Schubert 八重奏曲ヘ長調 D803
(ベルリン・フィルハーモニー八重奏団)


BRILLIANT 92294/5 6枚組2,510円 Schubert

八重奏曲ヘ長調 D803

ベルリン・フィルハーモニー八重奏団

BRILLIANT 92294/5 1998年NIMBUS原盤

ワタシのお気に入り作品であり、”いつまでも沸き出る歌が止まらないよ!”的美しい旋律が纏綿と連続するセレナードか。一時間を超えます。交響曲第9番ハ長調によく似たテイストであり、いっそう親密で懐かしい。数種所有するこの作品音源中、これは屈指の音質を誇ってややクールな音場が明快でした。

ワタシがかつて聴いたこの作品CD(FMでも)は、皆著名なる名人ばかりだったが、ベルリン・フィルの演奏技量は頭抜けていますね。あちこち聴き惚れるように奥行きある音色で、その存在感を際立たせているのがブランドホーファー(cl)でしょう。ホルンがしっかり安定して、上手いもんだなぁ、と思ったら、ザイフェルトだったから当たり前か。音質が”クールな音場”だったせいか、演奏そのものも、やや”クール”な印象があり、これはおそらくウィーンの名手達の甘美な世界に馴染んできたからだと思われます。(以上「音楽日誌」2006年7月)

 Schubert 八重奏曲ヘ長調 D803は歌にあふれて素敵、大好きな作品です。そういえばしばらく聴いていないな、どんな音源持っていたっけ?PRELUDIO PHC 1133/34 2枚組1,000円パスカル弦楽四重奏団+往年のフランスの名手たちによる演奏はCD処分して、ネットよりデータ再入手。この作品に目覚めた、よく歌う素敵な演奏だけど残念、音質があまりぱっとしない(低音もあまりに弱い)。サイト内検索したらウィーン八重奏団(1953年ライヴ)出現して、10年ぶりにコメントを見たら46分ほど?!これって繰り返し問題か、フツウ一時間は掛かるでしょ。テンポ設定含め全然言及なし、再度お勉強しなくては。

 データ音源もいくつかある(はずだ)けど、ベルリン・フィルのメンバーによる、こんな立派なCDが棚中にあったとは・・・ぴかぴかのディジタル録音でっせ、圧巻の音質成果。 編成はクラリネット1、ファゴット1、ホルン1、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1、これだけ揃うとけっこうな厚みがあって、室内楽の範疇からはみ出そうなほど。演奏そのものが立派、低弦も充実してシンフォニックなスケールもありました。ま、Mozart辺りで馴染みの嬉遊曲とかセレナーデなんでしょう。

 第1楽章「 Adagio ー Allegro ー Piu allegro」ゆったりとした神妙な序奏を経、明朗な歌に充ちた主題がよく歌って、これは「さすらい人」の派生なんだそう(Wikiに書いてあった)。自分なりド・シロウトイメージとしては交響曲第9番ハ長調第1楽章「Andante - Allegro ma non troppo」に雰囲気クリソツ。全体を統率するのは第1ヴァイオリンだけど、クラリネットとホルンがサウンドの色を決めていると思います。深みと色気もあってやや生真面目、んもう最高っす。(15:35)

 第2楽章「Adagio」はクラリネットの味わい深い、安寧のソロにてスタート。ここにしっとりヴァイオリンが寄り添って主題を引き継ぎます。やがてホルンが加わるとスケールが一気に広がりました。やがて甘いチェロとクラリネットが絡んで物語が続きます。静かなで繊細なテイストが堪らぬ緩徐楽章であります。(10:47)第3楽章「 Allegro vivace ー Trio ー Allegro vivace」は付点のリズムに躍動するスケルツォ楽章。弦の決然とした歩みに、クラリネットがユーモラスに呼応します。(6:12)

 第4楽章「Andante ー Variations: Un poco piu mosso ー Piu lento」は優雅な変奏曲〜ゆったりとした息抜きでしょう。自作のオペラからアリアの主題とのこと。このアンサンブルはヴァイオリンもニュアンス豊かに、細部ていねいに描き込んで緻密。クラリネットの千変万化する表情にうっとり。抑制してもホルンの雄弁さは際立ちます。各変奏ごとに旋律担当の主役が交代して、表情が多彩に変化するのも一興。この辺り、我らがヴォルフガングのセレナーデ風情たっぷり香りましたよ。(12:12)第5楽章「 Menuetto. Allegretto ー Trio ー Allegretto ー Coda」メヌエット楽章は名残惜しくいかにも浪漫風、儚く呼吸しております。ここのクラリネットも落ち着いた味わい、高らかなホルンも最高也。(7:37)

 第6楽章「Andante molto ー Allegro ー Andante molto ー Allegro molto」ラスト風雲急を告げる、嵐の予感のような不気味な出足。やがて上機嫌に表情は晴れて、ウキウキするような行進曲となります。ウィーン風甘さでもない、仏蘭西風軽妙に明るい風情とも異なって、各パート個性とニュアンスを主張しつつアンサンブルは几帳面に整って、これが独逸なんでしょう。(10:01)一日中、この作品ばかり聴いておりました。

(2016年9月18日)

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written by wabisuke hayashi