Reger Mozart の主題による変奏曲とフーガ
(エサ・ペッカ・サロネン/南西ドイツ放送交響楽団)
ロマンティック組曲(ローター・ツァグローセク)


AURAPHON CDAU031454 Max Reger(1873-1916)

Mozart の主題による変奏曲とフーガ 作品135

エサ・ペッカ・サロネン/南西ドイツ放送交響楽団

ロマンティック組曲 作品125

ローター・ツァグローセク/南西ドイツ放送交響楽団

AURAPHON CDAU031454 録音情報不明。(c)(p)1989 970円(今は亡き大阪日本橋ワルツ堂にて入手)

 LP時代からカール・ベームの太古録音(ヘリオドール・レコード)を聴いていた関係で、馴染みな作品。ま、ピアノソナタ第11番イ長調 K.331(K6.300i)第1楽章「Andante grazioso」誰でも知っている主題を使って変奏曲に仕上げております。原曲も変奏曲だけど、当たり前にこちら、巨魁に大仰、分厚くも怪しい響き、おそらくは同時期に聴いたBach/Webern「六声のリチェルカーレ」にも似て、20世紀の後期浪漫〜現代への魅力に気付いた作品でもありました。エサ・ペッカ・サロネン(1958年-)が未だ若手だった頃(1980年台)の録音かも。

 「変奏曲」始まりました。じつは編成は小さいそうで(フルート3、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、トランペット2、ホルン4、ティンパニ、ハープ、弦五部)主題提示(Andante grazioso)は木管+弱音器付き弦によって夢見るように、可憐に開始されました。あれ?カール・ベームの”巨魁に大仰、分厚くも怪しい”印象は誤解だったのか、第1変奏「L'istesso tempo」も静謐に可愛らしい印象は変わりません。第2変奏「Poco agitato」に店長があり、第3変奏「Con moto」は短調に哀しく、第4変奏「Vivace」はBrahms「ハイ・バリ」に似て(Wikiの指摘通り)もうちょっと辛口にした感じ。第5変奏「Quasi presto」ここに至ると優雅なMozartからかなり離れて不安げな響きが支配的(スケルツォ)となりました。

 第6変奏「Sostenuto」はお花畑のように木管の三連符が可憐に歌いつつ、弦が優雅に息長く、雄大に歌います。ちょっぴりMozartが帰ってきた感じ。第7変奏「Andante grazioso」は原曲主題に忠実でも、スケールの大きな弦に他のパートは複雑な和声の味付けをたっぷり。どれも1−2分の短い変奏ばかりなんだけど次の第8変奏「Molto sostenuto」は7:43、ここがRegerらしさ満開、静謐甘美不安憂鬱な濃厚浪漫が深く沈溺するようなスケールの大きさ、”巨魁に大仰、分厚くも怪しい”ことに間違いはないでしょう。ラストはフーガ「Allegretto sostenuto」。主題はすっかり変貌して、天上から弦が静かに舞い降りて(雪が降るように)それが各パートにつぎつぎ受け渡されて賑々しく、破壊的に盛り上がってフーガは続きます。ラスト金管が、もともとの主題を高らかに歌うところがクライマックス!9:37。

 若きエサ・ペッカ・サロネンは入念な仕上げ、オーケストラのクール・スリムな響きを活かして、デリケートに清潔な演奏でした。濃厚な印象のあるRegerはいつになくすっきり響きました。

 ロマンティック組曲を担当するのが、ローター・ツァグロセク(Lothar Zagrosek, 1942-)は独逸のヴェテラン、現在はベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団(旧ベルリン交響楽団)のシェフとか。オペラ畑の人ですね。幻想的にたっぷり甘く静かな「夜想曲」はゆったりと流れ(9:57)「スケルツォ」は可愛らしく、もの哀しい三拍子に躍動しても、ひっそりとした風情は変わりません。(8:14)「フィナーレ」はまるで遠い追想をしてるかのような、儚くも甘い旋律が静々と息長く続きました。(11:40)Mendelssohnの「真夏の夜の夢」を思いっきり暗く、後ろ向きに甘苦く仕上げました!みたいな濃い浪漫を感じさせる美しい佳曲であります。

(2017年1月22日)

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written by wabisuke hayashi