Mussorgsky 「展覧会の絵」(スヴャトスラフ・リヒテル1958年)/
Franck 交響詩「鬼神」


DOCUMENTS 233080/G  10枚組1,000円ほどにて入手
Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」

スヴャトスラフ・リヒテル(p)

1958年MELODIYA録音

Franck

交響詩「鬼神」

リヒテル(p)/キリル・コンドラシン/モスクワ・ユース管弦楽団(1953年) DOCUMENTS 233080/G 10枚組1,000円ほどにて入手

 リヒテルの「展覧会の絵」といえば1958年ソフィア・ライヴが圧巻の熱気!緊迫感!であって、あれが出会い+刷り込みだから、ほか、どんな演奏を聴いても?状態で困った記憶があります。同時期のMELODIYA録音の存在は子供の頃から知っていて(LP時代懐かしいリヒテル・ベスト・コレクション1000シリーズ)いずれは聴きたいものだ、そう願い続けて幾星霜〜それは2011年10枚組入手によって叶いました。ここ最近、華麗なる加齢を重ね不遜にも「音質云々」贅沢言うようになって(貧者のオーディオなのに!)音質的には絶対に期待できん!のはわかっていたので、購入逡巡しておりました。

 幸い、比較的良好なるモノラル録音、こちらライブではないようですね。リヒテル43歳。決然として強靱なタッチ、優しいとか柔らかい世界とは無縁の非情なる推進力に溢れます。速めのテンポでぐいぐいと進めて、2回目の「プロムナード」〜古城に掛けての静謐さ、暗く重いモノローグとの対比も絶妙。「ビドロ」に於ける圧巻のタッチ!それでもヒステリックな絶叫に至らない貫禄。「卵の殻をつけた雛の踊り」は切れ味鋭いテクニックを誇って、ユーモラスと切迫感が同居しております。

 「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」も同様。剛直と細かい音型を正確精密に描き分けて絶妙です。「リモージュの市場」のおしゃべりだって、細部迄ていねいかつ強靱に描いて曖昧さがない。ユーモラスな味わいも失わない。「カタコンベ」は壮大かつ静謐、「死せる言葉による死者への呼びかけ」の極限ニュアンスと集中力。「バーバ・ヤガ」はいかにも”叩き付けるタッチ!”を期待できそうだけれど、乱暴だったり、ヒステリックな強打ではなく、充実した響きは喧しくはない。楽器はベーゼンドルファーかな?

 ラスト、クライマックス「キエフの大門」は想像よりずっと抑制した世界であって、がんがん叩けばエエ!っちゅうもんではありまへんで。ラストの右アルペジオは壮絶だけれど〜結論的に、ソフィア・ライヴと基本路線まったく変わらない。音質はどっちもどっち、ライヴのほうが聴衆の熱気、感動、そして空気が伝わる分だけ優位か。細部の完成度はこちらが上でしょう。凄い感銘に変わりなし。

 Franck の「鬼神」はピアノと管弦楽による、ワン・パターン馴染みの旋律が素敵な12分ほどの作品(「魔神」との和訳題も有)初耳作品だよね、と不安になって棚中を探るとチッコリーニ(p)/クリュイタンス/ベルギー国立管弦楽団(1962年)が出現・・・意味ないなぁ、作品に馴染まないと。録音、演奏ともかなり粗野な管弦楽団であり、遠慮会釈ない(リミッター外した)金管の絶叫が響きを濁らせ〜って、音質はかなりよろしくないのが主因でしょう。リヒテルはかなり知的に、静謐淡々と絡んで流石です。素晴らしく流麗なる技巧。

 例の如しの強靱なタッチのピアノであり、美音を誇るわけではないのに、ひとつひとつの音に魂が宿るような説得力有。金管があほ絶叫せん限り、聴取に耐えうる録音であります。ラストに拍手が入るからライヴなんでしょう。充実のフィル・アップでした。

(2011年1月22日)

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