Reger 「Mozart の主題による変奏曲とフーガ」(カール・ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン1938年)


Reger 

「Mozart の主題による変奏曲とフーガ」作品132(1938年)

Pfitzner

交響曲ハ長調 作品46(1942年)

R.Strauss

交響詩「ドン・ファン」作品20(1942年)
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品26(1940年)

カール・ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン

XXL(DOCUMENTS) 220827-303 10枚組 2,490円で購入したウチの1枚

   1970年前後に、各社一斉に「1,000円盤LP」が登場しました。ワタシの主たる記憶はその辺りからですが、調べてみるともっと以前から、例えば25cmLPとか、1,200円ほどの廉価盤は登場していたようで、のちに中古で入手したこともありました。fontanaコンサート・ギャラとか、ヘリオドール(後のヘリオドール1000シリーズの前身)とか。

 で、ワタシ、この「Mozart 変奏曲」のLP持ってました。ベームに間違いなし。でも、オーケストラはドレスデンだったかな?とても好きな作品だったけど、こんなに古い録音だったんだろうか。もう一曲なにか収録されていて、その記憶もなし。(情報をいただきました。ベームはベルリン・フィルとモノラル録音している、とのこと)例の、トルコ行進曲付きのイ長調ピアノ・ソナタの第1楽章〜もともと変奏曲だけど、これを更に大管弦楽のための変奏曲に仕上げてしまう、というたいへんな作品です。

 主題が主題だから、いつもの強面なるRegerと違って、ずいぶんと親しみやすい。オーボエで馴染みの旋律が語られ、他の木管に、そして弦に引き継がれると、ちょっと夢心地です。ハープも絡んで金管も登場、浪漫的にしっとり演奏するに相応しい甘美な美しい作品だけれど、ベームは節度を保ってカッチリ演奏するのはいつも通り。

 あんまりRegerは聴いていないから安易なコメントはできないけど、彼の作品はなんやら重苦しくて、暑苦しくて、鬱陶しいじゃないですか。(ファンの方、すびばせん)この作品も、天上の清明さを誇る我らがヴォルフガングの旋律に、少しずつ隠微、かつ怪しげなエッセンスが入り込んで、聴き進むと倒錯した悦び、みたいなものを感じるように。でも、もっとポルタンメントをたっぷり効かせて、ノーコーな脂粉漂うあざとい演奏でも良かったかも。真面目すぎかな。

 ベームはこの世代としては、ずいぶんと近代的というか、明快で几帳面な表現だと思います。音質は年代から考えると上々〜ドレスデンのアンサンブルの優秀さ、各パートの艶消しの音色はちゃんと理解できるから文句ないでしょ。主題と8つの変奏曲、ラストに壮大なるフーガが来ます。全30分余。

 Pfitzner(1869-1949)は、作曲家・指揮者として、この録音当時、まさに「同時代の作品」だったはず。著名な指揮者が、新しい作品の録音をちゃんと残してくださるという姿勢は、昨今の新録音事情をみると感慨深いもの。これは第2番か。(CPOレーベル辺りで新しい録音が出ている)

 ハ長調という調性だし、3楽章、保守的で平明、勇壮、わかりやすい作品でした。弦のちょっと艶消しの響きは、最近の録音とそう変わらない。木管、金管に関わらず管楽器の上手いこと。「上手さ」が、現代のメカニックと上々という意味とは少々異なって、なんやら節度があって、じつは隠し味が〜風に聞こえるのは、やはりベーム自身の表現故か。ここでも明快、かつ生真面目そのもの。

 かなり、お定まり的に盛り上がって、勇壮なるハ長調交響曲〜この調性の交響曲は難しいらしいけど、歴史の隅に埋もれるような作品じゃありません。けっこう楽しい。


 ベーム得意のR.Straussの登場です。「ドン・ファン」はけっこう速いテンポで、落ち着きがない、というか、前のめりの急いた印象がある。推進力があるとも言えますね。この2曲は、たくさん録音もあるし、鮮度の良い音質で聴いていますからね、どうしても評価が厳しくなりがちか。木管のニュアンスとか、金管の音色はあちこち魅力的だけれど、「粋」な演奏ではない。

 この一枚で78:01の収録〜この値段。文句ないでしょ。存分に楽しめます。(2003年5月8日)


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written by wabisuke hayashi