Mozart 交響曲第35/38/40番
(ヘンヒェン/オランダ室内管弦楽団)
Mozart
交響曲第35番ニ長調K385「ハフナー」
交響曲第38番ニ長調K504「プラハ」
交響曲第40番ト短調K550
ヘンヒェン/オランダ室内管弦楽団
BRILLIANT 99311 1987/90年録音 40枚組9,500円で買ったMozart MasterWorksのウチの一枚。
Mozart の交響曲、とくに後期の作品は傑作揃いで、また多種多様な名録音が目白押し。ワタシ自身もこどもの頃から馴染んだ曲ばかり。LP時代「ハフナー」はベーム/ベルリン・フィルで、「プラハ」はシューリヒト/パリ・オペラ座で、40番はセルの演奏がお気に入りでした。
このシリーズ「Mozart MasterWorks」では35〜41番までヘンヒェンが演奏しており、はっきりいって一番危惧していたもののひとつ。
ヘンヒェンは、C.P.E.Bach 室内管との演奏で(Haydn、Mozart など)意外としっかりとした演奏をしていました。レーザーライトの国内盤でMahler 、Brucknerの大曲(オーケストラはオランダ・フィル?)では、アンサンブルに集中力を欠いて、がっかりした思い出しかありません。
オランダ室内管は、ゴールドベルク、ジンマンらが歴任した由緒ある団体。結論から云うと、録音も新しいし、爽やかで優秀なアンサンブル、気持ちの良い演奏でした。
Mozart の演奏は、詰まるところ「軽快なリズム命」に行き着くのではないでしょうか。ちょうど「好物」みたいなもので「いつ、どこで食べてもおいしくて大好きだけど、ある意味もっと素晴らしい味を求めて止まない」音楽と思います。
「ハフナー」は1990年のライヴ。厚く鳴りすぎず、薄くもない適度なオーケストラの響き。この曲特有の、吹き上げるような華々しい喜びは充分感じられますが、ややリズムが重い。木管〜とくにオーボエの透明な響きは魅力的で、熱気も感じさせるていねいな演奏。
「プラハ」はバランスの良い、上質なオーケストラの響きが楽しめます。が、ちょっとまとまりすぎて「ノリ」が(ほんの少し)足りない。普通すぎて、ちょっと大人しくて、面白み、というか即興性に欠ける演奏でしょうか。ここでもオーボエが素敵。
ト短調交響曲は、むずかしい。
フルトヴェングラーの「デモーニッシュ」と云われる演奏はお好きですか?ワルターのふっくらと、包み込むような暖かい演奏は?個人的には、フルトヴェングラーの演奏は好みではないけれど、主張や個性が明快なのはさすが。
ジュリーニ(NPOとの旧盤)がワタシのお気に入り。Mozart が書いた、一つひとつの音を明快に、おろそかにせず楷書(研ぎ澄まされたアンサンブル)で表現する。それでこそ、この曲の本質が明確になる・・・・・はず。
ヘンヒェンは「楷書」のほうでしょう。オランダ室内管の想像以上に充実したアンサンブルを生かして、明快でオーソドックスな演奏。響きにそのものに「色気」もあります。録音のバランスも最高。不朽の名曲に恥じない水準。
でも、少々個性不足。「ヘンヒェンでなければ」、という主張はもう少し欲しいところ・・・・なんてのは、東洋の片隅のリスナーの勝手な言い草なんでしょう。メヌエットのちょっと引きずるような、弦の語り口は聴きものですよ。
繰り返しが厳密に実行されているのは、嬉しい。素敵な旋律が二倍おいしい。まろやかな音色が美しいオーケストラは「推薦」でもおかしくない、立派な演奏。
おまけ(あまりにおもしろくない上記コメントなので)
交響曲第35番ニ長調K385「ハフナー」
交響曲第38番ニ長調「プラハ」K504
交響曲第40番ト短調K550
ラインスドルフ/フィルハーモニック・シンフォニーオーケストラ・オブ・ロンドン
MCA MCAD2-9814-B、9818-A、9818-B 1950年代のモノラル録音 @1,000
Mozart の交響曲全集は、常に座右に置いておくべきもので、LP時代はベーム、CDに替えて最初に買ったのがこのCD8枚組でした。ま、「聴き比べ専用CD」で、新しいCDを買ったら必ず比較用に取り出します。
「ハフナー」・・・・愛想がないなぁ。ゴリっとリキんで、さっぱり片づけました、といった風情。歌もなし。疾風怒濤風Mozart 。
「プラハ」・・・・・・「フィガロ」と近い関係にある名作。少々粗いが、勢いは感じます。でも相変わらずサバサバとした表情。
「ト短調交響曲」・・・これのみステレオ録音。やや響きに奥行きもあり。仕上げは雑ながら、聴いていて胸に切迫感があります。管と弦のバランスは特異で、聴き慣れない内声部も有。たったの22分。
このオーケストラの実体はRPOらしいけど、なんか信じられない。録音のせいでしょうか、弦も管も色気がない。飾りもない。それでも名曲は名曲。これでMozart を知っても道は踏み外さない、はず。
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