Vaughan Williams 交響曲第9番ホ短調/舞踏のための仮面劇「ヨブ」
(アンドルー・デイヴィス/BBC交響楽団)


Warner 2564 61730-2 1,990円 Vaughan Williams

交響曲第9番ホ短調
舞踏のための仮面劇「ヨブ」

アンドルー・デイヴィス/BBC交響楽団

Warner 2564 61730-2 1,990円 1997年録音

 Vaunghan Williamsの音楽はあまりに渋く、相変わらず日本じゃ人気なし、実演でもほとんど演目に見あたりません。(英国音楽一般)この第9番はそのなかでも更に晦渋、地味な印象強いと思います。マルコム・サージェントの初演音源にてちょっと目覚めた手応えありました。エイドリアン・ボウルトの全集(EMI)が横綱的存在なんだろうが、旧全集(英DECCA)ではこの第9番が録音間に合わず、EVERESTへの追加音源(1958年ステレオ/この演奏がなかなかの迫力!)で全集にしておりました。

 アンドルーの全集は音質、オケの技量も(価格も)文句なしなんだけど、もの凄く地味、かつ淡彩なる印象です。雄弁なる粘着質表現やら、耳目を驚かせる金管打楽器の大爆発(けっこう鳴っているんだけれど)とは縁がないから。録音も艶々マルチマイクとは無縁?自然とと言えば自然、ずいぶんと大人しい印象であって、弦の響きがやや薄いのも一因かも知れません。いずれ、英国音楽には”地味渋”サウンドが基本なんです(と、勝手に思う)。

 怪しくも不安げなる第1楽章「モデラート・マエストーソ」。この演奏には悲劇の強調は薄くて、粛々と言うより鬱々とした歩みを感じさせます。第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」も密林奥地探検的怪しい雰囲気は鬱蒼として、リズムは着実な刻み。冒頭のトランペット?ソロはずいぶんと遠く、弱い。(トランペットじゃないかも/フリューゲル・ホルン指定らしい)大音量部分、打楽器を伴う決然とした爆発が出現しても、静謐なる抑制印象は変わりません。弦の悠然とした歌は聴きもの。

 第3楽章「スケルツォ」のサックスとシロフォンのユーモラスな(かなり激しい、決然とした)リズムにも説得力充分だけれど、あくまで響きに派手さを感じさせない。やがて金管が参加して大活躍しても、つや消しの響きが継続いたします。(サージェント盤より録音が新しい分だけ、サキソフォーンの複雑な動きはよく理解可能)終楽章「アンダンテ・トランクイロ」は、弦+木管の静謐、かつ掴みどころのない旋律で開始されました。このあたりが好き嫌いを分かつのだろうな。やがて悠然たる黄昏の音楽に至って、モノローグと交代にメリハリなく混迷のまま延々と音楽は続いて、ラスト大爆発に解決印象なく音楽は終わっていく・・・

   「ヨブ記」というのは筋書き的にド・シロウトの手に負えんな。荘厳な雰囲気溢れて、交響曲第9番と続けて聴いても違和感はありません。(1930年初演/実際上はバレエ音楽)映画音楽のようにわかりやすい、メリハリのある旋律が続きました。第1場「前奏曲」「神の息子たちのサラバンド」第2場「サタンの勝利の踊り」第3場「ヨブの息子たちとその妻たちのメヌエット」第4場「ヨブの夢」第5場「3人の使者の踊り」第6場「ヨブの慰め役たちの踊」第7場「若く美しいエリフの踊り」「暁の息子たちのパヴァーヌ」第8場「朝の息子たちのガイヤルド」「祭壇の踊り」第9場「エピローグ」からなる40分以上の大作。

 リズムのキレ、優しい歌、アンサンブルも整って立派な演奏に間違いないんだけれど、やはり地味、薄味な印象が付きまといます。若い人には勧められぬ渋い音楽、演奏かも。

(2011年10月2日)

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written by wabisuke hayashi