオリンは豊満で、線が太くて堂々としたもの。中庸〜ややテンポ遅めで、貫禄充分で安定した演奏なんです。技術的に「うんと切れる」とうわけでもないが、文句なしの技量。バックの実力も充分、響きが薄かったり、ヒステリックな力みとは無縁。

 これ、なかなかの名演奏。貫禄もある。唯一不足するのは「北欧の冷たい空気」でしょうか。おそらくPILZ中(ワタシの聴いた範囲では)もっとも充実した、文句の付けどころの少ない立派な演奏。音質はまぁまぁ。「悲しきワルツ」は、音質は曇りがちだけれど雰囲気は出た演奏でしょう。「交響的舞曲」は少々アンサンブルが粗いので、異なる演奏家かも知れません。(ニュルンベルグ響は実在らしいのですが)

 この2枚組、選曲がなかなかでしょ。シベリウスとグリーグ、しかも(ヴァイオリン協奏曲を除いては)メジャーなところを微妙に外した名曲ばかり。「ホルベア」は、ペシェクが安定したテンポで楽しげに演奏しております。艶やかすぎず、素朴な味わいも残した好演です。音も悪くない。

 ノックベルクの全集(NAXOS)で一躍脚光を浴びたグリークのピアノ曲。(残念ながら未聴)どれをとっても懐かしく、親密な旋律が嬉しい。叙情小曲集は有名だけれど、あとの曲がよくわからない。「バラード」は「ノルウェイ民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 作品24」と類推されるのですが、「結婚式」が手持ちの資料では探せません。(どなたか教えて下さい)

 「叙情小曲集」は、長くても3分くらい、1分に満たないものもある可愛らしい曲ばかりなんです。「アリエッタ」は誰でもどこかで耳にしたことがあるはず。安らぎの静けさ。ピヴカはしっとりした暖かい音色です。(音質的にはそうとうにオン・マイク)

 「結婚式」は、連弾かもしれません。(表記はシュテファン・イェシュコ。ワタシの耳では自信なし)音質的な印象もあるのでしょうが、繊細な表現が素晴らしい。まるでおとぎの国のような、夢見る美しい旋律。(花嫁の行進曲、ニルス・レフコス・ハリンク、テレマクの花嫁の行進曲、ハリンクの踊り、フォッセハンゲンの魔物の結婚式、キフテの乙女、計6曲)奥行きと適度な残響もある、ちゃんとした録音。

 「バラード」は18分に及ぶそれなりの規模の作品です。(おそらくPILZの同じシリーズ「クラシック・フェスティヴァル」に収録されているものと同じ)幻想的、かつ情熱的であり、ショパンの世界に近いものも感じます。知られざる名曲。演奏にも文句なし。

(2000年12月15日更新)


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