Respighi 交響詩「ローマの噴水」/「ローマの松」/
リュートのための古代アリアと舞曲第3番
(ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー)


DG正規デザイン Respighi

交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの松」(以上1977−78年)
リュートのための古代アリアと舞曲第3番(1969年)

ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー

 いよいよCDの最終処分に入っていて、棚の整理をしていたら懐かしい駅売海賊盤が出てきました。2006年に素朴なコメント有、おそらくは十数年聴いていなかったと記憶します。もちろん売れないし、ちゃんと音楽は聴けるものだから保存しておきましょう。煩悩はまだまだ消えないけれど、精力的にCD出物を集めていた頃を懐かしく思い出しました。(遠い目)Herbert von Karajan(1908ー1989墺太利)が鬼籍に入って既に30余年、一世代回りました。ベルリン・フィルの後任も3代後となっております。コロナでちゃんと演奏会も開催できていないことでしょう。

 駅売海賊盤の音質云々はオリジナルを知らぬから、なんともコメント不可。ハイクオリティ・オーディオにも縁がないし、充分これで満足して聴きました。ローマ三部作の第1作目である「ローマの噴水」は2管編成だけど、多彩な打楽器やチェレスタ、オルガンも入って華やかな作品。さわさわと静謐な「夜明けのジュリアの谷の噴水」の抑制、弱音でも解像度が高いのが力量あるオケの証拠(4:14)「朝のトリトンの噴水」はホルンの太い音色に、弦の雄叫びが絡み合って語り口の上手さ抜群(2:45)「真昼のトレヴィの泉」に於ける荘厳なオケの爆発、オケの技量は余裕の雄弁であります。ここオルガンが入っていると思われます。(4:02)やがて「黄昏のメディチ荘の噴水」に優しく夢見るように収束していく風情の豊かなこと!(5:51)

 1977-8年辺り、このコンビの最盛期、全体に八分の力といった演奏でしょう。弱音の豊かさ、美しさが際立ちました。

 一番著名な「ローマの松」は三管編成、多彩な打楽器・管楽器(特殊楽器?)にピアノオルガン+舞台裏トランペットも登場します。実演ではバンダ(二階席に別働隊)があった記憶有。きらきら宝石箱をひっくり返したような「ボルゲーゼ荘の松」から圧巻の輝かしさ、ここにも力みは一切ない余裕。金管のパッセージはモウレツに上手い、そして厚い。(2:55)「カタコンバ付近の松」墓場の静謐さ荘厳さに溢れて、弱音の説得力はオケの力量を物語って、カラヤンのレガート表現ここに極まれり!トランペットの柔らかなソロ、絡み合うフルート最高。やがて最高潮に持っていく構成は文句なし。(6:59)「ジャニコロの松」は月光を表してるんだそう。弦は幻想的かつ優美、デリケート、静謐な部分でこそオケの技量が際立つことは幾度言及済。クラリネット・ソロも抑制が効いてため息が出るほど名人技、カール・ライスターでしょうか。フルート、オーボエ、チェロも自分の出番はしっかり歌っております。ナイチンゲールが啼いて・・・(6:42)

 ラスト勇壮なる「アッピア街道の松」は古代ローマ幻の軍隊の行進。演奏会の記憶ではピアノのお兄ちゃんが立ち上がってピアノを叩きつけていましたよ。イングリッシュホルンの怪しいソロにやがて各種管楽器が絡んで軍隊は接近します。ドキドキするほど圧巻打楽器のリズム感、厚みを増す金管、どれだけ音量が上がっても響きは濁らない。(5:14)ベルリン・フィルは凄いオケですよ。

 「リュートのための古代アリアと舞曲第3番」は夏休みサンモリッツの録音とのこと。思いっきり甘く、たっぷりヴィヴラートに歌う、あまりに甘い”カラヤン節”。若い頃はそれがイヤらしく感じたもの。”棺を蓋いて事定まる” 今なら懐かしく、その技を堪能できます。

(2020年6月27日)

エコー・インダストリー CC1060・・・だけれど、表スリーヴ紛失 エコー・インダストリー CC1060 DG録音の駅売海賊盤 490円にて購入

 Respighiはお気に入りでして聴く機会の多いもの(作品は限られているが)です。同じ「噴水」+「松」ではアンセルメの”やや緩い粋(いき)”も楽しみました。(いま、聴き直しても好みの方向ですね)ごく最近、御大カラヤンの一枚を棚奥より発見!(スリーヴさえ紛失の駅売海賊盤)どんな演奏だったっけ?と確認したもの。ちゃんと聴かないと、もったいないからね。

 アンセルメ盤も優秀録音との誉れ高いが、英DECCA特有のデフォルメが感じられます。こちらDG録音は自然さがウリでして、繊細なる弱音が存分に楽しめます。先入観だと、強引で濃厚なる味付けが空虚でクドい演奏か・・・そんな想像は大間違いでして、いつまでも静謐が続いて、呟くような細部へのこだわりが、鮮明なる音質で表現されました。近代管弦楽の精華を見事に表現してくださって、感慨深く、たっぷり楽しませてくださいました。天下のベルリン・フィルの木管の細かいニュアンスと深さ、繊細なる弦の囁きの見事さ。(夜明けのジュリアの谷の噴水)

 「朝のトリトンの噴水」の金管の入りも抑制が利いていて、ずいぶんと大人しい(けっして大音量ではない)、というか一歩引いた余裕と深みが感じられます。「真昼のトレビの泉」も同様の幅広さと、磨き上げと自信に溢れます。オケが鳴り切っても空虚にならない。クールな艶がある。「たそがれのメディチ荘の噴水」は茜色にくすんでいく風景が、眼前に浮かぶような奥行きたっぷり。低弦のセクシーさは類を見ないほど。街が眠りにつくような、まるで子守歌の味わいでした。

 有名な「ローマの松」に入りました。オケの響きが華やかなことはたしかだけれど、緻密な集中力と細部の彫琢が光ります。つまり、粗野で強引なる爆発を旨としない「ボルゲーゼ荘の松」。一転、暗鬱なるモノローグが蠢く「カタコンブ付近の松」〜さわさわと奥深く、響きが広がる優秀録音ですね。トランペット・ソロはなにも色づけしないようで、的確正確なる技巧に手応え充分。美しい弱音に聴き惚れていると、いつしか祈りの声は(音楽が流れる)部屋を揺るがせました。弱音でも薄くならない金管の妙。

 ピアノの幻想に導かれてクラリネットが寂しげに歌う「ジャニコロの松」〜包み込む弦が、おそらくはこれ以上ない、というくらいムーディーさ。夜と月光の静謐に包まれた幽玄が霧のように充満し・・・ラスト「アッピア街道の松」へ。足音は静かに、着実に進みます。音量がとても小さい。しかし、各パートは明快に役割を果たしていて、イングリッシュホルンが怪しいですね。

 やがてホルン、トランペットが極弱音で姿を現せば、フィナーレへの賛歌の始まりです。満を持したベルリン・フィルの爆発は、(爆発的演奏では定評ある)シカゴ響とは意味合いが違って、あくまで深い滋味を湛えて金属的に鋭く鳴りすぎない。

 「リュートのための古代アリアと舞曲第3番」は、ベルリン・フィルの弦の艶の魅力を堪能させて下さるものでして、カラヤン節炸裂〜クールでありながら、細部まで色付け明快な、(ややしつこくも粘着質な)しっとりとした歌に包まれました。ワタシは、いつもなら少々食傷気味の”叶姉妹”的表現方向に、この甘美なる旋律なら許しちゃおう、と感銘を受けたものです。

(2006年4月14日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi