Shostakovich 交響曲第8番ハ短調
(ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送交響楽団)
Shostakovich
交響曲第8番ハ短調 作品65
ラディスラフ・スロヴァーク/スロヴァキア放送交響楽団
NAXOS 8.550628 1988年12月録音 6枚組3,990円で購入したウチの一枚
2002年再聴です。激安最新録音バルシャイ全集なんかが出てくれて、Shostakovichもじょじょに聴かれる機会が増えてきたのでしょうか。ワタシ個人的にはハイティンク/ウィーン・フィルによる1994年のライヴ(エア・チェック〜MD)が、とても美しく感じられました。スロヴァーク盤は(ワタシの購入時より値下げしたとはいえ)いまでも11枚で6,000円以上するから、少々苦戦気味。
スロヴァークの演奏には、オーケストラの豊かな「鳴り」が足りません。弱音になると「音楽」(と、いうか旋律)が聞こえなくなってしまうのは、録音のせいだけでしょうか。それでも丁寧なアンサンブルの仕上げは出色で、努力賞ものの演奏だと思います。知性的冷静派の演奏で、怒濤の興奮入れ込み系とは一線を画します。
努力賞ものだけれど、やはりアンサンブルの緊張感が持続しなくて、陰鬱な雰囲気ばかり表面に出ます。たとえば、第1楽章20分目くらいのオーボエのソロもまったく美しくない。そのあと静かに旋律が絡む弦にも、深みとか輝きが感じられない。アレグレットのシニカルなユーモラスは良く理解できる。でも、バリバリ鳴る演奏を経験しちゃうと物足りない・・・。
第3楽章〜これ、無感情みたいな疾走ですごく面白い。演奏も緊張感がよろしいんじゃないの?つぎのラルゴの馬鹿馬鹿しい爆発は気に入りました。終楽章の神妙さは表現できていると思うが、ここはもっと美しく演奏できるはず〜って、こここそオーケストラのチカラの限界でしょうか。でも、精一杯の爆発(打楽器など)はかなりの迫力。ファゴットとソロ・ヴァイオリン、チェロの絡み合いも楽しめます。
結論。録音はかなりよろしいみたい。(最終楽章の打楽器の距離感などなかなか)第1楽章が弱い。弱音部分でオーケストラのアラが出てしまう。あちこち、もっと歌うべきところで美しさに不足する・・・って、これ、なんども言うが「努力賞」もんなんで、ぜひ大幅値下げして再発売していただきたい。(2002年5月4日) 以下、昔の文章はそのまま掲載。
スロヴァークの全集を購入したのが、1994年くらいだったでしょうか。「マーラーの次はショスタコヴィッチだ!」との予想で、たしかにハイティンク、インバル、ロジェストヴェンスキーの新録音が登場、コンドラシンの定評ある全集もCDで復活したけれど、ブームというほどにもなりませんでした。
「国産一筋」だった「レコ芸」も最近、輸入盤解禁となったみたいだけれど、スロヴァークの全集は話題にならない。評価されない。録音が新しくて、価格も激安なのに何故でしょう。かく言うワタシも、何年経っても馴染めない曲が多い。この第8番も「えい、や」で、棚から取り出したCD。とくに気に入った曲、という訳じゃありません。
結局、マーラー・Brucknerとは、「管弦楽の編成が大きく、長い」というのが唯一の共通点で、あまりに違いすぎる。旋律が暗い、シニカルで不気味。かと思えば一転ノーテンキな疾走も有。なかなか曲に馴染めない。
有名な第5番は、曲想が押しつけがましくて好きではない・・・・・となると、いったいどうしたらいいんでしょ。
ところでこの曲、スパイ大作戦のBGMのような出だし、第5番とそっくりな第1楽章の雰囲気。実質上のスケルツォ楽章と云える第2楽章は一見ユーモラスでありながら、シニカルで無感情な旋律。無機的で色彩を感じさせない第3楽章。
冒頭の暴力的な爆発から一転、静けさが不気味なラルゴ。なんとなく空明るい最終楽章。不思議な曲です。64分ほど。
スロヴァキア放響は、意外としっかりとしたアンサンブル。ヴェテラン・スロヴァークの指揮のもと、暖かいオーケストラの音色も楽しめます。この曲はもしかして、もっと切れ味鋭い演奏であるべき、なのでしょうか?
重心の低さはないけれど、ふくよかで、そして洗練されない鄙びた音色が聴けます。管楽器の音色は味わい深い。響きの厚みもある。(もちろん、もの凄く上手いオーケストラなわけないが)
録音が新しいし、こんな演奏で充分じゃないの、と思いますが、他の演奏を聴いたことがないのでなんとも云えませんね。(ムラヴィンスキーとか、プレヴィンの新旧録音とか)
でも、なんかやっぱり完全には感動していません。こないだ、久々に聴いたマーラーの第9番なんか、ほんとうにジーンと来たんですけどね。この曲は、どうも暗すぎて、不機嫌で、聴いていてツラい。本当は、HPで語れるような状況じゃないんですよ、ちゃんと。ショスタコへの道遠し。
(おまけ)このシリーズ、表紙の抽象画が素敵で、ベンジャミン・チャイという人の作品だそうです。LP時代は、ジャケットそのものが芸術作品でしたけど、CDはその辺ちょっと寂しい。
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