Rachmaninov 交響曲第2番ホ短調
(アレクサンダー・アニシモフ/アイルランド・ナショナル交響楽団)


NAXOS  8.554230 Rachmaninov

交響曲第2番ホ短調

アレクサンダー・アニシモフ/アイルランド・ナショナル交響楽団

NAXOS  8.554230  1997年録音 中古200円にて購入

 レシートが残っていて、2005年4月に購入、200円となっております。当時の「音楽日誌」を検索すると

数回聴き直して完全に痺れました。著名なる第3楽章「アダージョ」の甘美な旋律は抑制され、自然体で囁かれました。木管は地味だけれどしっとり瑞々しく、弦の深遠さは類を見ない細部深遠なる響きで、澄み切った空気を感じさせました。適度な残響奥行きを感じさせる録音が、また極上。泣けます。

終楽章、快活な表情、金管の意外なる活躍に驚きましたね。アンサンブルは優秀で、このオーケストラは数枚CDを所有しているが、これほど充実した演奏を聴いたのは初めてだと思います。アレクサンダー・アニシモフ恐るべし。

となっておりました。

 上記にあるように、選定基準が価格にあるワタシでさえ、数枚著名定評ある音源を所有しております。その中でもひときは知名度薄い、この一枚は看過できない魅力有。アイルランド・ナショナル交響楽団はNAXOSに膨大なる録音を進めているが、その(いくつか聴いた)結果は”玉石混淆”・・・ひとたびツボにはまれば、得難い成果を上げる・・・そちら方面の一枚でしょう。

 第1楽章を聴けば、ま、上記「音楽日誌」は少々誉め過ぎでして、「弦の深遠さは類を見ない細部深遠なる響き」とまでは行かず、金管大爆発では全体のサウンドも濁りがち(録音問題もあるのか?)なことも散見されないでもない。それでも、(ロシアの俊英)アレクサンダー・アニシモフの表現故か、とてもわかりやすい、楽しめる演奏に仕上がっております。少なくともアンサンブルの弱さとか、テンションが下がる場面は見受けられない。オーケストラそのもののサウンドで聴かせる演奏ではないが、雰囲気は豊かであります。魅力的な旋律です。

 第2楽章って、スケルツォ楽章に当たるのですか?厳冬ロシア雪の大地にに馬橇は走るよ、的リズムを感じますね。もの哀しい旋律も魅力的。第3楽章「アダージョ」は、愛の情景であって、Mahler 交響曲第5番嬰ハ短調の「アダージエット」に匹敵する、魅力的エッチさに於いて白眉でしょう。おそらくは、この楽章の完成度が「弦の深遠さは類を見ない細部深遠なる響き」という印象を生む結果となったのでしょう。練り上げられ、繊細かつ抑制に充ちた甘美なる世界・・・前述通りの木管の瑞々しさも特筆されるべきでしょう。ジミですけどね。

 嗚呼、この楽章って胸が疼きます。お疲れ中年サラリーマンだって癒しが欲しいんですよ。かつて、思いっきり恥ずかしいコメントを上梓したが、表現稚拙さておいて、この気持ち変わりません。この楽章ラスト辺り、ホルンが、ソロ・ヴァイオリンが、オーボエ、フルートが、そして弦が、万感迫って主旋律を回想するじゃないですか。それはほんまに名残惜しい。何度でも繰り返したい。

 尻上がりに調子は上がって、最終楽章オーケストラは絶好調の鳴りっぷりでした。特に金管の朗々とした開放は、やはり指揮者のロシア仕込みか。快活な表情、ズシンと腹に響く打楽器のアクセント(コレ、ナマで拝見したいですね。きっとカッコ良いはず)、のびのびとした弦の歌は表情豊かであります。リズムは生き生きと、楽しげに躍動しておりました。

(2006年9月22日)


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written by wabisuke hayashi