Renaissance Brass Music
(Scheidt/Weelkes/Simmes/Ferrabosco II/Gibbons/Gabrieli)


VOX ACD8154 Samuel Scheidt (ザムエル・シャイト /1587-1654)

音楽の遊戯 第1巻 - 第29番 「5声のカンツォン」 / ベネディカムス・ドミノ(主を賛美しよう) SSWV 158 / 音楽の戯れ 第1巻 - 第21番 「5声のガイヤルド・バッターリャ 」/ Wendet euch um ihr Aderlein / カンツォン / 音楽の遊戯 第1巻 - 第26番 「ベルガマスカ・アングリカ」の模倣によるカンツォン

Thomas Weelkes (トマス・ウィールクス/1575-1623)

イン・ザ・プライド・オブ・メイ(5月の誇り) / 「不安は重く心を閉ざし」 / 「座ってお歌い」 / Death hath deprived me / As Wanton Birds

William Simmes (ウィリアム・シムズ /1607-1616)

幻想曲

Alfonso Ferrabosco II (アルフォンソ・フェラボスコII世 /1575-1628)

4つの音のパヴァン

Antony Holborne (アントニー・ホルボーン /1545-1602)

ガイヤルド

John O'Koever(?)

幻想曲

Orlando Gibbons(オルランド・ギボンズ /1583-1625)

5声のイン・ノミネ

以上 イーストマン・ブラス・クィンテット(First releasted in 1968)

Giovanni Gabrieli (ジョヴァンニ・ガブリエリ/1554-1612)

シンフォニア・サクラ第1巻 (4曲)

Andrea Gabrieli(アンドレア・ガブリエリ/1510? - 1586)

マドリガルとリチェルカーレ(3曲)

以上 フローリアン・ホーラード/パリ器楽アンサンブル(First releasted in 1962)

VOX ACD8154 録音情報不明

 題名通り「ルネッサンス時代」(14-16世紀)の音楽なのでしょう。Giovanni Gabrieli の音楽はLP時代のバロック名曲集みたいな廉価盤に含まれた金管アンサンブルを気に入って、CD時代に入って購入したのがこの一枚。当時(1990年代前半)廉価盤はこれしかなかったんです(といっても1,150円。TowerRecordの値札有)。もう四半世紀経って棚中現役(眠っていた)こどもの頃、若いころの嗜好は一生を左右するもの。久々の拝聴に感銘深く聴き入りました。但し、前回拝聴(3年前)より音楽史的な知識、お勉強はまったく進まず。宗教的典礼音楽なのかな?

 「ヴェネツィアのサン・ロッコ教会のための音楽」(ポール・マクリーシュ/ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ 1995年)を聴いて、古楽器演奏技量の深化に驚かされました。オーセンティックな楽器、演奏技法を使っても流麗に洗練されたサウンドに仕上がるのですね。モダーン楽器による著名な録音を再聴しようと棚を漁ったら出現したのが、こちら往年の無名廉価盤狙い本領発揮したCDでした。イーストマン・ブラス・クィンテット”1962年にイーストマン音楽学校で開催されたサマー・ブラス・インスティテュートのアトラクションとして、イーストマン音楽学校の講師陣で結成され、メディアや音楽愛好家から絶賛を浴びた”とのこと(ネット情報コピペ)。これが朗々として滅法上手い。音質もぴかぴか。

  あとは典雅な旋律和声の絡みを堪能したのみ。オリジナルの楽器指定かわからんけどトランペット2,フレンチホルン1、トロンボーン1、チューバ1の編成。Scheidtからヴィヴラートも爽やかに、スムース高らかに鳴り渡るトランペット、左右に掛けあってステレオ効果も愉しいものです。トロンボーンもちょっぴりヴィヴラートがセクシーだから、”宗教的典礼”には相応しくないのかな?もともと残響豊かな教会に響かせたものだから、現代の大きな会場にはモダーン楽器の強靭な音量が必要なのでしょう。「5声のガイヤルド・バッターリャ 」のトランペット中心にした細かい旋律音形は超絶技巧でしょう。当時からそんな名人は存在したのですね、きっと。「Wendet euch um ihr Aderlein」(この訳がわからない)はぐっと荘厳に哀しげ。晴れやかに弾むような「カンツォン」(これもそうとうの技巧を要求されそう/チューバも細かい音形を刻みます)旋律を追いかけ呼応する各パートが残響効果を高めます。ラストの「カンツォン」も雰囲気はよう似て躍動しております。

 Weelkes(英国)は音楽の雰囲気が変わって明朗、ド・シロウト耳にも理解できました。宗教的荘厳さというか、ある種の鬱陶しさ(陰)が薄いんです。そしてどれもリズミカル、平明であって音楽としてはScheidtのほうがオモロイかも。Wikiによるとエール(英国ビール)好き、酒癖も悪かったみたい。「Death hath deprived me」(どなたか訳を教えて!)には静謐な落ち着きに感銘を受けました。

 残りは各1曲ずつ担当。全部英国系かな?William Simmes、時代はちょっと下って多彩かつ複雑な「幻想曲」。Alfonso Ferrabosco II は伊太利亜系英国人(宮廷音楽家)とやら、Weelkesと同世代みたいですね。オーソドックスに荘厳シンプルな「パヴァン」でした。Antony Holborne「ガイヤルド 」はGabrielに似て、もうちょっと平明な感じか。概ね英国は響きがシンプルか・・・と思ったらJohn O'Koever(生年も読み方もわからない)の「幻想曲」はぐっと深みのある複雑な声部の絡みがありました。Orlando Gibbonsは知名度あるでしょ?「5声のイン・ノミネ」はほの暗く、前曲よりいっそう深遠な和声と大きな盛り上がりを見せて下さいました。

 次は著名なGiovanni Gabrieli +伯父さんであるAndrea の作品となります。担当はホーラード/パリ器楽アンサンブル音質はやや落ちて音割れも散見、アンサンブルの線が少々細い感じ。イーストマン・ブラス・クインテットほどに超絶技巧とは云えません。 Canzon primi toni/Canzon septimi toni/Canzon duodecimi/Canzon noni toniはどれも有名な作品なので、自信なさげな歩み、躍動や表情の変化が足らぬかも。もともとLPで聴いていたのはこの辺りの作品でして、ちょっぴりガッカリした記憶も蘇りました。Andrea Gabrieliの「マドリガルとリチェルカーレ」は木管アンサンブルでして、ユーモラスに親しみやしくて、抜群に愉しいもの。

(2017年2月18日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi