Shostakovich ピアノ協奏曲第1番ハ短調 作品35/
第2番ヘ長調 作品102(作曲者自演)


YEDANGCLASSICS  YCC-0022Shostakovich

ピアノ協奏曲第1番ハ短調 作品35

ショスタコヴィッチ(p)/サミュエル・サモスード/モスクワ・フィル/ヴォロヴニク(tp)(1956年)

ピアノ協奏曲第2番ヘ長調 作品102

ショスタコヴィッチ(p)/アレクサンドル・ガウク/モスクワ放送交響楽団(1959年)

2台のピアノのための協奏曲イ短調 作品94

ドミトリー& マキシム・ショスタコヴィッチ(p)(1956年)

ピアノ三重奏曲第2番ホ短調 作品67

ショスタコヴィッチ(p)/ダヴィッド・オイストラフ(v)/ミロシュ・サードロ(vc)(1947年)

YEDANG CLASSICS YCC-0022  10枚組3,324円にて購入したうちの一枚

 

・・・これは驚くべきソロの達者ぶりと、粗野で骨太、洗練されない室内オケ(とくに金管)の躍動がたっぷり楽しめます。キーシンの1988年ライヴのテンションの高さ、サイボーグのような洗練具合と比べると、なんという”味わい系”か
とは数年前の「音楽日誌」のコメントです。2004年9月購入とのレシート同封有。当時は贅沢であった。こんな10枚組だったら、ばんばん購入しておったのだね。

 一般に旧ソヴィエット系の録音はよろしくなくて、しかもライヴらしい(拍手省略)。音の肌理が粗く、オン・マイクっぽいが、生々しい臨場感はたっぷり。こうして作曲者の録音が残されたことを幸いに思いましょう。ほとんど上記コメントで言い尽くされているんだけれど、少々蛇足付け加えましょう。

 ”驚くべきソロの達者ぶり”〜その通りなんだけど、異様にアツい!ノリノリ、萌え!ピアノであって、ほとんどヤケクソ的汗まみれ演奏なんです。聴き手はあまりの熱気に手に汗握ること必定!エフゲニ・キーシンとの比較があるけれど、作品に対する思いとか入れ込みの度合いが違うんでしょうなぁ。自作自演というのは時に妙に素っ気なく、乾いた演奏になることも多いんだけれど、これは別格の魅力に溢れます。

 オケはサモスード/モスクワ・フィルで、この人このオケの創設者(1951年)だそうです。これが暑苦しいヴィヴラート満載、骨太無遠慮でド迫力にハクを付けてもの凄い。ヴォロヴニク(tp)だって、往年のフランスの名手モーリス・アンドレとか、独逸の名匠ルートヴィヒ・ギュトラーなんかをイメージしているとたいへんなことになる!非・洗練系、山出しの汗臭さ満載。

 第2番のほうは旋律がちょっと都会的だし、ガウク/モスクワ放響は(いつもながら)意外と(露西亜にしては)洗練されたサウンドになります。ピアノもリリカルで美しいタッチが楚々と・・・と思っていたら大間違い。やがて激しい変拍子にアクセント強調で温度が上がって参りました。火がついたソロが疾走すると、ガウクも負けていられない。抑制とか含羞とか、そんな世界とは無縁な爆発がやってきて、最終盤聴き手には息もつかせぬ興奮を保証いたします。ピアノは上手いなぁ。音質云々忘れます。

 2台のピアノのための協奏曲イ短調 は、作品的にも珍しい8分ほどの単一楽章作品。不肖の息子マキシムとの連弾。なるほど、シロウト耳にも2台ピアノで協奏的テイストに溢れて、哀愁、そして素っ頓狂なるユーモアな旋律が魅力的。どこかシニカルなところもいつも通り。二人とも上手いもんですよ。前2曲の協奏曲が熱狂的だったので、ちょうどよろしいノーミソ・クールダウンとなりました。

 ピアノ三重奏曲第2番ホ短調は、音質かなり落ちてSP復刻みたいな音です。(鑑賞には不足なし/これもオン・マイクっぽい)神妙で繊細なヴァイオリン(オイストラフ)の囁きで開始され、やがて明快なピアノ、骨太なチェロが加わってテンポ・アップしていくところは、いかにもShostakovich!無機的な旋律〜親しみ深い姿(露西亜伝統のテイストも有)に変容するのも馴染みのパターンでしょう。常に不安な精神を感じさせるところも。

 疾走する第2楽章「アレグロ」もなにやら一筋ではいかぬような、不安定な情感が漂いつつ一気の2分半。第3楽章「ラルゴ」には最後の審判のような絶望苦しみが、全編を支配します。Brahms にちょっと似ている。ピアノが重い。

 終楽章はユーモラスなピツィカートでノンビリ開始されるが、すぐに怪しい不安へと変貌します。もうユーモラスなんだか、哀しいんだか理解不能のような旋律が徐々にスピード・アップして混じり合う。やがてヤケクソのように叫び、笑い、全力で演奏するトリオ。リズムだけはユーモアを保持していて、とても不思議なテイストなんです。

 Shostakovichは苦手系作曲家なんだけど、交響曲じゃなかったら聴けるんだな。リハビリになったかな?

(2009年6月5日)

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written by wabisuke hayashi