Respighi 「ローマの噴水」「ローマの松」
(カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー)


エコー・インダストリー CC1060・・・だけれど、表スリーヴ紛失
Respighi

交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」
リュートのための古代アリアと舞曲第3番

カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー

エコー・インダストリー CC1060 DG1977年録音の駅売海賊盤 490円にて購入

 Respighiはお気に入りでして聴く機会の多いもの(作品は限られているが)です。同じ「噴水」+「松」ではアンセルメの”やや緩い粋(いき)”も楽しみました。(いま、聴き直しても好みの方向ですね)ごく最近、御大カラヤンの一枚を棚奥より発見!(スリーヴさえ紛失の駅売海賊盤)どんな演奏だったっけ?と確認したもの。ちゃんと聴かないと、もったいないからね。

 アンセルメ盤も優秀録音との誉れ高いが、英DECCA特有のデフォルメが感じられます。こちらDG録音は自然さがウリでして、繊細なる弱音が存分に楽しめます。先入観だと、強引で濃厚なる味付けが空虚でクドい演奏か・・・そんな想像は大間違いでして、いつまでも静謐が続いて、呟くような細部へのこだわりが、鮮明なる音質で表現されました。近代管弦楽の精華を見事に表現してくださって、感慨深く、たっぷり楽しませてくださいました。天下のベルリン・フィルの木管の細かいニュアンスと深さ、繊細なる弦の囁きの見事さ。(夜明けのジュリアの谷の噴水)

 「朝のトリトンの噴水」の金管の入りも抑制が利いていて、ずいぶんと大人しい(けっして大音量ではない)、というか一歩引いた余裕と深みが感じられます。「真昼のトレビの泉」も同様の幅広さと、磨き上げと自信に溢れます。オケが鳴り切っても空虚にならない。クールな艶がある。「たそがれのメディチ荘の噴水」は茜色にくすんでいく風景が、眼前に浮かぶような奥行きたっぷり。低弦のセクシーさは類を見ないほど。街が眠りにつくような、まるで子守歌の味わいでした。

 有名な「ローマの松」に入りました。オケの響きが華やかなことはたしかだけれど、緻密な集中力と細部の彫琢が光ります。つまり、粗野で強引なる爆発を旨としない「ボルゲーゼ荘の松」。一転、暗鬱なるモノローグが蠢く「カタコンブ付近の松」〜さわさわと奥深く、響きが広がる優秀録音ですね。トランペット・ソロはなにも色づけしないようで、的確正確なる技巧に手応え充分。美しい弱音に聴き惚れていると、いつしか祈りの声は(音楽が流れる)部屋を揺るがせました。弱音でも薄くならない金管の妙。

 ピアノの幻想に導かれてクラリネットが寂しげに歌う「ジャニコロの松」〜包み込む弦が、おそらくはこれ以上ない、というくらいムーディーさ。夜と月光の静謐に包まれた幽玄が霧のように充満し・・・ラスト「アッピア街道の松」へ。足音は静かに、着実に進みます。音量がとても小さい。しかし、各パートは明快に役割を果たしていて、イングリッシュホルンが怪しいですね。

 やがてホルン、トランペットが極弱音で姿を現せば、フィナーレへの賛歌の始まりです。満を持したベルリン・フィルの爆発は、(爆発的演奏では定評ある)シカゴ響とは意味合いが違って、あくまで深い滋味を湛えて金属的に鋭く鳴りすぎない。

 「リュートのための古代アリアと舞曲第3番」は、ベルリン・フィルの弦の艶の魅力を堪能させて下さるものでして、カラヤン節炸裂〜クールでありながら、細部まで色付け明快な、(ややしつこくも粘着質な)しっとりとした歌に包まれました。ワタシは、いつもなら少々食傷気味の”叶姉妹”的表現方向に、この甘美なる旋律なら許しちゃおう、と感銘を受けたものです。

(2006年4月14日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi