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Grieg ノルウェー農民の舞曲「スロッテル」作品72


 初めて連絡をいただいた方から、貴重なるご意見を賜り、感激しました。PILZの北欧音楽二枚組の収録作品明細に疑問があり(なんせ表記がいい加減というか、ぼんやりしているので)その件、サイトに掲載したら、ちゃんとその筋(どの筋?)手練れの知識人から明快なる回答をいただけました。全文掲載。もともとの一文にも曲明細追加してます。多謝。


ROM数年目にして初めてお便りさせていただきます。

というのも、自分にも指摘できる、疑問を出されていたもので…。数年前にお書きになった記事で、メール出そうかずっと迷ってたんですけど、 今回再度、追加でお書きになっていたのでようやくメールしました。

で、何のことかと言うと…。
PILZのグリーグのピアノ曲です。自分もこのPILZのCD大好きで、 これがきっかけで、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトと グリーグのピアノ曲が好きになった、思い出のCDです。
いまでは、一番好きなヴァイオリンコンチェルトって シベリウスのかもってくらいです。この演奏自体も大好き。 冷たい緊迫感みたいなものが伝わってくる感じがします。

さて、林さんがお知りになりたがっていらっしゃる、ピアノ曲「ノルウェーの結婚式の踊り」ですが、自分もこの曲大好きで。
このCDで、すっかりグリーグのピアノ曲好きになってしまって、結局NAXOSのグリーグピアノ曲全集買っちゃったんですよね。で、この曲が何者かと言うと『スロッテル Op.72』(全17曲)からの抜粋です。

以下NAXOSの解説より

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 ノルウェー農民の舞曲「スロッテル」作品72は、ハルダンゲル・フィドルのための 民族舞曲をピアノ曲に移し換えるという、グリーグの最も思いきった試みを含んでい る。1903年にペータースから出版された初版の序文で、グリーグはまず最初に次のよ うに記している。「この音楽に鑑識眼をもつような人々は、これらの曲の偉大な創造 性に魅惑されるだろう。その明るく軽やかな魅惑的な優雅さと、特にリズムに見られ る大胆で野性的な力と飼いならされていないメロディの荒々しさの組合せという創造 性に。外界との接触もない人里はなれた谷間でノルウェーの農民文化が育まれていた 時代の、原始的な源流、大胆で一緒奇怪な名残り、そんな幻想の痕跡をそこに見いだ すことができる。これらの曲をピアノに移し換えるという私の仕事は、[共鳴弦の]倍 音を様式化することによって民族曲を芸術的なレベルにまで高めるという試みだ。ピ アノで演奏することによって、ハルダンゲル・フィドルのもともとの特徴である装飾 音や、特徴的な弓の動きを放棄しなければいけないのは当然のことだ。一方で、ピア ノは動的にもリズム的にも多様性があるので、繰り返しの部分のハーモニーにバリエー ションを持たせることによって、単調さを避けることができる。よりはっきりとわか りやすい(メロディー)ラインをもった構造形式を造り出すのが私のねらいだった。」

 テレマークのティン出身の有名なフィドル奏者のクヌート・ヨハンセン・ダー レ(1834-1921)が、1888年に、民族舞曲(スロッテル)を楽譜に書きとめることの可能 性を考慮してもらえないかと、グリーグにお願いした。クヌート・ダーレ自身ミラル グーテン(粉屋の少年あるいは粉ひき少年)や、19世紀ノルウェーで最も有名で創造的 な音楽家の2人、トルゲイル・アウグンズソン(1801-1872)とホヴァール・ギボーエ ン(18091873)から、多くのスロッテルを受け継いでいた。グリーグはその伝統を保存 することの価値について何の疑いも持たなかったが、別の理由から1901年までその仕 事を延期していたが、その年グリーグの親友で作曲家のヨハン・ハルヴォルセ ン(1864-1935)が曲を五線譜に書き写す仕事を引き受けてくれた。ハルヴォルセンは 優れたヴァイオリニストで、ハルダンゲル・フィドルも演奏できた。クヌート・ダー レは大変喜び、ハルヴォルセンのしてくれた仕事に大変感謝して賞賛した。

 グリーグはピアノのためにスロッテルを編曲することを非常な熱中をもって始めた が、同時に抵抗も感じた。1902年グリーグはフランツ・バイエルに次のように書いて いる。「ここ2週間、クヌート・ダーレのそしてハルヴォルセンの民謡で頭がいっぱ いです。大変面白いが、すごく難しい仕事です。なぜかって?そのわけは、音楽の形 式に対する自分の基準が前よりもはるかに厳しくなっているからです。問題はリンデ マンの時とは全く違います。メロディーでないもとの(フィドルの)低音から何を残す べきかを決めるのは大変重要な問題です。」

