Mozart ピアノ協奏曲第5番〜13番
(アンネローゼ・シュミット)


CCC   0001502CCC  CD5/6 Mozart

ピアノ協奏曲第5番 ニ長調K.175
コンサート・ロンド ニ長調K.382
ピアノ協奏曲第6番 変ロ長調K.238
ピアノ協奏曲第8番ハ長調K.246
ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調K.271「ジュノーム」
ピアノ協奏曲第11番 ヘ長調K.413
ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414
コンサート・ロンド イ長調K.386
ピアノ協奏曲第13番 ハ長調K.415

アンネローゼ・シュミット(p)/マズア/ドレスデン・フィルハーモニー

CCC 0001502CCC CD5/6  1971年(頃)録音  10枚組2,590円で購入したウチの3枚

 たくさん、たくさんCDを買えるよろこびを噛みしめつつ、やはり在庫CDも大切に聴かないと。こんな素敵なCDセットが激安で購入時出来る時代に過ごしたことを感謝しましょう。既にピアノ協奏曲第16番〜19番全集については少々コメントしました。真夏のある土曜日、気紛れに30数分、職場まで歩きながらゆっくり出勤〜梅雨開け掛けの薄曇りの空にこの演奏(ポータブルCDプレイヤーにて)がピタリ。

   軽量ではないが、この華麗なピアノの魅力は筆舌に尽くしがたい。明快なタッチ、技術も安定しているが、まるで一つひとつの音の粒が微笑んでいるような、快活な色気を感じさせます。アンダと比較するとよくわかるのですが、ほのかに弾んだようなウキウキ感が漂います。これぞ「春のMozart 」。

 とりわけ、初期の作品を一層楽しく聴かせて下さいました。アンダの落ち着きも魅力だけれど、シュミットの明るい華やぎに溜息も出ます。

〜時節は春ではなかったが、かつての拙文に言い尽くしてまった演奏でしょう。同じく音楽日誌では

 明快でチカラ強い打鍵が、”やさしさ”を生むという奇跡。ドレスデン・フィルの硬質な響きは、いつになく溌剌としたマズアの指揮ぶりで盤石のサポートか。

〜と。これ以上は蛇足ではあるが、やや加筆して少しはサイトの色づけとしましょう。基本、どの曲でも変わらず素敵です。


 まず、二曲のコンサート・ロンドから。コレ、例えばBeethoven の「ロマンス」などと並んで、ほんまに珠玉の美しさを誇っていて、ココロ安らぐ世界なんです。もっとゆったり、ちょっとシミジミ演奏していただきたいと思うが、マズアの前奏から溌剌まっすぐ〜これはソロが始まっても様子が変わらないから、アンネローゼ・シュミットの解釈なんでしょう。希望に充ちた推進力があって、これはこれで完成された世界なんです。

 「陰影に乏しいバック」と言えないこともないが、これは出色に美しい世界です。ドレスデン・フィルの響きには、一種クセのある洗練されない頑固さがあって、マズアのやや軟派な指揮ぶりとは似合っているのかも知れません。

 他の作品も、すべて同じ路線となります。初期中期の作品は、晩年の熟成された作風に比べて深みがない・・・などと評する人もいますよね。でも、ピアニストの(あえて言えば)強靱なる個性で、シンプルな旋律も一変して聞こえます。ああ、こんなに素敵な旋律だったんだな、と。

 「ジュノーム」はお気に入りの作品で、聴く機会も多いが、これほど躍動感溢れて、雄弁な演奏も滅多にありませんね。第6/8/9番もこれほど瑞々しく、聴きどころの旋律連続放出作品であったとは・・・。第13番ハ長調協奏曲って、Mozart 中では平凡な作品か?と、勘違いもしておりました。いえ、それは名曲を名曲として表現してくださるかどうかの問題だったのか・・・。

 技術的にしっかりしていることは前提です。表現に曖昧さがないこと、音にコツンとした”芯”を感じること。流れが自然で勢いがあること。流麗ではなく、もちろんエキセントリックな世界ではないこと。「間」もあるし、スケールもあるが、ニュアンスが細部に行き渡って、無神経なる歌い回しとは無縁であること。やや浪漫的な表現だけれど、甘すぎない、強い音楽が構築されるマジック。緊張感も持続します。

 つまり、Mozart だから、といって弱い音楽に仕上げるつもりはないんでしょう。しっかり弾く、美声で堂々と真正面から歌って下さる。録音が極上ですよね。ドレスデンの聖ルカ教会?確認していませんが。久々取り出した「全集」中三枚〜目眩くような数時間を過ごしました。拙宅のスピーカーから大粒の宝石が次々とこぼれ出る驚き。(2003年9月5日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi