R.Strauss 交響詩「英雄の生涯」(1964年)/
Hindemith 交響曲「画家マティス」(1963年)
(渡邉暁雄/日本フィル)


JPFO000/CD6 R.Strauss

交響詩「英雄の生涯」(1964年)

Hindemith

交響曲「画家マティス」(1963年)

渡邉暁雄/日本フィルハーモニー交響楽団

JPFO000/CD6 東京文化会館ライヴ

 華麗なる加齢による集中力体力の衰え+次々と入手してしまう音源への謙虚な敬意の減退、これって噂に聞く”オカネ持ちも過ぎるとシワセを感じない”とか云う事象に近いのかも。こどもの頃から廉価盤道を極めたワタシもJーClassicsには手が出ませんでした。けっこうLPCDは高かったから。演奏会行きは「演目興味がある/会場が近い/土日祝日のマチネ/チケット代が安い」4条件のみでしたし。閑話休題(それはさておき)日本の音楽会に多大なる功績を残した渡邉暁雄さん(1919ー1990)の26CDがまとめて発売され、いくつか拝聴機会を得ました。

 Sibeliusがここまで日本で人気というのは渡邉さんの功績でしょう。レパートリーもBeethovenBrahmsTchaikovskyばかりとは一線を画して、仏蘭西やら近現代の音楽を積極的に取り上げたセンスに感心仕切り。1999年改修前の東京文化会館の響きは(録音を聴く限り)ややデッドな直接音中心、奥行き空間が足りないとはいえ、1960年台前半とは信じられぬ驚異的な音質鮮度でしょう。R.Straussの管弦楽にはパワフルさ必須、日本のオケが挑戦するには少々敷居が高いんじゃないの?だって昭和39年ですし。

 演奏が凄い。この前にMahler 交響曲第1番ニ長調(1979年ライヴ)を聴いて、誠実かつヴィヴィッドな熱気溢れてオーソドックスなアンサンブルに驚いたもの。遡ること15年前、色気と厚みはちょっぴり足りない(いかにも日本らしい)生真面目さは前提に”誠実かつヴィヴィッドな熱気溢れてオーソドックス”に変わりなし。音録りの関係かコンマスのソロの存在感が薄いけれど、盤石の貫禄、金管の迫力にオケの弱さを感じさせない。それに渡邉さんは時にダメ押しのような情熱ラッシュ!(「戦場の英雄」辺り)

 少子高齢化に元気を失いつつある日本を励ますべく”日本って素晴らしい!”と鼓舞するテレビ番組、ネット記事を見掛けます。それに習うわけじゃないけど、すっかり我が国の実力を見直しました。しかも、編集なしのライヴでしょ?(マスタリングはしているだろうな)そりゃカラヤン/ベルリン・フィルみたいな圧巻!ぐうの音も出ないような鉄板演奏と比べちゃいけんけど、しばらく渡邉さんを聴き続けてなんの不足も感じないことでしょう。

 一年前の「画家マティス」はもっとエラいと思う。21世紀だってHindemith演りませんよ、なかなか。どんな加減がわからんけど「英雄の生涯」よりこちらのほうが音質がよろしい(ノイズも少ない)。第1楽章「天使の合奏」から、若い頃辛気臭い旋律が苦手でした。ここ最近、アルカイックな風情がすっかりお気に入りに。「3人の天使が歌う」の主題がとてもわかりやすく、やがて出現する金管の充実は「英雄の生涯」を上回る雄弁さ。これは第2楽章「埋葬」においても同様、痺れるような盛り上がりであります。第3楽章「聖アントニウスの誘惑」出足の弦のタメ+打楽器の迫力に打ちのめされましたよ。あとは緊張感を維持して疾走する金管!文句なし。

(2017年7月30日)

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written by wabisuke hayashi