 民族舞曲で問題となるところはいくつか挙げられる。それは、装飾、調性、リズム、 ポリフォニー、そして最後に、でも決して小さくないことだけれど、民族音楽を形成して いる繰り返しの原則である。こういった素材から満足野いくピアノ作品を作り上げる としたら、グリーグは抜本的にハルヴォルセンの覚え書きを変更しなければならなかっ ただろう。組織化された形式を保つことに大変こだわったが、それは無理からぬこと だった。なぜなら、結局それが違いを生み出したのであるから。民族舞曲はハルダン ゲル・フィドルという楽器のために作曲され発展した。そして大部分は人が踊るため の機能をそなえた音楽だった。観衆が静かに座って聞くことを要求されるコンサート で、音楽に飽きることなく、この手の音楽の創り出す魂や雰囲気を失わずに演奏する ことができるだろうか。フィドルの技術的な特性や複雑なリズムに対する洞察を欠い ていたという事実を考慮するならば、彼の成し遂げたすばらしい結果は驚くべきもの と言うほかない。通常グリーグは、他人の作品を書き直すとき、その原典の全部には 必ずしもあたることはしない。自らの詩的才能でもってオリジナルを若干変えるだけ である。前奏、間奏、エピローグを加える。素材を短くしたり、切り放したり、曲げ てみたりしたが、移された結果の中に素材が生き残されるようにした。  伝説や物語と結びついている民謡歌曲もある。

第4曲:丘からの舞曲
 「ブリンユーヴ・オルソンという男が牛を逃がしてしまった。何日間か山をさまよ い、牛を探した。疲れきって寝入ってしまったとき、不思議な歌を聞く夢をみた。丘 の向こうで、また丘の上で、美しい少女が彼に向かってこう言った。『家に帰って、 妻と子供にこの曲をヴァイオリンで演奏してあげなさい。』そして、むこうの山に、 探していた牛を見つけた。」

第8曲:婚礼の行進(粉ひきの少年による)
 「知り合いのテレマークのフィドル奏者によると、ガールフレンドのカーリーに裏 切られて別の人と彼女が結婚したとき、粉屋の少年(粉ひき少年)によって、この曲が 作られた。」

第16/17曲:キヴレの乙女(飛び跳ね舞曲/ガンガル)
 「テレマークのセルヨールにキヴレダーレンという小さな谷があり、そこには昔小 さな教会があった。ある日曜日、信者がミサに集まっていると、山あいからするどい 音が鳴り響いてきた。それは谷に残る3軒の異教徒の、キヴレダールの乙女たちだっ た。彼女たちは山羊の群れを山にあげ、鹿の角笛(トリッラホーン)でダンスを踊り歌 を歌っていた。人々は教会を飛び出し、魔法をかけられたようにその音楽に聞き入っ た。牧師はあとを追って乙女達に角笛をやめるよう叫んだ。そして、威嚇するように 手をふりあげ、神と聖なる父である法王の名において彼女たちを教会から追い出そう とした。その途端にキヴレの乙女達と山羊の群れは石に変わった。今日でも、口にあ てられた角笛とそのまわりに集まる山羊の群れを、険しい崖の上に見ることができる。 これが民族舞曲(スロット)の「キヴレの乙女」の飛び跳ね舞曲で、農民達がハルゲン ダル・フィドルにのせて伝えてきた音楽である。続く第17曲のガンガルも同じ伝説か ら来ている。似たような歌が全部で3曲あり、全部演奏できるフィドラー (フィドル 奏者)だけが一人前とみなされていた。」

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ということで、NAXOSの全集に含まれている、『ノルウェーの旋律』の方には グリーグの自作曲も含まれてるみたいんですが、『スロッテル』は 民族舞曲のアレンジものなのかな?フィドルってヴァイオリンですよね?

  自分はPILZの演奏に慣れ親しみ過ぎちゃったのか、 NAXOSのノックレベルグの演奏はすこしピンと来ませんでした。 叙情小品集もう〜ん…って感じなんですよね。この人の…。

ちなみにNAXOS盤(Grieg Piano Music Vol.4 8.550884)では

第1曲.ギベエンの結婚行進曲
第2曲.ヨン・ヴェスタフェの飛び跳ね舞曲
第3曲.テレマークの結婚行進曲
第4曲.丘からの舞曲
第5曲.オスのブリッラーレン
第6曲.粉屋の少年によるガンガル(指で奏でる人々)
第7曲.ロトナム=クヌートのハリング
第8曲.婚礼の行進(粉ひきの少年による)
第9曲.ニルス・レクヴェのハリング
第10曲.クヌート・ルーローセンのハリングI
第11曲.クヌート・ルーローセンのハリングII
第12曲.粉屋の少年による飛び跳ねガル
第13曲.ホーヴァル・ギボーエンカのオーテルホルト橋の夢
第14曲.悪鬼の婚礼の行進
第15曲.スクル谷の花嫁
第16曲.ヒブレの乙女(飛び跳ね舞曲)
第17曲.ヒブレの乙女(ガンガル)

って表記になってます。一部解説とも表記が違うんですが…(^_^; ノルウェー語って発音難しいんですかね?

で、このうちPILZ盤に収録されているのが、 第8、9、3、4、14、16曲になります。

これからも、サイト楽しみにさせていただきますので、 お体には気をつけて、(自分は風邪ひいてGWぐったりしてました) 末長いサイト運営期待しております。

ではでは。(G)

(2004年5月9日)

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written by wabisuke hayashi