Scho"nberg 月に憑かれたピエロ 作品21
(ロバート・クラフト/20世紀クラシック・アンサンブル/アニヤ・シリヤ)
Scho"nberg
心のしげみ 作品20(1911年/ロンドン交響楽団員/アイリーン・ハルス(s)/1994年録音)
月に憑かれたピエロ 作品21(1912年/20世紀クラシック・アンサンブル/アニヤ・シリヤ(語られる声)/1997年録音)
4つの小品 作品27(1916年/フィルハーモニア管弦楽団/キャサリン・ウィン・ロジャーズ(ms)/1998年録音)
室内交響曲 第1番 ホ長調 作品9(オリジナル版))(1912年/20世紀クラシック・アンサンブル/1998年録音)
ロバート・クラフト
NAXOS 8.557523 @480(総経費込オークションにて入手)
2009年夏、気持ち的にはともかく体調不良極まって、直接の症状は(こどもの頃からの持病である)咽の腫れ〜毎週耳鼻科に通っているが、これで4週連続の点滴なんです。お医者は「ストレスと睡眠不足」が原因だと。(眠りが浅いのも症状なのに、眠れ、とご指導されてもねぇ)女房殿は太り過ぎとの教育的指導(一理有)・・・お仕事休んだり、日常業務(出張含む)でご迷惑を掛けることはないけれど、帰宅したらへろへろ状態。定年まで保つか?間に合うか、ヤマト。まだまだ元気で遊びたいよう。
音楽に対して集中力を失っていて、ずいぶんと処分したつもりの棚中CDだけれど、眺めているだけで少々ゲンナリしてきちゃう。音質の悪い歴史的録音は、おそらく7割は処分済みだし、聴く機会はずいぶんと減りました。耳あたりの悪いものには長時間耐えられない。かといって、御大カラヤン往年の1970年代交響曲録音にも(いまいち)深い感動が押し寄せないんです。独墺系BBはもとより少々苦手、お気に入りのMozart 、Bach 、Mahler 、Stravinsky、そして英仏系音楽ばかりというのも安易ではないか。
日本語はあっと言う間に陳腐化するから”ミチョランマ”も既に死語でしょう。(誰だ?チョベリバなんて、いまだに言うヤツ)しかし、未聴CDは確かに存在して、挙げ句、記憶が薄れてくるから日々棚中より新発見!有、しかもネット検索したら自らのサイト記事が登場すること再々〜このロバート・クラフトのScho"nbergはオークションにて7枚分まとめて落札、全部は聴いていないんじゃないか。
目が覚めるほど鮮明な録音であること、正確精密なアンサンブルであり、情感を廃し、不安げで怪しげなる静謐旋律連続。行き着いた先はこんな音楽です。「心のしげみ」はわずか3分半の作品であり、ソプラノ、チェレスタ、ハーモニウム、チェンバロが含まれます。歌詞はメーテルランク。3人の女声によって担当される一枚だけれど、アイリーン・ハルスが一番生真面目でしっとりとしております。それにしても超高音!(以下、勝手にネットから拾ってゴメン)
僕のもの憂い憧れの 青いガラスが
古くから漠たる悲しみを覆う
僕が産んだ悲しみは
今は微睡みつつ凝固する
象徴のような悲しみの花々の飾り
幾つかのよろこびの暗い睡蓮の花
欲望の棕櫚
しなやかな蔓草 ひんやりとした苔。
咲き誇る一輪の百合の花だけが
病気がちに青ざめて 堅く
葉となったすべての悩みの上に
身を起こしている
その花びらは明るく見え
白い月の光をまわりに撒き散らし
青い クリスタルに向けて
百合は神秘の祈りをおくる。
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おそらくは題名ばかりで聴く機会など少ない「月に憑かれたピエロ(Pierrot lunaire/ピエロ・リュネール)」。ヴェテラン・シリア登場。ソプラノじゃなくて「Sprechstimme/語られる声」なんだそうです。いったい楽譜はどうなっているんだろうか(リズムは楽譜通りで、音高は指定の音に達した後すぐに離れて変化しながら次の音に移っていく、とのこと)。表情が千変万化して、まさに”語る”んです。その表現たるや、まさに熟達。それにフルート、クラリネット(バス・クラリネット)、ヴァイオリン(ヴィオラ)、チェロ、ピアノが絡み付く。100年前、1912年にこんなハードな音楽演っちゃ、そりゃ初演時、口笛吹いて立ち去る保守派も出るでしょうが。歌詞はアルベール・ジロー(Albert Giraud)。
【第1部】
月に酔う Monnestrunken
コロンビーナ Colombine
伊達男 Der Dandy
蒼ざめた洗濯女 Eine blasse Wascherin
ショパンのワルツ Valse de Chopin
聖女 Madonna
病める月 Der kranke monn
【第2部】
夜<パッサカリア> Nacht (Passacaglia)
ピエロへの祈り Gebet an Pierrot
強奪 Raub
赤いミサ Rote Messe
絞首台の歌 Galgenlied
打ち首 Enthauptung
十字架 Die Kreuze
【第3部】
望郷 Heimweh
いやなこと Gemeinheit!
パロディ Parodie
月のしみ Der MONNfleck
セレナード Serenade
帰郷<舟歌> Heimfahrt (Barcarole) (Journey Home)
おお、いにしえの香りよ O alter Duft (O Old Perfume)
(以上、再び勝手にネットで検索引用/すまん)題名見ているだけでもエグい象徴的な感触有。個人の勝手な印象だけれど、新ウィーン楽派の音楽を聴くと、必ずMahler を連想するんです。ここではフルートが「大地の歌」を思い出させ、やや難解だけれど、耳をつんざく破壊的サウンドではない。緻密で小編成だけれど音楽の集中力が強烈。
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「4つの小品」 作品27は
1、セラフィータ(E.ドーソンの詩〜って誰?)
2. あなたを求めるすべての人は(リルケ)
3. 私に草原の見張りをさせて(リルケ)
4.予感(リルケ)
から成っていて、相変わらず”静謐なる不協和音”の素敵な作品なんだけど、キャサリン・ウィン・ロジャーズ(ms)の声質がもっとも硬質です。ま、ドシロウトのコメントはこの程度。ザ・フィルハーモニアの威力強烈強靭。録音もこれが一番よろしい。
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どこが「オリジナル」なのかようワカラんけど、室内交響曲 第1番は昔馴染み(LP時代より)のお気に入りの作品。これが凄い!ホーレンシュタインさんにはずいぶんとお世話になったんだけれど、時代は変わりました。南西ドイツ放送交響楽団も現代音楽の雄でであって、技量的にも文句を付けるべき筋合いではない。でもね、鋭いリズムのキレ、易々とアクロバティックな旋律を弾き抜けて疾走します。ほとんど別作品!の感触。Twentieth Century Classics Ensemble はその道のスペシャリストであって40年間に時代は大きく変わりました。
ちょっと痺れた。 (2009年8月7日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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