20世紀ピアノ協奏曲集(Antheil/Copland/Honegger/Ravel /ミヒャエル・リシェ(p))
Antheil(1900-1959)* ピアノ協奏曲
*ポッペン/バンベルク交響楽団 ミヒャエル・リシェ(p) ARTE NOVA 74321 91014 2 1995/99年録音 300円で購入 Ravel が有名だけれど、あとはあまり聴く機会はないでしょう。こうした新しい、意欲的な録音は廉価盤ではまったくありがたい。この価格は”売れ残り処分”かな?リシェは1962年生まれのドイツの中堅〜ブッフビンダーの弟子筋ですね。正確な技巧と、知的な表現が売りだと思います。この作品に合っているかどうかは、また別な話。ようはするに「ジャズ・テイストな作品」(む、ちょっとムリムリか?)ということか。 Antheilはアメリカの作曲家兼ピアニスト〜人呼んで不良少年(Bad Boy)。自由で気紛れ、ちょっととぼけた味わいがあって、硬派で明るいGershwin〜もっと破壊的(途中のピアノ・ソロ)な、といった印象か。(NAXOSで交響曲出ていて、ちょっと聴いてみたい)20分の単一楽章作品。ああ、好きだなこんな感じ。メロディアスなStravinsky風か。ペトルーシュカにもちょっと似ている。 Coplandは二楽章制の作品で、最初は彼らしい「亜米利加大陸の夜明け」的壮大なる景色、後は「ノリノリのジャズ」といった風景。Bernsteinにも似てまっせ・・・というより、彼が弟子だったか。 Honeggerの作品は以前から知っていて、お気に入りでした。「無機的で、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのような曲。カチっとしたオーケストラに、調子外れに弾いたような単純な音形のピアノ。とても不思議でリリカルな味わいがあります」(ワタシ談)〜この通り。ま、ジャズじゃないね。 ラスト、有名なるRavel 。古今東西老若男女の名演犇(ひし)めいてます。それにRavel の”味”を出すのって、ある意味、無理難題中の難題でしょ。バックが正確で、羽目を外さない、ジャズのテイストからはちょっとほど遠い生真面目さ。正確だけど。一連の「20世紀のピアノ協奏曲」の流れとして聴けば、違和感なく楽しめるかも。 この作品には独特の香り、みたいなものが必要でしょ。方向は外していないし、作品の姿もわかりやすい。ピアノの音色もクールで、技術的になんの不足もなし。オーケストラだって美しい。でも、それだけで解決されるような作品でもない・・・彼の個性はHoneggerで一番生かされ、Antheilの「抑制ある破壊」的演奏でも効果充分です。録音はとても良好。 「企画もの」としての完成度は高いと思いました。(2003年11月28日) * 続編も出ました。
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