Saint-Sae"ns 組曲「動物の謝肉祭」/チェロ協奏曲/
序奏とロンド・カプリチオーソ/交響詩「死の舞踏」
(フォルカー・ハルトゥング/ケルン・ニュー・フィル)
Saint-Sae"ns
組曲「動物の謝肉祭」
チェロ協奏曲イ短調
Jadranka Gasparovic(vc)
序奏とロンド・カプリチオーソ
Elizabeth Basoff-Darskaia(v)
交響詩「死の舞踏」
フォルカー・ハルトゥング/ケルン・ニュー・フィルハーモニー
JPK 160819 (c)2019
ケルン・ニュー・フィルは若者たちの室内オーケストラらしい。協奏曲のソロもメンバーなのでしょう。NMLによるとけっこうな録音があることがわかります。スリーブに中国語訳が入っているところを見ると中華系資本の援助もあるのでしょう。なんせ彼(か)の大国は次々と若い音楽家を育成しておりますから。Volker Hartung(1955-)は独逸のヴァイオリニスト、指揮者とのこと。
この一枚、選曲が気に入りました。誰でも知っている馴染みの組曲「動物の謝肉祭」はユーモラスかつ各々各パートの腕の見せ所もたっぷり、チェロ協奏曲は短い、3楽章が途切れなく続いく作品、著名な「ロンド・カプリチオーソ」は手練のヴァイオリニストの代表的レパートリー。「死の舞踏」もヴァイオリン・ソロが大活躍、「動物の謝肉祭」に風情が似ております。ありそうでなかった魅惑の組み合わせ。
「動物の謝肉祭」のピアノはNatasa Majer、Ana Pispekという方(読み方不明おそらく若手)、「白鳥」はチェロ協奏曲と同じ Jadranka Gasparovic。自分の好みは室内楽編成+ピアノが思いっきり羽目を外して第11曲「ピアニスト」辺り、超絶ヘタクソ大仰に弾いてもらいたいもの。(念頭にアルゲリッチ有)
もちろん編成は室内オーケストラサイズ、残響少なめ直接音中心、きわめてリアル鮮明な音質は清潔サウンドそのもの。作品によっては個性不足で味わいに不足すると感じられることもありました。技術的に問題ないけれど、生真面目に正確、一生懸命、でもこんなユーモラスに愉しい、多彩な旋律リズム色彩作品だったらなんの不足も感じない。遊びとか余裕に不足しても、作品そのものの愉悦はしっかり伝わりました。
第7曲「水族館」の幻想的な風景、第12曲「化石」に於ける骨の音描写はリアル、第13曲「白鳥」の優雅な風情は文句ないでしょう。第9曲「森の奥のカッコウ」は、Mahlerの交響曲第1番ニ長調第1楽章「ゆるやかに、重々しく」を連想させました。欧州でも地域によってカッコウの音階は異なるのですね。
チェロ協奏曲イ短調はロストロポーヴィチの演奏(1953年)で出会ったもの。ほの暗い濃密な旋律はムダのない名曲。わずか20:37。これがなんせ大巨匠の刷り込みか、技術的に問題なくても音色に色気が足りなくて、ジミというか作品の魅力を引き出せていないような、ちょっぴり隔靴掻痒状態。Jadranka Gasparovicは若手だから楽器も安いのかも。
序奏とロンド・カプリチオーソは名手サラサーテのための作品。「ツィゴイネルワイゼン」といっしょに収録されることが多いけれど、泥臭いウケ狙い旋律(←それも好きだけど)より、こちらのほうがずっと気品があって、それは中学生時代よりの嗜好でした。これも往年のハイフェッツとかオイストラフで馴染んでいるから、真っ直ぐ清潔生真面目な技巧を駆使しても、余裕とか味わいとか個性が足りない。
でも、作品配列の流れは作品を味わいのによろしいかと。
交響詩「死の舞踏」のヴァイオリン・ソロは同じくElizabeth Basoff-Darskaiaなのか(スコルダトゥーラ変則調弦)これは不気味な死神を表しているんだそう。シロフォンは「化石」同様、骨がぶつかり合う音でした。不気味なワルツを歌うフルートの低音は腕の見せ所、これも音色が軽いというかなんというか・・・でも、全体に上出来。なんせ音質よろしいですし。 (2019年12月15日)
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