Mozart ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調K.482/
第11番ヘ長調K.413(387a)(イェネー・ヤンドー(p)/
マーティアス・アンタール/コンツェントゥス・フンガリクス)


NAXOS 8.505011 Mozart

ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調K.482
ピアノ協奏曲第11番ヘ長調K.413(387a)

イェネー・ヤンドー(p)/マーティアス・アンタール/コンツェントゥス・フンガリクス

NAXOS 8.550206 1990年録音

 最近「音楽日誌」に言及したばかりだけど、久々の拝聴に感慨があったので、再度しっかり拝聴を思い立ちました。かつてピアノ協奏曲第26番ニ長調K537「戴冠式」/第5番ニ長調K.175を聴いて(2015年)いまいち演奏の様子がわからないコメントを反省。Jando Jeno(1952ー洪牙利)はNAXOSに幅広いレパートリー、膨大な録音を残しているヴェテラン、珍しく来日公演も聴いております。お仕事引退した2022年より在庫音源データを点検整理していて、この全集久々の拝聴に感慨深かったもの。Concentus Hungaricusの実態はよくわからなくて、1985年ブダペストにて15名のメンバーに創立との情報のみ探せます。Matyas Antal(1945-洪牙利)はフルーティストであり、合唱指揮者としても著名らしい。

 結論的にピアノ・ソロ、管弦楽ともほとんど要らぬ飾りを排して、素っ気ない速めのテンポ、淡々とイン・テンポに進めて、自らの個性や思い入れを色濃く出さぬ演奏。作品を以て語らせるといった方向でしょう。”なんやねん、このサービス精神のなさ”と嘆息される方も多いと類推します。いえいえ、こんなシンプルな演奏が聴き飽きさせない。ソロと管弦楽とのバランスもよろしく、音質も演奏の質と同様の自然な鮮度に充ちて親密なもの。

 我らがMozartに一切の駄作なし、それを前提にピアノ協奏曲は文句なし傑作の森、更に変ホ長調協奏曲K.482の美しい愉悦は一入(ひとしお)管楽器にはいつものオーボエに代わってクラリネット2本、フルート1-ファゴット2-ホルン2ートランペット2、ティンパニが加わります。闊達なリズムに微笑みを浮かべた第1楽章「Allgregro」はソロと管楽器の掛け合いも雄弁に、細部拘泥せず駆け足に過ぎ去りました。(12:37)第2楽章「Largo」の深い陰影、途中管楽器のみの詠嘆は傑作・絶品(8:11)終楽章「Allegro-Andate cantabile」はノンビリ淡々として晴れやか。カデンツァの妙技に聴き惚れました。ここは映画「アマデウス」朝帰りの場面。(11:15)オーケストラはあまり上手過ぎなくて、そこがまたなんとも云えぬローカル素朴な味わい、ピアノは生真面目に、素っ気なくも飾りのない表現が作品のテイストを際立たせます。

 ヘ長調協奏曲K.413第1楽章「Allegro」はシンプルな序奏は3/4拍子、そのままピアノが同じ音型リズムに参入して淡々とした開始、なんとも懐かしい風情が漂って、陰影もちゃんとありました。ここもやや急ぎ足にいつものの表現が続きます。管弦楽は前曲よりシンプルな伴奏、弦楽四重奏での演奏も可能とのこと(楽譜の指示はオーボエ2-ファゴット2-ホルン2。これはほとんど色付け程度)(8:49)第2楽章「Larghetto」は牧歌的に落ち着いて、シンプルなアルペジオが味わい深く、ここはたっぷりニュアンスと名残惜しさを感じさせる表現。(7:54)第3楽章「Tempo di Menuetto」も3/4拍子。どこまでもおっとりと優雅にしっとり、可憐なソロが落ち着いてデリケート。淡々とモノローグのような微笑みを湛えて、控えめな管弦楽と調和して、静かに終了いたしました。(5:19)

 Mozartとの至福の時間をたっぷり堪能いたしました。

(2022年11月19日)

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written by wabisuke hayashi