Scho"nberg 「浄められた夜」「室内交響曲 変ホ長調 作品9」
(ヤッシャ・ホーレンシュタイン/南西ドイツ放送交響楽団)


VOXBOX CDX2 5529 Scho"nberg

浄められた夜
室内交響曲第1番ホ長調 作品9

ヤッシャ・ホーレンシュタイン/南西ドイツ放送交響楽団(バーデン・バーデン)(1956年録音)

VOXBOX CDX2 5529   2枚組1,400円(くらい?)で購入

 息長いVOXファンのワタシとしては、現在でもかなり入手可能な音源が存在するのは嬉しいが、この2枚組はネット検索する限り入手不可。店頭在庫くらいかもしれません。↓以下の更新にあるように、この2曲がLP時代のオリジナル収録でして、子供が聴くべき音源としては少々ハードだけれど、ワタシはたいへん気に入っておりました。(たしか1,200円)音質があまりぱっとしないのも記憶通り〜のはずが、意外と聴きやすいことに驚き。「浄められた夜」ともかく、室内交響曲のほうは”現代音楽に熱心”なる南西ドイツ放響ならでは(当時)貴重な録音だったのでしょう。ずいぶんと聴いていないので、その部分のみ再聴。

 (今更ながら)ワタシは硬派廉価盤原則主義者なので、出会いが少なかったんです。余剰(バブル)資金潤沢であればブーレーズのScho"nberg全集一気購入!といきたいところだけれど、経済的にムリせず、(お安い)出会いを大切にここまで音楽生活を続けて〜ハインツ・ホリガー/ヨーロッパ室内管弦楽団(1986/92年)盤に出会いました。これが快速テンポ、情感を排した精緻な表現が、作品の混沌(カオス)を鮮明に際立たせるような凄い演奏・・・で、ホーレンシュタイン盤の再聴比較を決意。

 「浄められた夜」は1899年の作品であり、Scho"nbergの”売れ筋”として、録音も数多い名曲。棚中在庫でもオーマンディ/ミネアポリス交響楽団が1934年、ゴルシュマン/セントルイス交響楽団が1945年録音盤有・・・太古録音の時代より人気があったんでしょう。噎せ返るような爛熟浪漫の作品であって、ホーレンシュタインとの久々の再会は、まさに”噎せ返るような爛熟浪漫”表現そのもの。アツくうねって、雄弁に叫んで思い入れタップリ、ちょっと最近見ないほど彫りの深い演奏でした。もともとこんな演奏が当たり前で、(例えば)ホリガー辺りのワリと最近のさっぱりすっきりとした表現に変わってきたのかも。

 おそらくはモノラル録音にちょろっとステレオ・プレゼンスを付け加えた、といった感じの音質です。優秀録音とは言い難いが、分離のよいまともな音質と言って良いでしょう。LPは盤質もよろしくなかった記憶有。

 意外と入手難、とは室内交響曲(第1/2番)のことです。ま、十年も掛ければボチボチと出会いが・・・ホーレンシュタインの久々の出会いに仰け反ってしまいました。

浪漫の名残が勝って、作品の混沌(カオス)を混沌(カオス)的に表現して、大時代的感触がありました。ま、オケの技量が全然ちゃう、ということでしょう。(音質も)(「音楽日誌」より)
南西ドイツ放響の技量を云々するとは笑止千万だけれど、これは指揮者の世代的リズム感の違いなのでしょう。ようはするに「浄められた夜」同様の方向の表現で作品を表現している、ということです。

 既にブーレーズ/アンサンブル・アンテル・コンタンポラン(1995年6月1日サントリー・ホール)ライヴ・エア・チェックでも気付いていたが、美しいがハードで非情な作品を、情感を排した精緻な表現で聴かせて下さることがポイント。いくら現代音楽の先鋭・南西ドイツ放響といえど、あちこちのパートに”色/詠嘆/節回し”が付いて、時代(遅れ)を感じさせます。(ヴァイオリン・ソロは「浄められた夜」そのままの甘美維持)懐かしいし、これが(子供時代からの)刷り込みだけれど、ちょっと違和感ありますねぇ。

 旧世代は、なんとか苦い薬に糖衣を纏わそうとしたのか。それとも、こうとしか譜面を解釈できなかったのか。ワタシはニヤニヤ楽しんじゃったが。

(2008年4月4日)*この数年後、ネットにて自在に音源が探せる時代がやってまいりました

R.Strauss、Wagner、Mahler 、Scho"nberg(ホーレンシュタイン)


R.Strauss

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
交響詩「ドン・ファン」作品20
交響詩「死と変容」作品24

Wagner

歌劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲

Mahler

歌曲集「若き日の歌」

ノーマン・フォスター(bb)

楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲」と「愛の死」

以上 バンベルク交響楽団(1954年録音)

Scho"nberg

浄められた夜
室内交響曲ホ長調 作品9

以上 南西ドイツ放送交響楽団(バーデン・バーデン)(1956年録音)

ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮

VOXBOX CDX2 5529   2枚組1,400円(くらい?)で購入

 盛りだくさんの内容で、この価格。LPでは3枚分くらいでしょうか。シェーンベルクはLP時代から所有(中学生時代)していて(安かったんですよ、それでも1,200円くらい?)、盤質・音質ともあまり良好とは言えなかったが、お気に入りでした。当時の記憶からすると、音はずいぶんと良くなっている印象有。寄せ集め的な選曲ですが、いずれ濃厚・浪漫的な響きが楽しめる曲ばかり、タップリ収録。

 カイルベルトの昔から日本ではお馴染みのバンベルク響ですが、その洗練されないガンコな音色は貴重です。たしかバンベルクって10万人くらいの都市で、ちゃんと伝統あるオケを維持できるのは素晴らしい。不遇の巨匠ホーレンシュタインとの貴重な録音や如何。

 曲が曲なので、音質は重要でしょう。VOXレーベルなので心配しましたが、なかなか明快な録音でした。

 「ティル」も「ドン・ファン」も、素晴らしくノリノリで輝かしい。このオケ、新しい録音では一部のパートの音色に魅力がなかったり、やる気がなさそうだったりするのですが、このテンションの高さは尋常じゃありません。怒濤の推進力、シミジミとしたところの歌心。「ティル」冒頭や「ドン・ファン」中間〜後半のホルン・ソロも決まっていて、渋い味わい有。オーボエも弦も「スルリと音が出過ぎない」ところがgood。はっきりいって、このオケを見直しました。

 「死と変容」はワーグナーの影響モロで、このあとの「ローエングリン」との相性もなかなか。静かな下降音型が続いたあとに、ティンパニの劇的一発で緊張感が高まります。そのド迫力。弦も金管も充分に分厚い響きで魅力的。スケールも大きい。中間部のヴァイオリン・チェロのソロも美しい。

 「ローエングリン」の静謐な響きを楽しんだら、ホーレンシュタイン得意のマーラーに入りました。「若き日の歌」は、どうしてもフィッシャー・ディースカウのイメージが強い。フォスターという人、声がくぐもっていて、なんとなく時代を感じさせるような「骨太さ」を感じさせます。大柄で立派な歌唱だけれど、若い心の微妙な揺れ、とは縁遠い感じ。オケは雰囲気タップリで立派でした。(それにしても収録が盛りだくさん。ここまで一枚目)


 「トリスタン」は、木管の繊細な音色がとても美しい。ホルンの深さも、弦の渋さもたまらない。少しずつテンポを上げていって熱狂の渦にたたき込む手腕はたいしたもの。この人の浪漫派はほんとうに凄い。オケの響きがねぇ、もう最近では聴けないような、ちょっと芯のあるものなんですよ。ベルリン・フィルは立派だけれど、ドイツ・ローカルの音色とはこんなのかも。

 シェーンベルクは、生意気な中学生(当時のワタシ)が聴くようなヤワな音楽じゃありません。記憶ではLPのジャケットはクレーかなんかの絵だったはず(?)。当時は音質の悪さに閉口したものですが、このCDではちゃんとしたステレオ録音みたいだし、濃厚・狂乱・セクシーな味わいタップリ。どのパートも、細部までていねいに味付けされて、熱狂的ではあるが、バンベルク響とはひと味違う冷たい響きが楽しめます。

 これ、最高の名曲。後期浪漫派の爛熟しきって、もう腐り落ちる寸前、といった曲だけれど、いまでもシェ−ンベルク中もっとも人気のある曲のはず。でも、ワタシは当時から「室内交響曲」(第1番のほう)のほうがお気に入りでした。

 こちらのほうはLPの記憶通りで、音質がやや落ちます。暴力と美しさが一体となったような音楽で、混沌と調和が劇的な効果を生み出します。ワタシは不協和音さえ美しいと感じました。正直言って、いま聴くとこの演奏は未整理な感じ。(出ているのかどうか知らないが*)ブーレーズ辺りだと、もっと明快で、細部まで怜悧に刻み上げたような演奏が可能でしょう。

 ホルンのつんざくような叫び、そうとう高度なテクニックが要求されそうなチェロ、ある時は泣きわめき、切々と歌うヴァイオリン。冷酷な木管群。現代音楽を得意とする南西ドイツ放響ですが、録音のせいでしょうか、全奏では響きが濁ります。とはいえ、この作品「春の祭典」に負けないほどの「現代音楽の古典」だと思うのですが、如何?(2001年3月23日)


(出ているのかどうか知らないが*)と言ったブーレーズの「室内交響曲第1番」録音、手元にありました。

ブーレーズ/アンサンブル・アンテル・コンタンポラン(1995年6月1日サントリー・ホール)

 これ、1995年に開催されたブーレーズ・フェスティヴァルの一環で、FM放送された(たしか生中継)ものをDATで保存していたもの。演奏は、呆れるほどさっぱりとして、緻密で流れの良いもの。音符をなるべくそのまま感情移入せず、乾いた音楽にしているようだけれど、充分瑞々しく、そして素っ気ない。技術的に極めていて、これがスペシャリストのワザか。

 ホーレンシュタインの演奏が、逆に現代音楽への思い入れが溢れすぎるように思えました。(2001年4月20日)


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written by wabisuke hayashi