Mozart ピアノ協奏曲第16番〜19番(アンネローゼ・シュミット)Mozart
ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調K449 アンネローゼ・シュミット(p)/マズア/ドレスデン・フィルハーモニー CCC 0001502CCC CD5/6 1971年(頃)録音 10枚組2,590円で購入したウチの3枚 Mozart はCDを見かけると、ほとんど無条件に買ってしまう作曲家の筆頭です。(価格さえあえば)A.シュミットのピアノ協奏曲集はかなり昔から馴染みだけれど、全集10枚で(1〜4番とコンサート・ロンド、複数台の作品が抜けているとは言え)この価格なら看過できません。買った当座は「フツウの演奏だな」くらいに思っていたのですが、うん、これがなかなか。 フィルクシュニー(p)/ブール/南西ドイツ放響(VIENNA Classics VIE23)で、第16番の激渋演奏CDを手に入れました。その聴き比べで、一番近くにあったこのBOXを取り出したんですが、参りましたね。「霊感に乏しい演奏」なんてHPにもチラリと書いていたのですが、ワタシの誤りでした。反省します。 およそMozart で「霊感に乏しい作品」などあり得ないし、聴き手であるワタシのほうがずっと「乏しい」のはあたりまえ。(なにが?金。才能、根気、体力、容姿、人徳、etc...)Mozart は聴き手の心情をそのまま反映することが多いので、当時のワタシは「特異な。個性的な演奏」を求めていたのでしょうか。「フツウ」のどこが悪いというのか。 録音が自然でよろしい。旧東ドイツ系の録音は、たいてい中低音が豊かで落ち着いたものが多く、好感が持てます。ドレスデン・フィルはケーゲルの前任者であるマズアが振ったもの。例の如しでややカタめの音色だけれど、まずは無難にキチンとしたバックに仕上がっていて、そう文句もありません。 ま、通常Mozart のピアノ協奏曲は第20番以降ばかり演奏されます。(あと第9番の「ジュノーム」くらいか)初期の作品はもちろん、この中期の名作だって意外と録音は少ないかも。各々個性的だけれど、ひとつずつ吟味しながら聴いた訳じゃないので、詳細どうの、とは言えないのですが。 やや骨太で、あまり細部まで神経質にならず、明快に鳴っているピアノ。特別な装飾とか、テンポの揺れ、思いっきりな個性の表出はないんです。どの演奏もフツウといえばフツウで、淡々と枯れたような演奏とも言えない。じゅうぶん瑞々しいが、思わず耳をそばだてるような特異な表現は出てこないんですよ。輝くような、切れ味のある音色でもない。 最近の古楽器系などに見られる、羽のように軽く、リズミカルなスタイルとも異なる。オーソドックス、けっこう昔から馴染んでいたような、安心できる演奏なんです。粗さはなくて、重すぎず、軽すぎない。それでも手応えは充分。気持ちヨロシ。 ノンビリとした休日の朝に、なんとなくラジMDCDで聴いていて、最初は新聞なんかに集中している。音楽が鳴っていることさえ忘れていて、そのうち、あまりの気持ちよさに聴き入ってしまう。そんな日常の風景に似合う音楽。ポカポカと暖かい。 CD3枚分、6曲、これほどバラつきもなく、どれも同質の喜びを与えてくれるのも(考えてみれば)凄い。ワタシは第17番ト長調協奏曲の第1楽章(浮き立つ春の予感がする)、第18番 変ロ長調協奏曲の第2楽章(「フィガロの結婚」のアリアを連想させる)、そして第19番(ハズむような幸せ)がお気に入りの曲だけど、結局、どれを聴いても感動の質は変わりません。「馴染みの定食屋のメニュー」と言ったら言い過ぎでしょうか。(2001年3月9日)
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