Shostakovich 交響曲第5ニ短調/第9番 変ホ長調
(ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送交響楽団)


NAXOS 8.550632 1987/8年録音 Shostakovich

交響曲第5番ニ短調 作品47
交響曲第9番 変ホ長調 作品70

ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送交響楽団

NAXOS 8.550632 1987/8年録音 6枚組3,990円で購入したウチの一枚

 バルシャイの全集がかなり安く出る(BRILLIANT2001年末)ので、存亡の危機にあるスロヴァーク(1919年〜数年前にお亡くなりになったはず。名前からしてスロヴァキアの出身で1959年にチェコ・フィルと来日。ムラヴィンスキーと縁が深い人)の全集。NAXOSさんも対抗上、思い切った値下げが必要でしょう。DECCAのハイティンク盤も相当安いですし。

 ワタシはショスタコは苦手としていて「とにかく一通り揃えておくか」くらいの気持ちで買った全集なんです。ここ最近コンドラシンを再聴して以来、やや目覚めてかなり楽しめるようになりました。こうして「音楽受容」の幅が広がっていく幸せ。

 コンドラシン/モスクワ・フィルの演奏は、知情意バランスがとれ、アンサンブルのテンション高いものでした。ザラリとした肌理の粗さもゾクゾクするほど魅力的。熱血入れ込み系演奏ではないが、聴き手を存分に興奮させてくれました。それに対してスロヴァーク盤の「売り」はなにか。

 ブラティスラヴァのスロヴァキア放響は、残念ながら圧倒的馬力だとか、磨き上げられたアンサンブルを誇るオケではありません。素朴系というか、鄙びた味わいで聴かせる方向でしょう。膨大な録音中いくつか聴いてみたが、指揮者によって印象がかなり変わります。ま、このオケに限ったことでもないが。

 時にとんでもないヘロ演奏を聴かせて、絶望させてくれるスロヴァキア放響だけれど、ここではいつになくアンサンブルが緊密。やや遅めのテンポ、クールで新鮮でした。この曲、いかにも大衆的で少々クサい旋律やリズムが続くでしょう。ま、名曲に間違いないと思うが、一歩間違うと油ッコすぎたりして「ちょっと勘弁してよ」と思うことも有。

 細部まで丁寧に描き込まれていて、大爆発すべきところでは明らかに音が薄いが、それがむしろ「いや、ここは知性でワザと抑制してみました」風に感じられて悪くない。上品なんです。あちこちのパート〜例えば木管なんかにしても〜非常に美しい。これはオケの自発的な技量と言うより、スロヴァークの薫陶の成果と類推できます。

 「ラルゴ」に、響きの官能性や「悲劇」は求められないが、淡々とした静謐さがありました。終楽章は「強制された歓喜」なんてワケわからん論評もあったが、もっと純音楽的というか、「まぁ、ここはあんましリキまんでも」風の演奏に仕上がっています。ややそっけないというか、この曲に特別な意味合いを求める人には不足かも知れないが、ワタシとしては一歩引いた冷静さがたまらない。結果として「苦悩から勝利の歓喜へ」的になっていないのもおおいによろしい。オケは(いつになく)良く鳴っております。


 「第九」はおもしろい。「第五=運命」だけれど、「第九=合唱」の図式に作曲者は乗りたくなかったとか。滑稽でカルくて、ユーモラスで、小さくて、リリカル、シンプル、そしてシニカル。「どうだ、こんな曲でも感動できるか?」とショスタコの挑戦が聞こえてくるよう。第5番との組み合わせは少々違和感有〜というか正反対。

 こういう曲は、オケの重量感とか厚みがものをいうんです。物量作戦でバリバリ攻めて欲しい。大真面目でがっちり官能的にやるほど効果抜群。我がスロヴァーク軍は少々装備が軽量で、苦戦でしょうか。それでも「モデラート」におけるクラリネット、フルート、ファゴットの響きがけっこう美しい。

 第5番のラルゴは15分だけれど、こちらはわずか3分。あんまりリキんで聴くような音楽でもないが、少々メリハリに不足する演奏でしょうか。ラスト「アレグレット」ではもたつきが気になりました。録音は上々。

Shostakovich交響曲第8番ハ短調(スロヴァーク)のことも、以前書きましたが・・・・(内容なし)〜このシリーズのジャケットは素敵です。(2002年1月6日)


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written by wabisuke hayashi