Mozart ピアノ協奏曲第15番 変ホ長調K.450
/ピアノ四重奏曲 変ホ長調K.493(アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ)


membran  2233042-CD1 10枚組1,590円にて購入したウチの一枚
Mozart

ピアノ協奏曲第15番 変ホ長調K.450

エドモンド・デ・シュトウツ/チューリヒ室内管弦楽団(1974年ライヴ)

ピアノ四重奏曲 変ホ長調K.493

ジャン・ピレール・ワレーズ(v)/クロード・アンリ・ジュベール(va)/フランク・ダリエル(vc)(1972年ライヴ)

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)

membran 2233042-CD1 10枚組1,590円にて購入したウチの一枚

 ミケランジェリの怪しげライヴ集成激安ボックス(2巻分計20枚/既存所有分CD全部処分して購入)は、音質さえガマンすれば彼の濃厚なる世界をたっぷり愉しめます。亡くなったのは1995年だから、随分と時間が経過してしまいました。とくにお気に入りはDebussyBrahms かな?じつは、とうとうDGの正規録音ボックスもオークションにて落札してしまいました。ワタシにとってはけっしてお安い値段ではなかったが・・・

 しっかりとした芯のあるタッチ、濃厚隈取りのはっきりとした個性的表現はどれを聴いても印象的だけれど、Mozart 、Haydn辺りには少々違和感有〜というのが正直なところ。このシリーズの注意点は、まず”音質”なんです。ほとんどが(それこそほんまの)海賊録音、放送録音、SP録音だから正規録音ほどは期待できないけれど、それなり、苦痛でない程度の水準を求めたいもの・・・この一枚は、まぁまぁのところでしょう。それにミケランジェリの室内楽というのが貴重。

 ワタシはMozart には無条件幸福なので、とくにお気に入りのピアノ協奏曲で感動できなかったことは(まず)ないんです。K.450変ホ長調協奏曲は、牧歌的な終楽章が映画「アマデウス」にて効果的に使用されておりました。あくまでミケランジェリの個性で聴かせる演奏であって、”しっかりとした芯のあるタッチ、濃厚隈取りのはっきりとした個性的表現”に間違いなし。これが我らがヴォルガングの作品では少々雄弁、強靱、味付け色付けが過ぎる印象がありました。美しく艶やかなピアノ・・・デリカシーに欠けるということもないが、素朴で清楚な世界ではない。

 シュトウツのバックは立派ですね。浪漫に振ったMOZATもまた一興でしょう。あくまでミケランジェリを聴くべき演奏です。

 ピアノ四重奏曲 変ホ長調K.493のほうは、オンマイクで平板な音質だけれど、こちらも鑑賞に支障なし。ミケランジェリは先の協奏曲と変わらぬ個性発揮だけれど、その雄弁ぶりがピタリとはまって馴染みの室内楽はいつになく新鮮です。ワレーズ筆頭にフランスの名手達との共演だけれど、結論的に”明るいBrahms ”みたいなテイストに仕上がって、これはこれで違和感ありません。

 第1楽章「アレグロ」は元気良く(良い意味で)大柄であり、第2楽章「ラルゲット」の纏綿とした表現は油断するとMozart 作品とは思えぬ、雄弁なる歌に溢れました。終楽章の生き生きとした表情にも精気漲(みなぎ)ります。もしかして、馴染みの作品ながらかつて聴いたヴェリ・ベストか。

 ミケランジェリって、囁くような弱音のイメージがないんです。どんな小さな音量のところでも”雄弁”〜それにしてもこんな安く、たっぷり個性的な音楽を楽しめるように時代に、感謝。

(2008年4月11日)


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written by wabisuke hayashi