アルゼンチン・サンタフェ・ギター四重奏団


Copland

ふたつのラテン・アメリカのスケッチ

Piazzolla

三曲のモダーン・タンゴ

ラテン・アメリカ・ポピュラー組曲

ふたつの伝統的タンゴ

Piazzolla

ふたつの季節

SANTOROLA

三曲のラテン・アメリカ小曲

アルゼンチン・サンタフェ・ギター四重奏団

KLAVIER KCD-11075 録音年不明(1990年代と類推) $1.99

 ああ、これ買ったまま忘れていたな、どれ・・・なんて音が鳴り出したとたん!ココロ奪われました。知っている曲なんてひとつもないはずなのに、なんと懐かしい。どこかで必ず耳にしたような、日本人なら必ずイメージとして持っているアルゼンチン・タンゴの切ない旋律が、リズムが、もう次々と〜情報不明ながら、きっと新しい録音なんでしょ。静かに、情熱的に弦を弾(はじ)き、こすり、胴を叩き、歌い(これは例え話)、踊り、鳴らす、その振動が、空気が伝わって部屋に充満します。

 4人の黒ずくめのイケメン(写真が載っている)ギタリストが、ノリノリで、しかも軽やかに奏でる姿が眼前に。一種特有の短調の連続転調コードがワン・パターン(誉め言葉でっせ)で、こりゃラテン・アメリカの演歌ですな。正直、泣ける旋律。「胴を叩き」というのはじつに効果的で、まるで多種多様な打楽器が加わったみたいなんです。これはあちこち、もうたくさんたっくさん出てきて、ひとつの決まりごとみたい。

 「ラテン・アメリカ・ポピュラー組曲」にLEO BROWER(レオ・ブロウェル〜この人は知っている)の「トッカータ」が含まれていて、これが一番激しく、前衛的で躍動的で、破壊的な不協和音が印象的(これがポピュラーかね)。それもわずか2分で終了し、CarlEVARO「ミロンガ・オリエンタル」〜これが典型的な快速哀愁旋律で、この対比がナント効果的。ラスト、PIXINGUINHA「パッサテンポ」の明るい表情に救われちゃう〜って、どんどん表情が暗転していくんですね。これMozart の世界か。ちゃんと元に戻るところもね。

 「知っている曲なんてひとつもないはず」〜なんてウソでして、ふたつの伝統的タンゴ〜「ラ・クンパルシータ」(G.M.RODORIGUEZ)は、誰でも知っているでしょ?というか、これしか知らん!というのが正しいか。これを聴くと、いかにこのクァルテットが抑制された、上品な演奏をしているか、が理解できます。どんどん旋律が崩れていって、テンポが妖しげに遅くなっていくところなんて、もう最高!

 いや、とにかく上手い!繊細!ピタリと息が合って楽しい!だいたい3分くらいの作品ばかりだけれど、Piazzollaだけが5分ほどで、やはり旋律が複雑、変化が多彩で、いっそう味もあります。(これはピアッツィーニのピアノ曲作品でも感じたこと)ふたつの季節〜「オントーノ・ポルテーニョ」(読み方ウソかも)激情の揺れ動き、詠嘆(ソロ・ギターの)が理解でき(るような気になり)ます。

 ラスト「三曲のラテン・アメリカ小曲」は、ご当地のChopin でっせ。いや、ほんま。寂しい作品が2曲続いてラスト「マランボ」は、まるで和太鼓のような開始(胴叩き)からやや不安げな不協和音も頻出して、途中にハンド・クラッピングも加わって激しく終了しました。優秀録音。(2004年4月2日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi