Sibelius 管弦楽曲集(スカーマーホーン/スロヴァキア放送交響楽団)Sibelius
交響詩「フィンランディア」作品26 スカーマーホーン/スロヴァキア放送交響楽団 NAXOS 8550103 1988年録音 @1,000。5枚買えば一枚無料だったはず。 「@1,000。5枚買えば一枚無料」というのは、1990年代のはじめ、タワーレコード心斎橋店でのことだったと記憶しております。つまり、このCDも購入10年にならんとしている、ということか。以下のコメントは、たしか一番最初(ワタシのサイト開設当初)のものから大幅修正したはずで、ま、勝手なことばかり言って赤面するばかり。再聴しましょ。 でも、ま、ほぼ印象は変わらない。そつなく、小さくまとめた、という感じ。旋律の呼吸が浅いというか、イマイチ細部が甘いというか、ツメが甘い。以下のコメントによると「このオーケストラは、指揮者によって出来不出来が激しい」とのことだけれど、正確に言うと、たいてい良くない感じ。そこそこに仕上げてしまう。 「レンミンケイネンの帰郷」「ポヒョラの娘」辺りが、ワリと溌剌としていますかね。腰はややカルいが。真面目一方でもあるが。それにしてもこの収録、ずいぶんと徳用ですよね。でも全57分だから、まだ入るか。 さきにサージェント盤(ウィーン・フィル)を聴いたのがいけなかったか、薄味・・・というより「味がない」のに近いか?クセがないから、曲を知るには充分だと思うし、これはこれで「名曲を文庫分感覚で・・・」という目的は達成されているかも。この傾向に慣れると、後半にいくに従って「悪くないね」と思わないでもないし。 最新のカタログには生きているけど、サカリ/アイスランド響の評価が高いですからね。もう、なかなか手に入らないかも知れません。(2003年3月14日)
安物買いと自覚しているワタシですが、なんでも買うわけじゃない。選球眼はあるつもり。それでも、経済的に許せば必ず買いたいものもある。例えばMozart 、そしてSibelius 。 NAXOSの趣旨は「高名な演奏家であることより、実力のある演奏家を」ということだったと思います。レーベル創立10年を越え、世界各地の演奏家の掘り起こしに熱心なことは加速度を加え、再録音、再々録音も始まっている今日この頃、アイスランドの熱いオーケストラの名演奏に隠れて、アメリカのヴェテラン・スカーマーホーン盤はいかにも分が悪い感じ。 ワタシが勝手に「スロヴァキア放響」としてしまったけれど、ジャケットには「CSR交響楽団」となっています。まだ共和国分裂前のこと。当然、ブラティスラヴァの放送局のオーケストラのこと。このオーケストラは、指揮者によって出来不出来が激しい。(演奏に触れる前に・・・・・表紙の絵はムンクです。知ってました?) 民族の劇的思いを表現した「フィンランディア」になにを期待するか。1980年代に来日したヘルシンキ・フィルの来日公演で、団員はこの曲を、涙を流しながら演奏したとか・・・・。一方で、この曲は実力あるオーケストラの圧倒的な迫力で聴かせるのも悪くない。・・・・・で、この演奏はどうも中途半端でいけません。誠実ではあるが、燃えるような気概も足らず、オーケストラの技量もいまひとつ。リズムの切れももう少し欲しいところ。ティンパニのピッチが悪いようにきこえるのは、ワタシの空耳でしょうか。 「カレリア」は、中学生時代に音楽室にあったレコード(たしかサージェント盤)を、昼休みに勝手にかけて以来のお気に入り。バラードの切ない旋律の絡み合い、行進曲のウキウキするようなハズんだ気持ち。ここでもリズム感が不足気味ですが、楽しい気持ちで聴けます。オーケストラの響きは地味。 「レンミンケイネンの帰郷」「ポヒョラの娘」と聴いてきて気付きました。シベリウスには特別な個性が必要だと。幻想的で自由な作風が美しいけれど、この作品を表現するには涼やかなオーケストラの響きが必要でしょう。テクニックが抜群とか、金管の厚みが圧倒的、というようなことではなくて。それは指揮者の責任ともいえる。 この演奏。とんでもないとは思わないけれど、マジックが発生しません。悪くないけど、フツウの演奏。指揮者の熱い想い、が感じられない。爽やかだけれど、踏み込みが足りない。オーケストラの響きに魅力が不足する。 「トゥオネラの白鳥」「悲しきワルツ」もスッキリとまとまっているけれど、個性不足・・・・・・・・なんて、厳しいことを言ってしまったけれど、録音も悪くないし、シベリウスの味わいを壊してしまうような演奏じゃない、と擁護しておきましょう。 選曲もよく考えられているし、へんなクセもなくて、シベリウスの魅力は充分に感じさせてくれるはず。名曲揃いです。録音も上々。スカーマーホーンの録音は少ないし、大切にしているCDのひとつではあります。(1998年更新)
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