プラド音楽祭(CD7)Bach 、Beethoven 、Mozart
(ホルショフスキ/グリュミオー/タビュトーほか)


プラド音楽祭 MUSIC & ARTS CD-1113(CD-7)8,590円(13枚組) Bach

平均律クラヴィア曲集第2巻より
前奏曲とフーガ ニ長調/嬰ヘ短調/ト長調/ロ短調

ミエチスラフ・ホルショフスキ(p)(1956年ライヴ)

Beethoven

ヴァイオリンとピアのためのソナタ第1番ニ長調 作品12の1

アルトゥール・グリュミオー(v)/ウィリアム・カペル(p)(1953年6月20日ライヴ)

Mozart

オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370

マルセル・タビュトー(ob)/パーネル(v)/タットル(va)/トルトゥリエ(vc)(1953年)

歌劇「イドメネオ」K.366〜イーリアのアリア「そよ風よ、私の心を伝えて」

ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(s)/カザルス/コレギウム・ムジクム(ロンドン)(1959年7月9日ライヴ)

MUSIC & ARTS CD-1113(CD-7)8,590円(13枚組)で購入したウチの一枚

 パブロ・カザルスが主催した(と思われる)「プラド音楽祭」の音源一気13枚を購入したのが2003年6月、とレシートが残っております。ステレオ時代のマールボロ音楽祭の音源(SONYが中心)は有名だけれど、いずれ室内楽関係が少ないのは周知の通りでして、こうしてたっぷり集大成していただけるのは幸いでしょう。せっかくなので収録内容を掲示しておきます。折に触れ、少しずつ聴いてきたが、感動はいや増すばかり。この「CD7」も(驚くべき)多彩なる収録でした。

 伝説的長寿ピアニストであったホルショフスキは当時64歳。晩年の100歳に近い録音を拝聴する機会もあったが、枯れて淡々とした、しかも暖かい浪漫を感じさせるのは当時からだったのですね。華やかな技巧を誇る方向では(もちろん)なく、とつとつと自然な流れ(テンポはかなり揺れる・・・というか、メカニック的に少々怪しい?)を感じさせて、繊細だけれどジミなBach 〜これは誉め言葉のつもり。嬰ヘ短調など、寂寥の念ここに極まれり!と評すべきか。聴いていて、こみ上げるものがたしかに存在する・・・

 次はアルトゥール・グリュミオー当時31歳、夭折のピアニスト・カペルも同年でして、4ヶ月後に事故で亡くなる貴重な録音です。Beethoven の作品12の1といえば、先日、ヴェルヘイの”そこはかとない華やかな”演奏を楽しんだばかり。グリュミオーといえば艶やかな美音、といったイメージがあるけれど、(音録りの問題か)やや粗野な勢い(若いからか?)を感じさせ、いかにもライヴ!の臨場感がありますね。第2楽章に入る前にチューニングしたり・・・。

 ウィリアム・カペルの室内楽は貴重だと思いますよ。これが肌理細かい音色と躍動感に溢れ、華やかなヴァイオリンとピタリ!息を合わせます。第2楽章の変奏曲は劇的な表情に彩られて、手に汗握る緊張感一杯でした。

 マルセル・タビュトー(アメリカン・オーポエの創始者で元フィラデルフィア管の首席奏者・・・とのこと)は、明快でキレのある技巧がまったく輝かしいMozart 。ヴァイオリン、ヴィオラは知らないが、チェロは高名なるポール・トルトゥリエ(当時39歳)が参加しております。第2楽章「アダージョ」に於ける悲劇的な表情が入念なこと・・・そしてそれはすぐに安らぎへと変貌します。そして、ゆったりと聴き手のカラダを揺らすリズムに充ちた終楽章へ。

 ラスト、ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスの登場です。ワタシは「イドメネオ」をまともに全曲聴いたこともない(CDを買ってきたばかり)し、声楽云々できるほどのコメントはないけれど、彼女の声は別格の気品と、清純を誇ることは理解できます。カザルスのバックは、いつも通りの入念なる歌に満たされたもの。

 音質は各々様子バラバラだけれど、けっしと良好とは言えないけれど、ちゃんと会場の様子が理解できる水準と感じました。

(2006年3月31日)


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