Ravel 'S GREATEST HITS
(レナード・バーンスタイン/ユージン・オーマンディ)


CBS MLK 39439 ナント(c)1984! Ravel

(1)「ボレロ」(1958年)
(3)「道化師朝の庭」(1963年)
(4)「スペイン狂詩曲」〜「祭り」(1958年)

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

(2)「逝ける女王のためのパヴァーヌ」(1963年)
(5)「クープランの墓」〜「リゴードン」(1958年)
(6)「ラ・ヴァルス」(1963年)

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

CBS MLK 39439  中古500円にて購入

 ”お国もの”は尊重したい気持ちもあり、いっぽうで「お仏蘭西音楽は、本場お仏蘭西の演奏家じゃないと!」という安易な姿勢には反発したくなったりもします。ワタシは小学生の時に聴いた「ボレロ」(アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団1963年録音〜17cmLPだったから曲途中でひっくり返したもの)以来の大ファンであり、緻密繊細なる響きにいつも魅了されるRavel なら、もちろんいろいろ(お仏蘭西に縁が薄そうな亜米利加の団体でも)聴いてみたい。このCDはLP時代に出ていたシリーズ(LP2枚組)のCD焼き直し((c)1984)でしょうか。音源的には入手しやすいものではなくなりました。未だ「SONY」ではないころのCBS輸入盤。CD媒体も20年保てば”御の字”か。

壮年期のバーンスタインの熱気勢いは驚くべきもので、「おフランスのエスプリ?なに、ねぶたいこと言うてんねん!」的爆発力に溢れておりました。美しく、瑞々しく、完成度の高いのはオーマンディのほうか。音質良好。(「音楽日誌」より)
ま、そんな感じかな?なかなか楽しい。ふだん愛聴しているマルティノンとか、その辺りとはずいぶんと姿が違って個性的。「ボレロ」は意外と緻密、神妙にスタートして聴き手を油断させます。時に粗っぽいアンサンブルを見せるニューヨーク・フィルだけれど、ここでは各パート絶好調に歌って充実した響き。やがて溌剌と明るく、高らかに金管が歌い出すが、これがいかにも”亜米利加の音”〜吹奏楽っぽい。エスプリとかニュアンスとかではない、ストレートに進めて、ラストの爆発は(期待より、やや)物足りない。

 「道化師朝の庭」/「祭り」もリズム感命!の作品であり、バーンスタインは溌剌と歌って元気、華やかで明るいサウンドを誇ります。とくに「祭り」の盛り上がりはなかなかのもの。でもね、やっぱり”粋”じゃない。「道化師」には、もっと花火が弾けるような、大袈裟でユーモラス、そして粋な演奏がありますよ、他に。音質もアンサンブルも良好、これはバーンスタイン好きのファンのためにある録音だ。

 オーマンディはソツがない、というか、なにを演っても上手いものです。(ウィンナ・ワルツ除く/あれには閉口した)「逝ける女王」は存分にムーディーであり、「リゴードン」の朗らかなリズムもお見事。オーケストラが上手いんですよ、華やかだし、瑞々しいし。

 ラスト、ゴージャスな「ラ・ヴァルス」となります。ウィンナ・ワルツは、あまりにメタボで無遠慮なサウンドに驚いたけれど、こちら「ウィンナ・ワルツのパロディ」だったら、うんとゴージャスに、ムーディーに、思い入れたっぷり表現していただきたい。磨き上げられた分厚い弦に、ハープが絡むとゾクゾクしますね。この人は基本、クセのある表現をする人じゃないが、ここでは微妙な揺れとかニュアンス(?)たっぷりあるんです。

 打楽器のメリハリはもっとあっても良いだろうが、これはいままで聴いた「ラ・ヴァルス」中でも出色の出来だと思いますよ。フィラデルフィア管弦楽団は色彩豊かに鳴り響いておりました。

(2009年2月13日)

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written by wabisuke hayashi