ピアソラ〜ピアノによる情熱のタンゴ


Piazzolla
アルフレド・ゴビの肖像、ピグマリオン

Guastavini
バイレシート、ガト

Fontenla
山並みの夕暮れ

Piazzolla
天使のタンゴ、ピカソ

Ginastera
ミロンガ、アルゼンチン舞曲集第1〜3曲

Buchardo
バイレシート、カンペーラ

Saenz
ミロンガ

Piazzolla
金星の女たちの歌*、南十字星の前奏曲

Williams
捨てられた畑小屋

Aguirre
ガト、トリステNo.4

Piazzolla
Chau Paris、Muerte

カルメン・ピアッツィーニ(p)

ARTE NOVA 74321 56343 2 1997年録音   700円で購入

 以下の文書は1999年頃かな?今のワタシなら、これほど基礎知識もなにもなくてサイト原稿にできません。数年前のワタシは〜やっぱりピアソラの曲は、黙って聴き流していても「!」という感じはあって〜なんて書いてはいるが、そうでしょうか?彼の曲はたしかな感触はあるけれど、他の曲だって負けてはいない。

 どれもとても静かで哀しい。ココロの中のわだかまりが解けなくて、ひとり静かに悩む深夜〜そんな状況にピタリ。アルゼンチン・タンゴってもっと激しい音楽のハズで、上品でしっとりとした味わいはピアッツィーニだから〜と思っていました。でも、ほかの数曲を聴いても「静かで哀しい」感じはあって、味わいとしては、うんとエキゾチック過多で、しかも親しみやすいDebussy+Chopin (あるいはSatie)というところか。

 Ginastera(ヒナステラ〜「エスタンシア」で有名)の「アルゼンチン舞曲集〜第二曲」なんて典型ですよ。「甘美な苦しみ」がひしひしと伝わりました。で、次の第三曲は一転、うんと激しく情熱的に。Buchardo(読み方さえわからない)の「バイレシート」の軽快なる味わいさえ、なんとなく寂しげ。続く「カンペーラ」の気怠い味わい。

 全部、説明を付けていくとキリがありません。どこかで聴いたかのような錯覚が続いて懐かしい。正直、Beethoven のソナタを聴くよりずっと好きですね。Piazzolla 金星の女たちの歌、南十字星の前奏曲〜この二曲はあまり大衆的で甘やかな旋律で、硬派のクラシック・ファンには申し訳ないほどでしょうか。(2003年8月14日)


 「ピアソラ・ブーム」というか、タンゴやサルサなんかのダンスも流行っているそうで、日本の音楽受容の幅も広がっているようでおもしろい。CDの売り上げだけを見ると、一部の若い層の流行歌ばかり目立つけれど(それも好き)演歌とか、クラシック・ミュージックだってそれなりの市場となってやっていけるのは素晴らしい。バブルが去って以来の不況は厳しいけれど、本当の文化がじょじょに日本にも根付いている感じ。

 この演奏について、とやかく云えるほどアルゼンチンの音楽には精通していません。ピアッツィーニは、数年前にギーレン率いる南西ドイツ放響の来日に同行していました。いかにも、っていう名前でアルゼンチンのピアニスト。モーツァルトの協奏曲を弾いていましたね。

 どれもこれも哀愁漂う「泣き」の旋律で、いかにも日本人好み。懐かしい雰囲気さえ感じさせます。ピアソラ以外では、ヒナステラくらいしか名前も知りませんが、端正なピアノによる演奏で、イロ物でない、ちゃんとしたクラシックとして楽しめます。でも、やっぱりピアソラの曲は、黙って聴き流していても「!」という感じはあって、リズムの切れがひと味違う。曲想は違うけれど、スカルラッティの小品を聴いている楽しみと同質。

 ピアッツィーニは、云うまでもなく完全なクラシック・スタイルで細部まで明快、テクニック的にも流したところはいっさいなし。オーソドックスではあるけれど、自ずからにじみ出るリズム感もあって、芯が一本通った音色は美しい。色気を感じさせる輝かしさ。疾走するノリ。
 録音もしっかりとしていて、眼前でのピアノの質感が感じとれます。

 で、じつはこのCD、RCAの国内盤でBVCC-35011(1,835円)で出ているんですよね。レギュラー盤よりも安いけれど、どうして国内盤に仕立て直すと2倍以上に跳ね上がるのかおおいに不満。なんか、日本の消費者をバカにしたような感じもあって気分悪し。
 流行に便乗するのもいいでしょ。せっかく、国内盤880円でスタートしたこのシリーズも、なんか尻すぼみで(売れ行きが思わしくなかったのかな、輸入盤では系統的に発売されているのに)、このように便乗値上げするのはいかがなもんでしょうか。

 もちろん、この演奏家、音楽になんの罪もありません。輸入盤が手に入れば1,000円でおつりがくるはずですから、探してみて下さい。

 内容のないHPでごめんなさい。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi