Scho"nberg 室内交響曲第1番 作品9/浄められた夜 作品4/室内交響曲第2番 作品38
(ハインツ・ホリガー/ヨーロッパ室内管弦楽団)


TELDEC 0927 44399 2
Scho"nberg

室内交響曲第1番 作品9(1989年)
浄められた夜 作品4
室内交響曲第2番 変ホ長調 作品38(以上1992年)

ハインツ・ホリガー/ヨーロッパ室内管弦楽団 TELDEC 0927 44399 2 オークションにて総経費込630円にて購入

 音楽とは出会いであって、若い頃、無垢で柔軟なる子供のノーミソに刻み込んだ嗜好は一生を左右するものです。小学校低学年で親しいご近所お兄さんの影響で”洋楽”をたっぷり聴いておりました(プロコルハルムの「青い影」がBach にインスパイアされている!と知ったのは、もっと大きくなってから)。英国音楽も、Stravinskyも、Mahler だって、そしてScho"nbergはヤッシャ・ホーレンシュタインのLP(当時1,200円の輸入盤/これで超激安)を入手していて、ローティーン時代に聴いていたことは、まさに”三つ子の魂百までも”状態。

 リンク先にあるように、それは噎せ返るような浪漫風であって、ある意味とてもわかりやすい、大カンチガイ演奏だったことは草臥れ中年に至ってから気付きました。現代演奏家の技術的な進歩は、一方で”味わいがなくなった”なんていう論評ありつつ、それはそれで演奏のスタイル(流行?)を変えたものです。ハインツ・ホリガーはご存知オーボエの名手だけれど、1939年生まれなのか・・・若手の名手といった印象だったんだけれど・・・今は昔。閑話休題(それはさておき)

 室内交響曲第1番は、ホーレンシュタイン26:16に対して、こちら21:03。前者に刷り込みがある耳には、怜悧で情感を廃した”正確快速”なる演奏はそうとうに刺激的であります。おそらくは慣れの問題だろうと思うんだけれど、今となって思えばホーレンシュタインは演奏者の体臭を感じさせるもの。現代音楽の雄・南西ドイツ放響の技量に問題などあろうはずもないが、いかにも”ハードな音楽演ってます!”的怪しさがあふれて、あちこち色付けが鬱陶しい(逆に個性的)。ホリガーはなんと非情で、詠嘆とか間とか、そんなものとは一切無縁、クールな切れ味溢れてスリリングなスピードであります。難解非情な音楽は、その素材のまま鮮度を維持〜おそらくはわずか30年程一世代でこんなに変貌して、聴き手は自分の感性の出直しを迫られました。

 「浄められた夜」は未だ19世紀1989年に作曲され、後期浪漫の濃密な空気がたっぷり残っております。もともと弦楽六重奏だけれど、ホリガーはオリジナルに近いんじゃないか?ずいぶんと切り詰められ、痩せた響きになっているが、テンポはホーレンシュタインより少々長い。作品が作品だから纏綿とたっぷり歌ってる!というこでもなくて、スリムな響き、細部隅々迄ていねい、クールに描き込んでサウンドに香水やら脂粉を撒き散らさないんです。おそらくは音楽の構造、あり方を正確に表現して、雰囲気で聴くことを許さない、といった姿勢なのでしょう。

 ここ最近、旧来のスタイル、しかもあまり上手くないオケで聴くのはツラい作品となりました。演奏スタイルの流行廃れは非情です。

 室内交響曲第2番 作品3の完成は1940年だそうで、第1番の”怪しい前衛”に比べると、第1楽章「アダージョ」には浪漫の残滓を感じ取ることが可能だし、第2楽章「コン・フォーコ(情熱をもって)」は熟達の技法で”手慣れた前衛?(でもないか)”的印象となります。先のホーレンシュタインとは全然別の意味で、音楽の姿はとてもわかりやすい。スタイルが確立されたということですか?作風は平易で、なんせ”変ホ長調”といった調性が復活しております。ホリガーのスタイルは相変わらず非情でクールなまま。

written by wabisuke hayashi