Mozart ピアノ協奏曲第24/25番
(マティアス・キルシュネライト(p)/ベールマン/バンベルク交響楽団)


ARTENOVA 82876 82576 2/8 10枚組2,770円(総経費込)にてオークション入手 Mozart

ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503

マティアス・キルシュネライト(p)/フランク・ベールマン/バンベルク交響楽団(カデンツァはキルシュネライト自作)

ARTENOVA 82876 82576 2/9 2004/5年録音 10枚組2,770円(総経費込)にてオークション入手

 第22/23番の続編。ARTENOVAはRCA傘下のベンチャー企業として出発し、親会社がSONYに吸収され、おそらくはレーベル再編の意味もあってか?活動をほぼ停止しております。市場に出ている在庫限りとのこと。我らがSONYはんは最近、廉価ボックスの再発に熱心だから、思わぬ形で音源復活あるかも。例えば激安Mozart ・BOX収録!とか。マティアス・キルシュネライト(1962年独逸生まれの中堅/何度も来日している)では知名度低いかな?マレイ・ペライアとかリリー・クラウスの全集が優先かも。時代は古楽器も求められているし。前回更新にて言及した全集(棚中在庫)処分では、その後2年で更にデレク・ハン(BRILLIANT)、そして購入わずか一年半ほどにてアルフレッド・ブレンデル全集も処分済。それは、ネット音源”自主CD化”激増という事情もありました。閑話休題(それはさておき)

 人様の評価、評論家による格付けなど気にしたことはないが、ユーザー・レビューには興味尽きませんね。各諸氏のコメントでは概ねピアニストには高評価、「ちょっと完璧につくりこみすぎでは?」VS「作為の目立たない演奏で、物足りない部分もあるのですが、自然に心に入ってくる」という真反対のご意見も興味深い(作品によるのか)。オーケストラは「性能は向上してはいるのだけれど、粗も目立つ」「完全にコントロールしきれていない」「彫りが浅い響きが物足りない」「時折オーケストラに淡白な表現がみられる」「こんなに薄い音に(特に弦!)録音しなくても」(マーラーじゃあるまいし、というのは趣旨不明)との手厳しいご意見有。

 濃厚劇的表現への誘惑止みがたいハ短調協奏曲K.491、大柄なスケールを誇るハ長調協奏曲K.503。さっぱりとしたリズム感ながら時に強調を見せ、時代は古楽器演奏の風を受けているのでしょう(過激ではない)。基本は現代楽器の雄・スタインウエイの豊かな響きであります。 仕上げは入念だけれど、粛々淡々というか、過度な表情色付けを旨としない素直さが基本でしょう。それを物足りないと感じるかどうかは、聴き手各自の嗜好の世界。ハ短調協奏曲K.491での印象は、ずいぶんと抑制が利いて、左右両派(浪漫濃厚派/古楽器過激派)の支持を受けられないかも。

 ワタシは作品のテイストが素のまま表示され、飽きのこない演奏と聴きました。脳裏にはクララ・ハスキル(p)/イーゴル・マルケヴィチ/コンセール・ラムルー(1960年)の劇的演奏(特にオーケストラの激しさ)がありました。

 ハ長調協奏曲K.503はリズムの歯切れがよろしくて、センスはモダーン。構えの大きな作品だけれど、キルシュネライトのピアノは仕上入念、粛々淡々素直路線継続、親密小振りな演奏であります。作品個性的にこちらのほうが出来がよろしい感じ。キラキラ華やかなピアノではなく、しっとり着実真面目に、弾き進むキルシュネライト。ちょっぴり遊びやら愉悦に欠けるかも。

 フランク・ベールマン/バンベルク交響楽団について。太古録音の昔より、かなりヘロヘロなオーケストラでもMozart の協奏曲伴奏は成り立つと考えて参りました。今回久々の再聴印象では「性能は向上してはいるのだけれど、粗も目立つ」「完全にコントロールしきれていない」「彫りが浅い響きが物足りない」「時折オーケストラに淡白な表現がみられる」〜というユーザーの論評は見事に的を射ておりました。カイルベルト時代の無骨なサウンドからはずいぶんと洗練変化しているんだけれど、まさにコントロールが甘い、というか指揮者の主張が細部に行き渡っていない。ずばり”変化に乏しく、少々ツマらん”伴奏と感じました。ま、ソロのじゃまにならなければそれで良いでしょう。

 音質は良好。

(2011年5月28日)

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written by wabisuke hayashi